英雄戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 15:18 UTC 版)
1本の矢の疑惑
前述のとおり、英雄戦争の帰趨を決したカシューとベルドの一騎討ちは、突如放たれた1本の矢によって明暗を分かつことになった。何者がこの矢を放ったのかは一部の派生作品を除いて明確にされていない。諸説ある中では、カーラ説、カシュー説、ナシェル説が小説中で仄めかされている。
ロードスの歴史に干渉し「光と闇の均衡」を保ってきた灰色の魔女カーラにとって、ファーンとベルドは生死を共にさせる必要があり、ファーンが斃れたからにはベルドも葬り去る必要があったというのがカーラ説である。実際両雄が共に斃れることで、ロードス島には束の間の均衡状態が訪れている。この戦いの前にカーラはウォートと「これ以上ベルドに手を出さない」という交換条件をかわしており、それを破ったことになる。なお、OVA版とコミック版『ロードス島戦記 灰色の魔女』では、カーラが手を下したことが明確に描かれている。OVAではベルドがファーンを倒した直後にカーラが魔法でベルドを手にかけており(ベルドとカシューは戦っていない)、コミック版ではカーラが自ら矢を放っている。
カシュー説は、カシューがいざというときのための切り札に狙撃兵を用意していたというものである。マーモの暗黒騎士団長アシュラムはベルドが斃れた直後からカシューを卑怯者と罵っており、狙撃はカシューの指示だと確信していた。カシューは問題の矢がベルドに刺さった時、一瞬剣を止めてからベルドの首を刎ねており、「止められたのに止めなかった」ことは本人が認めている。また、『新ロードス島戦記』にてギャラックは、カシューが一騎打ちの前に「弓の名手を潜ませていた」と発言している。
ナシェル説は、「ザ・スニーカー」連載版の『ロードス島伝説』最終回における、ファーンとベルドの一騎打ちの場に現れた『初老の男』の描写[1]から想起されたものである。しかし文庫版ではこの部分が改稿されて、『初老の男』は傍観しただけのようになっている[2]。
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