砂漠 砂漠化

砂漠

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/13 02:33 UTC 版)

砂漠化

世界の砂漠化危険度マップ

地球上の砂漠は、毎年600万ヘクタールの規模で拡大を続けている[29]。これは、上記のような気候による影響だけではなく人間の活動にともなう要素が大きい[2]。こうした、それまで砂漠ではなかった場所が砂漠となることを砂漠化という。砂漠化にはそれまでの土壌が雨や洪水、風などによって流出し基盤が露出し植物が生育できなくなる土壌流出、土壌中における塩類濃度が上昇し、植物が育成できなくなる塩性化、周辺にあった砂丘から砂漠ではない地域に砂が流れ込み、農地などを飲み込んでしまう飛砂や流砂などがある。砂漠化はその地域に居住する人々の食料生産ができなくなることや、二酸化炭素の吸収源である森林が減少し、地球温暖化を加速させるなどという深刻な影響がある。こうした砂漠化を進行させる原因としては、森林の過剰な伐採により土地の保水能力が衰えることや、家畜の過放牧、過剰な焼畑農業、過度の灌漑による土地の塩性化などが指摘されている。中央アジアに位置するアラル海においては、に流れ込むアムダリア川シルダリヤ川の2つの大河の水量が沿岸地域における過度の灌漑やカラクム運河への分水などによって大幅に減少してしまい、湖に流入する水がほぼなくなったために湖水の面積が急速に縮小し、かつてのアラル海のほとんどは乾燥した塩原となってしまっている。こうした砂漠化の進行を防ぐために、砂漠縁辺でのグリーンベルトの造成や草方格による砂丘移動の防止などさまざまな対策が取られているが、実効性は上がっているとはいえない。

なお、こうした砂漠化防止とは別に、もともと砂漠だった場所に植物を成育させ緑地化する、いわゆる砂漠緑化も行われているが、これは本来の砂漠から緑地へと自然を改変するものであり、生態系の維持などの点から批判がある。

不確定要素はあるものの、1980年と2000年を比べると、サハラ砂漠とその周辺では、降雨量の増加により緑化が進行しているとされる[30]


  1. ^ What is a desert?, USGS
  2. ^ a b 砂漠化の原因・現状
  3. ^ 砂漠のでき方- きみもなろう!砂漠博士 -”. www.alrc.tottori-u.ac.jp. 鳥取大学乾燥地研究センター. 2024年6月13日閲覧。
  4. ^ a b 「乾燥地の自然」(乾燥地科学シリーズ2)p29 古今書院 篠田雅人編 2009年3月31日初版第1刷
  5. ^ “(何でもランキング)知ってなるほど!気象の真実”. 『日本経済新聞』朝刊NIKKEIプラス1. (2017年7月22日). https://style.nikkei.com/article/DGXKZO19048230Q7A720C1W03001?channel=DF130120166114 
  6. ^ a b c 星野光雄、砂漠砂から読み取る過去の自然環境、文部科学省科学研究費補助金 「特定領域研究」 Newsletter No.4 (2006年12月号)
  7. ^ 「乾燥地の自然」(乾燥地科学シリーズ2)p49 古今書院 篠田雅人編 2009年3月31日初版第1刷
  8. ^ 「乾燥地の自然」(乾燥地科学シリーズ2)p35 古今書院 篠田雅人編 2009年3月31日初版第1刷
  9. ^ 「乾燥地の自然」(乾燥地科学シリーズ2)p63 古今書院 篠田雅人編 2009年3月31日初版第1刷
  10. ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p17 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
  11. ^ 「キリマンジャロの雪が消えていく―アフリカ環境報告」p158 石弘之(岩波新書、2009)
  12. ^ 「ビジュアルシリーズ世界再発見2 北アフリカ・アラビア半島」p26 ベルテルスマン社、ミッチェル・ビーズリー社編 同朋舎出版 1992年5月20日第1版第1刷
  13. ^ 「アラブ世界のラクダ乳文化」pp58-59 堀内勝/「乳利用の民族誌」所収 雪印乳業株式会社健康生活研究所編 石毛直道・和仁皓明編著 中央法規出版 1992年3月10日初版発行
  14. ^ 「サハラが結ぶ南北交流」(世界史リブレット60)p9 私市正年 山川出版社 2004年6月25日1版1刷
  15. ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p166-167 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
  16. ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p72-75 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
  17. ^ 「沙漠に緑を」pp146 遠山柾雄著 岩波新書 1993年6月21日第1刷
  18. ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p130 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
  19. ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p13 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
  20. ^ 「乾燥地の資源とその利用・保全」(乾燥地科学シリーズ4)p10 古今書院 篠田雅人・門村浩・山下博樹編 2010年6月30日初版第1刷
  21. ^ https://jp.reuters.com/article/chile-telescope-idJPKBN0TY0M220151215/ 「南米チリの天文学一大拠点、観測妨げる「光害」に危機感」ロイター  2015年12月15日 2016年8月24日閲覧
  22. ^ http://www.asahi.com/articles/ASH8L63V9H8LUHBI026.html 「砂漠の空、星の大海原 ナミビアに天文ファン続々」朝日新聞デジタル 2015年10月18日 2016年8月24日閲覧
  23. ^ http://www.cnn.co.jp/tech/35077675.html 「サハラ砂漠に世界最大級の太陽熱発電所 モロッコ」CNN 2016年2月21日 2016年8月24日閲覧
  24. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/3076857 「モロッコ、初の太陽光発電所が操業開始」AFPBB 2016年02月16日 2016年8月24日閲覧
  25. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/3061690 「インド、COP21を前に太陽光発電強化掲げる」AFPBB 2015年10月06日 2016年8月24日閲覧
  26. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/3047731 「パキスタン、100メガワットの太陽光発電所が完成」AFPBB 2015年05月13日 2016年8月24日閲覧
  27. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/3093196 「砂漠に高さ世界一のソーラータワー建設中 イスラエル」AFPBB 2016年07月15日 2016年8月24日閲覧
  28. ^ http://wired.jp/2016/05/25/heat-from-misaligned/ 「グーグルも投資した「世界最大の太陽熱発電所」で火災、トラブルが相次ぐ」2016年05月25日 WIRED 2016年8月24日閲覧
  29. ^ 地球環境問題 (PDF) - NTTコミュニケーションズ
  30. ^ サハラ砂漠、気候変動で緑化が進行か ナショナルジオグラフィックニュース、2009年9月、James Owen(インターネットアーカイブ)
  31. ^ 『大辞典 第十二巻』(平凡社 1935年) p.142
  32. ^ The World's Largest Deserts”. Geology.com. 2013年5月12日閲覧。
  33. ^ 海洋50のなぜ”. www.isee.nagoya-u.ac.jp. 2023年4月22日閲覧。





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