海底大戦争 スティングレイ
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スティングレイは海底安全パトロール隊 (WASP World Aquanaut Security Patrol) の原子力潜水艦第3番艦。マリンビル基地に所属し、トロイ艦長と部下のフォンズ少尉が搭乗するほか、海底人の美女マリーナも加わることもある。
地上侵略を目論む様々な海底勢力に対するスティングレイと乗組員たちの活躍を描くが、単純なアクションものではなく海底の美しい描写や未知の世界、人間関係の綾、さまざまな種族が存在する海底人たちとの駆け引きなども織り込まれ、登場人物たちの会話や行動にもユーモアが見られる。
作品史
イギリスで製作された初の全編カラー撮影テレビシリーズ[1]となり、日本ではフジテレビの本放送としては最初のカラー作品[2]であった。日本では、1964年9月7日から1965年3月31日までフジテレビで月曜 19:00 - 19:30 → 水曜 19:30 - 20:00 (日本標準時)に放送、ロッテの一社提供。第10話で『トニーの海底大戦争』と改題され、当時人気のコメディアンで特異な話芸で知られたトニー谷による、オリジナルには無いナレーションが加えられた[3]。谷によるナレーションが入るようになってからは、物語全体にユーモラスな雰囲気が加わった。
この頃は海洋冒険物がブームで、アメリカに連続テレビドラマ『原子力潜水艦シービュー号』、日本に特撮映画『海底軍艦』、漫画『サブマリン707』『青の6号』(いずれも『週刊少年サンデー』連載)が登場した時代だった。そして、アンダーソン作品では当作が該当する[4]。当然、大部分を占める海の特撮も次作『サンダーバード』に登場するサンダーバード4号やトレーシー島の描写に繋がるクオリティを見せているが、海の潜水艦であるスティングレイが淡水魚の泳ぐ水中を航行するシーンなど、さほど細部の演出にこだわらない、当時の鷹揚な一面もうかがえる。
登場人物
当作からは主要な役柄の人形の顔が、実在の俳優をモデルに作られた(オリジナルの声優が元ではない)。ただ、後の『サンダーバード』のものと比べ、造型にはまだ若干の粗がある。
- トロイ・テンペスト
- モデル - ジェームズ・ガーナー、声 - ドン・メイソン/宗近晴見
- スティングレイの艦長。常に冷静沈着で、的確な判断と優れた操艦技術により、幾多の海底人の侵略を挫いた。階級は大尉。後に少佐に昇進し、スティングレイの艦長を続けることになる。
- ホーンズ・シェルダン
- 声 - ロバート・イーストン/ミッキー・カーチス
- トロイの副官。日本語の放送ではフォンズ少尉。ソナー担当のため、いつも耳に大きなヘッドホンを当てている。「…ですねぇ〜」が口癖。よく軽口を叩いてはトロイに叱られる。「ホーンズ」はいつもヘッドホンを当てていることからくくるあだな"Phones"。
- アクア・マリーナ
- モデル:ブリジット・バルドー、喋らないので担当声優はいない[5]
- 海底都市パシフィカ(日本語版では「ダンマリニア」と呼称)の海底人美女。パシフィカの人々は言葉を持たず、彼女も話はできない。タイタニカの大王タイタンの奴隷にされていたが、トロイによって救出されWASPのメンバーに。スティングレイ3人目の乗組員。劇中ではマリーナと呼ばれている。潜水具無しに深海を高速で泳げる。アフォニー(日本語版では「テマネ」。言葉を持たないので手話で会話するところから)という父親がいる。
- オインク
- 声 - デイヴィッド・グレアム/白石冬美
- アザラシ。マリーナのペットで、スティングレイ号のマスコットキャラ。非常に体毛が長い。「オインク、オインク」と鳴く(一部の話では人間の言葉を喋っている)。たびたびスティングレイ号の危機をトロイ艦長らに知らせる。第13話(日本放送第3話)「ネス湖の怪獣」にて日本語版ではメスであることがわかる。
- マリーナの言うことは素直に聞く。
- サム・ショア司令官
- 声 - レイ・バレット/天草四郎
- WASP・マリンビル基地の司令官。海底人の攻撃で下半身不随になったため、ホバーチェア(電動車椅子にホバークラフト機能が備わったもの)に乗る。優れた指揮能力を持つ。
- アトランタ・ショア中尉
- 声 - ロイス・マクスウェル/松任谷国子
- サム司令官の娘で、基地でも司令官の片腕となって活躍。オペレーターを担当する。
- ジョン・フィッシャー少尉
- 声 - レイ・バレット/愛川欽也→青野武
- マリンビル基地の常駐員。艦長候補生と思しき将校。同じくオペレーターを担当する。実名で呼ばれたことはほとんど無いが、カールトンの公式サイトには名前が明記されている。
- WASP総司令官
- 声 - デイヴィッド・グラハム/根本好章・杉田俊也
- 正式な名前は不明。WASPの最高司令官。いざというときに海底で災害や事件などが起きると、マリンビル基地にスティングレイ号出動命令を出す。
- タイタン大王
- モデル - ローレンス・オリヴィエ、声 - レイ・バレット/熊倉一雄
- 海底王国タイタニカの王。比較的人間と似た姿だが、肌が銀色。地上侵攻の立案や捕虜の処遇は、彼が崇める海底の魚神ギントト(原語では海神トリウェル)の意向に従っている。常にスティングレイとWASPを付け狙い、彼らを危機に陥れる。だが、毒薬で殺そうとしたトロイをマリーナと交換条件にして約束通り解毒剤を渡したり、誘拐したアーティストをわざわざ地上に帰すという公正で律義な一面もある。
- X20(エックスツーゼロ)
- モデル - クロード・レインズ 声 - ロバート・イーストン(ピーター・ローレの声を模倣している) / 田村錦人他
- タイタニカの諜報員。変装の名人で、普段はマリンビル基地に近い岬の私邸でピアノ演奏に興じている。皮膚が銀色なのを除けば『サンダーバード』のパーカー(ペネロープの執事)そっくりの顔。
- マゴジラ(原語ではアクア・フィビアン)
- タイタニカの戦闘員。半魚人型で、テラー・フィッシュなどを駆使してWASPと戦う。日本語版ではもともと名称はなく、トニー谷が「ゴジラの孫、マゴジラ」と呼び、定着した。
- ナレーション
- 声 - トニー谷(第10話より)
- このナレーションはオリジナルには無い演出である。スティングレイやトロイ艦長その他の行動や物語の展開を、放送全体にわたってしばしばユーモラスな口調で解説した。
なおタイタニカ以外にも、人魚のような姿から半魚人の様な姿まで様々な外見の海底人が地上侵略を企んでおり、中には海底戦車を駆使してスティングレイとWASPを窮地に追い込んだソラスター帝国の如き強敵もいる。しかしその一方で、パシフィカ人のように平和を愛する友好的な海底人も存在する。
- ^ La Rivière, Stephen (2014). Filmed in Supermarionation. Blythe Road, London: Network Distributing Limited. p. 140. ISBN 978-0-9929766-0-6
- ^ フジテレビジョン『フジテレビジョン開局50年史:1959–2009(昭和34年~平成21年)』フジ・メディア・ホールディングス、2009年、63頁。
- ^ 1963年から同じくフジテレビで放送されていた『宇宙船XL-5』でも、途中からハナ肇とクレージーキャッツの谷啓によるナレーションが入るようになった前例がある。
- ^ 日本のプラモデルでも、スティングレイとシービューが同じメーカーから、同じパッケージデザインで発売されたことがある。
- ^ 1度だけ、トロイ艦長の夢の中で魅惑的な声で話したことがある。声はシルヴィア・アンダーソン/佐原妙子が担当。
- ^ Bentley 2008, p. 79.
- ^ Sellers, p. 90.
- ^ 当日の新聞には第10話のサブタイトル「深海の人質」が記載されていた。
- ^ 番組名の表記が『潜水艦スティングレー』と変わったため。
- ^ a b DVD Boxやディアゴスティーニのシリーズ、スーパー!ドラマTVの放送では「出た! 海底人」と改題されている。
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