端脚類 端脚類の概要

端脚類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/24 22:32 UTC 版)

端脚目(ヨコエビ目)
ネコゼヨコエビ科 Cyphocarididae の一種
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱 Malacostraca
亜綱 : 真軟甲亜綱 Eumalacostraca
上目 : フクロエビ上目 Peracarida
: 端脚目 Amphipoda
和名
端脚類
端脚目
ヨコエビ目
英名
Scud
Sea flea
Sideswimmer
亜目

概要

1万種類以上が知られる大きなグループで、熱帯から極地まで世界中に分布する。陸上や淡水にも生息するが、大部分が海で見られる。

体長は数mmから数10 cmまで、種類によって差があるが、概して小型の動物である。体は左右や上下に扁平な、やや細長いものが多いが、非常にひょろ長い体を持つ例もある。

食性は種類によって異なり、プランクトンや生物の死骸、デトリタスなどを食べるが、他の生物に寄生するものも多い。一方、敵は刺胞動物魚類鳥類など多岐にわたる。

食物連鎖の下位ながらも、生物の死骸や糞を食べる分解者として、また他の動物の餌として重要な位置を占める。人間にとって直接の利用価値はほとんどないが、自然界で果たす役割は大きい。

名称

  • Amphipoda(端脚目)という名称の由来は、「足が歩行にのみ適応している等脚目(Isopoda)に対して、歩行と遊泳の両方に適応していること」(Spence Bate & Westwood 1863)とされている(ただし実際は、胸脚を歩脚として用い、腹肢を遊泳脚として用いる点では、ほとんどの種において、等脚目と端脚目との間にこれといった違いはない)。なお、俗説として前向きの胸脚と後ろ向きの胸脚を共に具えていることから名付けられたとの見解も流布している。
  • ヨコエビ類は古くは「ヨコノミ」と呼ばれることが多かったようである(藤田 1913)。江戸時代の文献には「水蚤」「トビムシ」との記述もみられる[1]
  • 佐渡ではワレカラ類のことを「アリカラ」「アジカラ」と呼び、ときにヨコエビ類と区別しないという(伊藤 1990)。
  • 主にヨコエビ類を「スムス(死虫)」と呼ぶ地方がある[2]。フトヒゲソコエビ上科と考えられる。「シオムシ」と同一視されることもあるが、これは等脚類の一種である。
  • ダイバーの間で「タルマワシ」と呼称されているのは、ホテイヨコエビ科の一種であることが多い。例えばバリ島でみられるものはParacyproidea dixoniと考えられる。
  • 端脚類全般を表す英語の「sea flea」に、クラゲノミ亜目の一群を示す「ウミノミ」という名称を当てはめることにより、事実関係に混乱が生まれることがある。#人との関わりを参照のこと。

形態的特徴

淡水や浅海域に産するものは体長が数mm程度で、1 cmを超えるものは大型とされる。深海溝に生息するものは体長2 - 3 cm程度までの大きさが多いが、体長28 cmのものも発見されている[3]

頭部は胸部の第一節ないし第二節まで癒合するが、背甲は発達しないので、ほとんど体全部の体節が背面から見える。

複眼は柄が無くて体に対して小さく、深海や地下水にすむ種類では退化している。頭部には2対の触角があり、胸部の脚は2対の顎脚と5対の歩脚からなる。それらの胸脚は外肢を欠き、単純な歩脚の形を取る。腹部は三節からなる後体部と三節の尾部に分かれる。

しばしば性的二形を示し、代表的なものではオスの咬脚はセミ幼虫の前脚のように太く発達することがある。




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