砂漠
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降雨と流水
砂漠は降雨量が非常に少ない地域であるが、ほとんどの砂漠ではまったく雨が降らないわけではなく、年に数度から数年に一度降水があるところが多い。この場合、数日間に分けて雨が降るのではなく、一度に大量の降水があることがほとんどである。降雨の間隔は不規則で、量も一定しないため、年によって降水量の変動が激しい。サハラ砂漠の極乾燥域の場合、24時間の降水量が年間平均降水量を上回ることも珍しくない[7]。
砂漠は乾燥しているため地面は急速に水を吸収するが、森林が存在しないため降った雨は地表にプールされることなく、降雨の大量さも相まってかなりの水が一気に地表を流れ下るため、この降雨地点近くに人間がいた場合、砂漠で洪水に見舞われることになる。こうした大量の流水はワジと呼ばれる河道を形成するが、ワジには降雨時以外に水が流れることはない。ワジは地形が低く地下水も得やすいためにしばしばオアシスが形成されることがあるが、もともと河道であるため降水時には洪水となる。また、ワジ以外の地形にも流水の影響は色濃く表れている。山岳の斜面にある緩やかな斜面はその形状から山麓緩斜面(ペディメント)と呼ばれる[8]。ペディメントの下には礫で覆われた扇状地が広がり、これをバハダと呼ぶ。バハダのさらに下、盆地の底部には粘土に覆われた平坦な地形が広がることが多いが、これはプラヤ(粘土平野)と呼ばれる。プラヤは豪雨時の流水によって運ばれてきた堆積物によって形成されたと考えられている。プラヤにはこの豪雨時に周囲から運ばれてきた塩分も堆積することが多く、しばしば岩塩を産出する。また、プラヤの土壌の多くはアルカリ性を示す。
また、ワジではなく通年流水のある河川が砂漠の中を流れることがある。こういった河川は砂漠の外で大量の降雨がある地域から砂漠に流れ込むもので、外来河川と呼ばれる[9]。砂漠の河川にはタリム川やアムダリア川、シルダリア川のように砂漠の中で完結して外部へと流出しない内陸河川が多い。こうした内陸河川の末端には、アムダリア川やシルダリア川の注ぎ込むアラル海やヴォルガ川の流れ込むカスピ海、タリム川のかつて流れ込んでいたロプノールのように湖が形成されることが多い。こうした砂漠の湖のほとんどは、流入河川から長年かけて流れ込んだ塩分が凝縮され、塩湖となっていることがほとんどである。また、湖を形成する前に砂漠の途中で消滅してしまいワジとなる河川も多い。こうした中、チグリス川、ユーフラテス川、ナイル川、コロラド川のように砂漠を貫流し海へと注ぐ河川も存在する。こうした河川は砂漠の住民にとって貴重な水の供給源であり、中でもナイル川は巨大なオアシスを形成し、人類最古の文明のひとつである古代エジプト文明を育んだ。
- ^ What is a desert?, USGS
- ^ a b 砂漠化の原因・現状
- ^ a b 「乾燥地の自然」(乾燥地科学シリーズ2)p29 古今書院 篠田雅人編 2009年3月31日初版第1刷
- ^ “(何でもランキング)知ってなるほど!気象の真実”. 『日本経済新聞』朝刊NIKKEIプラス1. (2017年7月22日)
- ^ a b c 星野光雄、砂漠砂から読み取る過去の自然環境、文部科学省科学研究費補助金 「特定領域研究」 Newsletter No.4 (2006年12月号)
- ^ 「乾燥地の自然」(乾燥地科学シリーズ2)p49 古今書院 篠田雅人編 2009年3月31日初版第1刷
- ^ 「乾燥地の自然」(乾燥地科学シリーズ2)p35 古今書院 篠田雅人編 2009年3月31日初版第1刷
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- ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p17 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
- ^ 「キリマンジャロの雪が消えていく―アフリカ環境報告」p158 石弘之(岩波新書、2009)
- ^ 「ビジュアルシリーズ世界再発見2 北アフリカ・アラビア半島」p26 ベルテルスマン社、ミッチェル・ビーズリー社編 同朋舎出版 1992年5月20日第1版第1刷
- ^ 「アラブ世界のラクダ乳文化」pp58-59 堀内勝/「乳利用の民族誌」所収 雪印乳業株式会社健康生活研究所編 石毛直道・和仁皓明編著 中央法規出版 1992年3月10日初版発行
- ^ 「サハラが結ぶ南北交流」(世界史リブレット60)p9 私市正年 山川出版社 2004年6月25日1版1刷
- ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p166-167 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
- ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p72-75 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
- ^ 「沙漠に緑を」pp146 遠山柾雄著 岩波新書 1993年6月21日第1刷
- ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p130 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
- ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p13 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
- ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p10 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
- ^ http://jp.reuters.com/article/chile-telescope-idJPKBN0TY0M220151215 「南米チリの天文学一大拠点、観測妨げる「光害」に危機感」ロイター 2015年12月15日 2016年8月24日閲覧
- ^ http://www.asahi.com/articles/ASH8L63V9H8LUHBI026.html 「砂漠の空、星の大海原 ナミビアに天文ファン続々」朝日新聞デジタル 2015年10月18日 2016年8月24日閲覧
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- ^ https://www.afpbb.com/articles/-/3093196 「砂漠に高さ世界一のソーラータワー建設中 イスラエル」AFPBB 2016年07月15日 2016年8月24日閲覧
- ^ http://wired.jp/2016/05/25/heat-from-misaligned/ 「グーグルも投資した「世界最大の太陽熱発電所」で火災、トラブルが相次ぐ」2016年05月25日 WIRED 2016年8月24日閲覧
- ^ 地球環境問題 (PDF) - NTTコミュニケーションズ
- ^ サハラ砂漠、気候変動で緑化が進行か ナショナルジオグラフィックニュース、2009年9月、James Owen(インターネットアーカイブ)
- ^ 『大辞典 第十二巻』(平凡社 1935年) p.142
- ^ “The World's Largest Deserts”. Geology.com. 2013年5月12日閲覧。
- ^ “海洋50のなぜ”. www.isee.nagoya-u.ac.jp. 2023年4月22日閲覧。
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