流し満貫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 03:50 UTC 版)
歴史
流し満貫は中国由来のルールではなく、昭和20年代に日本で考案されたルールである[31]。そもそも中国の麻雀には河の概念がなく、昭和初期に麻雀が日本化される過程で河の概念ができ、そのあとに流し満貫という役も生まれた。戦後のリーチ麻雀の隆盛と共に流し満貫は急速に広まり、1960年に日本牌棋院が初めて成文化[31]、1970年代の第2次麻雀ブームの前後にはルールブックにも載るようになった。ただし、採用していない競技団体が多いことと、ローカルルールとしての出発点を持っていることから、ごくまれにいまだ流し満貫をローカル役としている場合も見られる。とはいえ現在の一般的なルールでは、特殊役ではあるものの正規の役の一つと考える場合がほとんどである。
その他
流局となるまで17 - 18枚の么九牌を捨てる必要があるため、流し満貫より国士無双を狙う方が期待値が高い。 国士無双に必要な13種14牌を引かずに么九牌を17枚以上捨てるとしても、それらの牌で最低でも対子が5 - 6個、または暗刻が2 - 3個出来るため、やはり他の役を狙ったほうが期待値が高い。どちらかというと積極的に狙う役ではない。
ただし、国士無双を狙うと往々にして捨て牌ですぐにバレて警戒されることがある上、惜しげもなく中張牌を切る関係上他家の鳴きを許して先にあがられてしまう可能性がある。加えて、国士無双は13種の牌のうちどれか1種だけでも独占されるとそれだけで阻止されてしまう。それに対し流し満貫は一見するとタンヤオ系を目指して不要な字牌や么九牌を切っている(そして裏目に出ている)だけなのと区別が付きにくく、また流し満貫は特定の4枚の独占だけで阻止されると言ったケースが無い。これらの理由により、逆に国士無双よりは流し満貫の方が成立しやすいという考え方もある。
なお三人麻雀においては、四人麻雀と比べ成立しやすいか否かは比較が難しい。三人麻雀では一般的に萬子の2 - 8を使用しないが、これにより么九牌の総枚数は変わらない一方で中張牌の総枚数が28枚も減っているため、単純に么九牌を捨てる事が出来る期待値が大幅に高い。加えてチーが無いため捨て牌を鳴かれて不成立にされる危険が少ないので成立しやすいと見る者と、そもそも三人麻雀において四人麻雀より流局自体が少なく、流局時をもって成立とする流し満貫は成立が困難と見る者もいる。
脚注
注釈
- ^ 流し満貫を採用するルールではほぼすべてのルールにおいて荒牌流局の成立が流し満貫の条件となっているが、定義に「荒牌流局時」と明示的に記述しているルールを以下に挙げる。
- ハンゲーム 三人麻雀. “遊び方”. 2011年8月30日閲覧。
- ヨーロッパ麻雀協会 (2008年5月14日/2012年1月8日). “Riichi Rules for Japanese Mahjong”. 2012年7月1日閲覧。
- ヨーロッパで開催されている日本式麻雀の大会の公式ルール。
- p19、4.2.4 Five fan yaku - All Terminals and Honours Discard の項に「After an exhaustive draw」とある。
- 栗原安行『カラー版 麻雀教室』日東書院、1986年。ISBN 4528004364。(p152)
- 天野大三、青山敬『新現代ルールによる図解麻雀入門』梧桐書院、1979年。ISBN表記なし、0076-590868-2368。(p124-p125)
- ^ 流し満貫を採用するほぼすべてのルールにおいて、流し満貫成立の条件は「自分の捨て牌の状態」を問うのみで、「自分が鳴いているか」「自分の手がテンパイしているかどうか」は流し満貫の成立条件に入っていない。ただし、例外がないわけではない。以下に、流し満貫の成立条件に「自分の手牌の状態」を含めている例外を挙げる。
- ヨーロッパ麻雀協会 (2008年5月14日/2012年1月8日). “Riichi Rules for Japanese Mahjong”. 2012年7月1日閲覧。
- ヨーロッパで開催されている日本式麻雀の大会の公式ルール。
- p19、4.2.4 Five fan yaku - All Terminals and Honours Discard の項に「if he has a concealed hand」とあり、門前を崩している場合には流し満貫の成立を認めないとするルールになっている。
- バビロン(馬場裕一)『麻雀手役大事典』毎日コミュニケーションズ、2002年。ISBN 4839908672。p206。手役解説の中で「本人がメンゼンであり、かつその捨て牌が他家によってポン、チーされていないという条件を満たさない限りは流し満貫にはならない」(原文ママ)とある。
- ^ 新現代ルールは役満の値段を三倍額満貫・四倍額満貫・五倍額満貫の3種に分けており、流し満貫は三倍額満貫と規定されている。すなわち、「流し満貫は役満として扱うが、得点は(今日役満の額面として一般的な四倍満ではなく)三倍満とする」ということである。新現代ルールで三倍額満貫と規定されている役満役は流し満貫の他に6つあり、人和・大車輪・百万石・緑一色・四暗刻・国士無双および流し満貫の計7つが三倍額満貫である。(麻雀のローカル役#新現代-役満も参照のこと)
出典
- ^ a b 栗原安行『カラー版 麻雀教室』日東書院、1986年。ISBN 4528004364。p152、十三無靠と流満貫の解説ページ。「この役は採用していない所が多い」との但し書きあり。
- ^ a b c 天野大三、青山敬『新現代ルールによる 図解麻雀入門』梧桐書院、1979年。ISBN表記なし、0076-590868-2368。新現代ルールは1970年代に制定・発表された傍流のルール体系だが、p124およびp219に満貫役の1つとして「么九振り切り」(流し満貫)の解説があり、三倍額満貫と規定されている(三倍額満貫:基本点6000点役、標準的なルールの三倍満に相当)。役の定義は標準的ルールと同一である。
- ^ 来賀友志、甲良幹二郎『麻雀蜃気楼』竹書房、近代麻雀コミックス、1993年。劇画作品ではあるが、第1巻p48、劇中に「流しは三倍満よね」とのやりとりがある。
- ^ a b Maru-Jan. “ルール”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ a b 井出洋介監修『平成版 麻雀新報知ルール』報知新聞社、1997年、ISBN 9784831901187、p27。新報知ルールでは十三不塔とともに流し満貫を採用役から除外している。
- ^ a b 天鳳. “マニュアル”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ 東風荘. “麻雀ルール”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ a b 雀賢荘. “麻雀ルール”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ ハンゲーム 麻雀4. “遊び方/点数について”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ a b ハンゲーム 麻雀4. “遊び方/ルール”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ ハンゲーム 麻雀4. “遊び方/役について”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ ハンゲーム 三人麻雀. “遊び方”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ 日本プロ麻雀連盟/ロン2. “遊び方・ルール”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ 雀バト. “対戦ルールと遊び方 (Web魚拓)”. 2011年9月15日閲覧。「オンライン麻雀 雀バト」は、2011年8月31日[1]にサービス終了した前身「近代麻雀オンラインバトル」のルールをそのまま引き継いでいる。その後、雀バトも2012年2月29日にサービス終了した。
- ^ 闘牌王. “ルール”. 2011年8月23日閲覧。
- ^ 雀龍門M. “四人打ち採用ルール役”. 2024年2月1日閲覧。雀龍門M. “三人打ち採用ルール役”. 2024年2月1日閲覧。。
- ^ 雀魂 -じゃんたま- 公式ホームページ、「FAQ」⇒「ゲームの仕様について」⇒「Q: 採用役は?」、2021年1月24日閲覧。
- ^ 桃色大戦ぱいろん+. “初めての麻雀講座 ④役一覧”. 2014年4月13日閲覧。
- ^ “NMB48のカジュアルパーティー ヘルペディア”. nmb48mj.jp. 2022年11月2日閲覧。
- ^ a b 麻雀格闘倶楽部 Extreme. “対局ルール”. 2023年3月29日閲覧。
- ^ a b セガNET麻雀 MJ Arcade 採用ルール
- ^ 日本プロ麻雀連盟. “日本プロ麻雀連盟競技ルール”. 2011年8月24日閲覧。
- ^ 日本プロ麻雀協会. “日本プロ麻雀協会競技規定”. 2011年8月24日閲覧。
- ^ 最高位戦日本プロ麻雀協会 (2000年1月1日改定). “最高位戦日本プロ麻雀協会競技規定”. 2011年8月24日閲覧。
- ^ 最高位戦日本プロ麻雀協会 (2000年1月1日改定). “最高位戦日本プロ麻雀協会競技規定”. 2012年7月3日閲覧。(pdf版)
- ^ 麻将連合. “健康麻将全国オープン戦ルール”. 2012年6月24日閲覧。
- ^ 101競技連盟. “101競技規定”. 2012年6月24日閲覧。
- ^ 竹書房/麻雀最強戦 (2023年). “麻雀最強戦公式ルール”. 2023年12月18日閲覧。
- ^ THEわれめDEポン. “THEわれめDEポン ルール”. 2012年1月29日閲覧。
上記ルールページには流し満貫についての言及がないが、2012年1月27日深夜にCSフジテレビONEで放送された「われめDEポン 第68弾」においてパンクブーブーの佐藤哲夫が流し満貫を和了、満貫扱いの和了扱い。 - ^ ヨーロッパ麻雀協会 (2008年5月14日/2012年1月8日). “Riichi Rules for Japanese Mahjong”. 2012年7月1日閲覧。ヨーロッパで開催されている日本式麻雀の大会の公式ルール。p19、4.2.4 Five fan yaku - All Terminals and Honours Discard の項に詳細。
- ^ a b 浅見了. “流し満貫”. 2011年8月23日閲覧。
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