皮膚筋炎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/18 06:20 UTC 版)
検査
筋が冒されることから、筋の異常を調べる検査が主に行われる。また、他の膠原病と同様自己抗体の検査もされる。
- 検尿
- 蛋白尿の出現は、膠原病による血管炎の存在を示唆する。また%クレアチン尿が臨床経過のよい指標となる。
- 血液検査
- クレアチンキナーゼ、GOT(AST)の上昇がみられる。この所見がないならそれは皮膚筋炎ではないか、またはAmyopathic Dermatomyositis(日本語で言うならば筋症状なき皮膚筋炎)であり、重篤な肺疾患を起こしやすい予後不良の疾患である。
- 筋電図
- 筋原性変化をみる。神経原性であれば、筋力低下の原因は他の疾患である(筋萎縮性側索硬化症など)。
- 筋生検
- さまざまな筋線維の壊死と再生がみられ、局所にはCD8+T細胞とマクロファージがみられる。これは特に封入体筋炎(細胞内封入体がみられる)との鑑別として重要なのだが、感度が低い検査である(なにもないところをとってくることが案外多い)。皮膚筋炎では多発筋炎と比較して、血管周囲にCD4+T細胞の浸潤が見られる。多発筋炎では、炎症の主座は筋肉に限定される。
- 自己抗体
- 抗Jo-1抗体は、きわめて特異度が高いがどちらかというと多発筋炎でよく(でもないが)みられる。
- MRI
- STIR画像にて筋肉の炎症所見が手に取るようにわかる。筋生検の部位を決める際にも有用な情報となる。筋炎が改善すれば、MRI上の炎症所見も鮮やかに改善するので、治療効果の評価にも有用である。ステロイドミオパシーとの鑑別も可能と考えられている。
- PET
- まだ報告は少ないが、実際の画像を見れば明らかにMRIよりもさらに高精度に筋肉の炎症を見ることができる。3D-PET画像においては全身の筋肉が映し出され、あたかも解剖学アトラスのようである。筋炎が改善すれば、筋肉は見えなくなる。PET-CTならなおさら美しく、炎症をおこしている筋肉の名前を特定できる。
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