出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/22 21:09 UTC 版)
惑星などの絶対等級 (H)
惑星、彗星、小惑星の場合、恒星ではない天体についてより意味のある別の定義の絶対等級が使われる。
この場合の絶対等級は、ある天体が太陽と地球の両方から1天文単位 (au) にあり、位相角(太陽と天体、天体と観測者を結ぶ線の間の角)が0度であるとした時の視等級として定義される。これは物理的には有り得ない状態であるが、計算には便利である。
恒星や銀河の絶対等級を惑星などの絶対等級に変換するには、31.57を減じればよい。この数値は、太陽の視等級の−26.8等と、(恒星の)絶対等級の+4.8等の違いとも一致する。従って、天の川(銀河の絶対等級−20.5等)は、惑星の絶対等級では−52等になることになる。
計算
絶対等級Hは、次の式で与えられる。
ここでは1 auの地点から見た太陽の視等級(−26.73等)であり、は天体の幾何学的アルベド(0と1の間の数値)、は天体の半径、は1 au(≈1億4960万km)である。
例
月(Moon):
視等級
絶対等級は、異なる状況にある天体の視等級を計算する補助として使われることがある。
ここで、は1 au、は位相角である。位相角については、余弦定理より以下が従う。
また、は相積分(反射光の積分で、0と1の間の数値)であり、相積分の形式としてよく用いられるのが、理想拡散反射球近似である。これは、惑星などの球状天体への適当な第一近似である。
この式より、満位相の散乱球は同じ直径の散乱円盤の2/3を反射することがわかる。
は観測者と天体の間、は太陽と天体の間、は観測者と太陽の間の距離である。
例:地球から見た月の明るさ
満月の場合
実際は -12.7等である。満月は満位相の時、完全散乱反射体の予想より30%多い光を反射する。
位相角90°の月の場合
(散乱反射体の場合)
実際は約 -11.0等である。拡散反射体の公式は位相が小さいときによく当てはまる。