画面解像度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/18 01:25 UTC 版)
画素密度(ピクセル密度)としての画面解像度
単位
ドットの物理的な並びは「ドットピッチ」、1インチの長さあたりのドット数は「dpi」と表記されるが、最近[いつ?]では、画面解像度をあらわす単位として印刷分野の単位と区別する目的でppiがしばしば用いられる。これは階調表現能力が異なる別の技術に、同一の単位を用いることで発生すると思われる混同を防止するためである。
例えば印刷の100 dpiとディスプレイの100 pixels/inchを同じ単位 (dpi) で表現すると、あたかも同じ表現能力であるかのような誤解を生じる。単色2値データのみで比較すると同等であるが、印刷においては網点を用いて多色・多階調を表現するため、物理的解像度は落ちてしまう(周囲のドットを利用するため)。一方、ディスプレイの画素では256階調や4096階調といった多値表示が可能であるためディスプレイの100 pixels/inchのほうが表示能力が高く情報量が多いことになる。なお、本稿においては誤解を生じる恐れがないため、dpiとppiを同じとして記載している。これは例えば1,000ピクセルの画像を100 %表示すれば1,000ドットとなることによる。
代表的な解像度
Classic Mac OS/macOSの場合、1984年に初代Macintoshがリリースされた後、Retinaディスプレイが登場するまでの間、画面解像度は72 dpiに統一されていた[2][3]。これは、WYSIWYG設計思想の実装に基づき1ポイントを1ピクセルに相当させたためである。ディスプレイの大きさが同じならばピクセル数は一定で、本体側のソフトウェアやハードウェアでは変更できないため、拡大率を100 %にしたときディスプレイで見たままの大きさの文字や図形をプリンターにて印刷できる仕組みであった。
Microsoft Windowsの場合、Windows XPよりも前のバージョンでは、ディスプレイ解像度は96 dpiであると仮定されてきた[4]。XPでは96 dpiおよび120 dpiの2つのDPI値と、カスタムDPI設定が導入されたが、XPのDPIスケーリングは実質的に前述2つの値で決め打ちだった。これは、下位レベルのグラフィックスAPIであるGDIの座標系が、整数にしか対応していなかったためでもある。また、ほとんどのアプリケーションはシステムのDPI設定が96 dpiであるという前提であったため、100 %の設定以外では正常に描画されないという問題もあった。Windows VistaではDesktop Window Manager (DWM) とともにDPI仮想化の技術が導入され、システムDPI認識(System DPI Aware)[5]に対応していない(マニフェストで宣言していない)古いアプリケーションは96 dpiの仮想環境で強制的に動作させることが可能となったが、テキストの描画結果がぼやけるなどの問題が発生した。Vistaとともにリリースされた.NET Framework 3.0では、倍精度浮動小数点数によるデバイス非依存の論理ピクセルを採用したWPFが導入され、またWindows 7では単精度浮動小数点数によるデバイス非依存の論理ピクセルを採用したDirect2Dが導入されたことで、アプリケーションの高DPI対応が容易になった[6]。Windows 7およびWindows 8では、以下のような解像度が選択肢として規定されていた。デフォルト値(既定値)は実際のハードウェアによって異なり、またハードウェアによっては表示されない選択肢もある。
- 小 - 100 % (96 dpi)
- 中 - 125 % (120 dpi)
- 大 - 150 % (144 dpi)
- 特大 - 200 % (192 dpi)
- カスタムDPI設定
Windows 8まではシステム全体で1つのDPI値しか設定できなかったが、Windows 8.1ではさらにディスプレイごとのDPI設定と認識(Per-Monitor DPI Aware)が可能となった[7]。この機能を利用するには、アプリケーション側の対応も必要となる。
モバイルデバイス環境や4Kディスプレイなど、画面解像度(密度)は多様化する傾向にあるが、プラットフォームごとに用意された方法に従うことで、アプリケーションを様々な画面解像度に対応させることができる[8][9][10][11][12]。
注釈
出典
- ^ WhiteMagic™ | JDIの液晶ディスプレイ技術
- ^ Hitchcock, Greg (2005年10月8日). “Where does 96 DPI come from in Windows?”. Microsoft Developer Network Blog. Microsoft. 2019年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年11月17日閲覧。
- ^ Where does 96 DPI come from in Windows? | Microsoft Learn
- ^ ASCII.jp:Windowsと高DPIディスプレイ【その1】 8までのDPIスケーリング (1/2)
- ^ Setting the default DPI awareness for a process (Windows) - Win32 apps | Microsoft Learn
- ^ DPI and device-independent pixels - Win32 apps | Microsoft Learn
- ^ ASCII.jp:Windowsと高DPIディスプレイ【その2】 8.1では異なるDPIを設定可 (1/2)
- ^ 各種のピクセル密度をサポートする | Android デベロッパー | Android Developers
- ^ DisplayMetrics | Android Developers
- ^ Images - Foundations - Human Interface Guidelines - Design - Apple Developer
- ^ Screen sizes and break points for responsive design - Windows apps | Microsoft Learn
- ^ The Ultimate Guide To iPhone Resolutions PaintCode
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- ^ “ソニー、世界最大19m幅の16K「Crystal LEDディスプレイ」納入。横浜・資生堂ラボ”. Av Watch. (2019年4月2日) 2020年6月5日閲覧。
- 1 画面解像度とは
- 2 画面解像度の概要
- 3 概要
- 4 画素密度(ピクセル密度)としての画面解像度
- 5 画素数としての画面解像度
- 6 脚注
画面解像度と同じ種類の言葉
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