出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/27 03:49 UTC 版)
定常流
定常流はすべての物理量のオイラー描像的時間変化率が となる流れであるが、ラグランジュ描像的時間変化率が となるとは限らないことに注意すべきである。
一つの流線に着目する。流線上のある点からの道のりを 、流線の単位接ベクトルを と表す。速度ベクトルは流線に接しているので、定常流における物質微分は
となり、流線方向の変化率に速さをかけたものに等しいことが導かれる。
これから、定常流( )でも、流線に沿って物理量が変化するなら であることがわかる。
定常流における加速度
応用で重要なのは速度の物質微分すなわち加速度である。定常流、つまり、速度の時間変化がない流れでも、流体粒子の加速度は0とは限らない。定常流でも、流線に沿って速度の大きさは変化しうるし、流線に沿って速度の方向が変わる(流線が曲がる)こともありうる。これを式に表すと、
ただし、 は流線上のある点からの道のり、 は瞬間的な曲率中心からの距離、 は流線の曲率半径、 は接線方向の単位ベクトル、 は半径方向の単位ベクトルを表す。
導出
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ただし、 曲線の曲率についての関係式
を使った。
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加速度の流線方向の成分は流線にそった速さの変化率に対応し、加速度の法線方向の成分は流線が曲がることによる向心加速度に対応する。
ベルヌーイの定理と流線曲率の定理
外力のない非粘性のバロトロピック流体の定常な流れを考える。非粘性流体の流れを記述するオイラー方程式
は定常、外力がない、バロトロピックという条件では
と変形できる。
方程式の両辺にそれぞれ を内積でかけることで、流線方向(接線)成分、半径方向(主法線)成分は、
と表せる。ただし、方向微分の性質:
を使った。
第1式がベルヌーイの定理、第2式が流線曲率の定理に対応する。