男女同一賃金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/30 13:48 UTC 版)
国際的には1951年に、同一価値労働における男女同一賃金を定める国際労働機関(ILO)100号条約が定められている[1]。
国際連合条約
国際労働機関は、同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約を定めている。これはFundamental convention(最優先条約)のひとつである。日本は批准している。
第二条1 各加盟国は、報酬率を決定するため行なわれている方法に適した手段によって、同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬の原則のすべての労働者への適用を促進し、及び前記の方法と両立する限り確保しなければならない。
— 1951年の同一報酬条約(第100号)
2017年における批准国は、ILO187加盟国のうち173であった。非批准国は以下の通り[2]。
- バーレーン
- ブルネイ
- クック諸島
- クウェート
- リベリア
- マーシャル諸島
- ミャンマー
- オマーン
- パラオ
- カタール
- ソマリア
- トンガ
- ツバル
- アメリカ
欧州
欧州連合においては、1957年のローマ条約119条に男女同一賃金が定められ、この規定が欧州連合の機能に関する条約157条に継承されている[1]。
1. Each Member State shall ensure that the principle of equal pay for male and female workers for equal work or work of equal value is applied.
各加盟国は、同一労働または同一価値の労働に対し、男女労働者の同一賃金の原則が適用されることを確保しなければならない。
— 欧州連合の機能に関する条約 Article 157
フランス
フランスでは「男性と女性の賃金平等に関する1972年2月22日法」によって初めて男女同一賃金が定められたが、男女がほぼ同一の業務に就くことが保障されていなかったため、男女同一賃金は男女均等待遇に関する1976年2月9日のEU指令(76/207/EEC)を待たなければならなかったといわれている[1]。
ドイツ
ドイツでは2017年7月6日に施行された賃金構造透明化の促進のための法律第1条で同一労働または同一価値労働における男女同一賃金が明文化された[1]。この法律で従業員が200人を超える企業では労働者の賃金に関する情報開示請求権、従業員が500人を超える企業では賃金構造調査の実施と状況報告書の作成義務が課された[1]。
イギリス
イギリスでは1970年の平等賃金法(1975年施行)や1975年の性差別禁止法など法整備が行われた[1]。また、2010年平等法第78条により、従業員規模が250人を超える組織での男女間賃金格差の公表制度が2017年から導入された[1]。
アイスランド
アイスランドでは2018年1月から政府機関や民間企業(従業員が25人以上のもの)に対して男女同一賃金の証明書を取得させる制度がスタートすることとなり、男女同一賃金の証明書を取得できない場合には罰金刑に処せられることが定められている[3]。
- ^ a b c d e f g 諸外国における女性活躍・雇用均等にかかる情報公表等について (PDF). JILPT 資料シリーズ No.208 (Report). 独立行政法人 労働政策研究・研修機構. February 2019.
- ^ “Countries that have not ratified the Equal Remuneration Convention”. International Labour Organization (2017年6月30日). 2017年6月30日閲覧。
- ^ “男女同一賃金の証明書取得を義務付けへ、アイスランド”. AFPBBNews (フランス通信社). (2017年4月5日) 2017年4月5日閲覧。
- ^ a b c d 山本 真理、前田 千尋. “米国における同一労働同一賃金について”. JCCC News Chicago December 2019. 2021年9月13日閲覧。
- 1 男女同一賃金とは
- 2 男女同一賃金の概要
- 3 米国
- 4 参考文献
男女同一賃金と同じ種類の言葉
- 男女同一賃金のページへのリンク