端脚類 生態など

端脚類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/24 22:32 UTC 版)

生態など

生息環境

クラゲノミ亜目およびワレカラ類は例外なく海洋に生息する。ヨコエビ類は海洋に限らず河川湖沼、地下水系,陸上にも進出している。

被食

  • 浅海の底生種は、魚類鳥類によく捕食される。
  • 深海の底生種はコククジラに捕食される。
  • ウミノミの一種Hyperiella dilatataはトゲなどの防御機構を持たない代わりに、Pteroenoneという忌避物質を持つクリオネ属の軟体動物を背中に抱えることで、魚類などの捕食者から逃れていることが分かっている(Agosta 2001)。
  • 中層を浮遊もしくは遊泳している種も魚類などの餌となっている。ウミノミ類では捕食者の眼を欺く仕組みが発達している。

寄生

行動

繁殖

  • 端脚類は普通雌雄異体で、体外受精を行う。
  • 産み落とされたはメスの覆卵葉(ふくらんよう)の中で保護される。孵化直後の仔もこの中で保護され、その後しばらくは何らかの形で親の保護を受ける種が多い。
  • 幼生期はなく、例外なく成体と同じ体制をもって孵化し、産まれた直後から概ね成体と同じニッチを共有する。
  • 底生のヨコエビにおいて、交尾前ガード行動やハレム形成など、メスを独占するオスの戦略が発達している。

摂餌

  • 底生のヨコエビでは、デトリタス(有機懸濁物)食と植食が多くみられる。
  • 浮遊性種や遊泳性種は、捕食者が多い。
  • 腐肉食者は底生ないし近底遊泳性を示す。

寄生

  • クラゲノミ亜目には、刺胞動物尾索動物などのゼラチン質プランクトンに寄生する種が知られている。サルパ類の内部を摂食し、確保した空間を保育に使用するオオタルマワシが著名である。中には、フェオダリア類Aulosphaera sp.を利用するセムシウミノミPhronimopsis spinifera Claus, 1879や、放散虫Collozoum pelagicum Haeckel, 1861を利用するクラゲノミ類Hyperietta stephenseni Bowman, 1973など、原生動物に便乗するものも知られる(Nakamura, Minemizu & Saito 2019)。
  • クジラジラミ類は鯨類への体表寄生に特化しており、身体は平たく、各肢の先端部分は強く湾曲し鉤爪状になっている。
  • ヨコエビには、HyacheliaやウミガメドロノミPodocerus chelonophilusなど、ウミガメの体表に付着する習性をもつものが知られる。

生理的特性

呼吸

  • 各胸節の下側にがある。通常、付属肢の根元に1対ずつをもつ(底節鰓という)。マミズヨコエビ下目などの一部の種において、胸節腹側の中央部に1つずつを生じることがある。

分泌物

  • ヨコエビにおいて、主になどの生活の場を形成するために、アンフィポッド・シルクと呼ばれる分泌物を出すことが知られている。

体内時計

  • 浅海に棲む種などでは、主に潮汐とリンクした出現消長が観測されている。
  • 日の当たらない洞窟内の水中に生息するStygobromus allegheniensisを用いた実験において、太陽光に依存しない体内時計の存在が確認されている(Espinasa et al. 2016)。

光に関わる特性

  • ハマトビムシ科において生物発光の報告がある(Bousfield & Klawe 1963)。
  • クラゲノミ亜目には、身体を透明化して捕食者から逃れる戦略をもつものがいる。体表に微小な突起構造を発達させて屈折率の違いを認識させにくくするもの[4]や、体表に共生したバクテリアの作用で反射を抑制するものも知られる[5]



「端脚類」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「端脚類」の関連用語

端脚類のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



端脚類のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの端脚類 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS