星表 目的別の星表

星表

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 07:39 UTC 版)

目的別の星表

特殊目的用の星表は全ての恒星を網羅する代わりに、変光星や太陽近傍星といった特定の種類の星に注目して編纂された星表である。

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ロバート・グラント・エイトケンの二重星カタログ (Aitken's double star catalogue)

New general catalogue of double stars within 120 deg of the North Pole (1932, R. G. Aitken).

この星表は赤緯 -30°より北の天域にある17,180個の二重星を収録している。

輝星星表 (BS, BSC, HR)

『輝星星表』は1930年に初版が発行され、『ハーバード改訂光度カタログ』 (Harvard Revised Photometry Catalogue:HR) に掲載されている実視等級 6.5 等より明るい恒星の情報を収録している。略号はHR。この星表には恒星の座標、固有運動、測光データ、スペクトル型、主なカタログ番号などの情報が掲載されている。肉眼で見られる恒星をほぼ全て含むため、アマチュアが星座早見盤プラネタリウムを作る際の元データとして手軽に使える。最新バージョンは第5版(電子フォーマット)で、印刷版として発行された輝星星表の最終バージョンは1982年に発行された改訂第4版である。

グリーゼ近傍恒星カタログ (GJ, Gliese, Gl)

グリーゼ・カタログ』(後に『グリーゼ-ヤーライス・カタログ』とも呼ばれる)は地球から20パーセク以内の近距離の恒星全てを網羅する星表である(後の版では25パーセクまでカバーされている)。『グリーゼ・カタログ』での番号が 1.0 - 965.0 までは、第2版:

Catalogue of Nearby Stars (1969, W. Gliese).

に収録されている恒星である。整数番号を持つ恒星が初版に収録され、小数点の番号を持つ恒星が第2版で追加された新しい恒星であると思われる。この第2版で追加された星表を CNS2 という略称で呼ぶが、恒星の番号にはこの略称は使われない。

9001 - 9850 までの恒星は、補遺:

Extension of the Gliese catalogue (1970, R. Woolley, E. A. Epps, M. J. Penston and S. B. Pocock).

で収録された恒星である。

また、1000 - 1294 と 2001 - 2159 までの恒星は、補遺:

Nearby Star Data Published 1969–1978 (1979, W. Gliese and H. Jahreiss).

に含まれる恒星である。1000 - 1294 までの恒星は近傍星だが、2001 - 2159 までの恒星は近傍星であるかどうか疑わしい恒星であることを示している。

3001 - 4388 までの恒星は、

Preliminary Version of the Third Catalogue of Nearby Stars (1991, W. Gliese and H. Jahreiss).

に含まれる恒星である。この版は "preliminary"(予備版)と名乗っているが、2001年9月時点でまだ正式版は発行されておらず、このカタログが CNS3 と呼ばれている。このカタログには合計 3,803 星が収録されている。これらの恒星のほとんどには既に GJ 番号が付いているが、番号が付いていない星も1,388個(と太陽)が含まれている。これらの星にも何らかの名前を付ける必要があるため、現在ではこのカタログのデータファイルでは通常、これらの星には 3001 - 4388 の番号が付けられている。この非公式な GJ 番号を持つ星の例として、太陽系外惑星を持つ恒星として知られる GJ 3021 がある。

GCTP

『一般三角視差星表』General Catalogue of Trigonometric Parallaxes (GCTP) は1952年に初版が発行され、後に New GCTP に取って代わられた。約9,000個の恒星を収録している。『グリーゼ・カタログ』とは異なり、この星表では太陽からの距離によってデータを限定せず、過去に視差が測定された全ての恒星を収録している。この星表では1900年分点での位置、永年変化、固有運動、平均絶対視差とその標準誤差、視差観測の個数、複数の異なる観測値についての信頼度、実視等級、他の星表との相互参照などの項目が含まれている。また補足情報として、UBV 測光データ、MK スペクトル分類、変光星や二重星であるかどうか、軌道情報など、データの信頼性を評価する助けとなる情報も含まれる。

William F. van Altena, John Truen-liang Lee and Ellen Dorrit Hoffleit, Yale University Observatory, 1995.

ヒッパルコス星表 (HIP)

ヒッパルコス星表 (Hipparcos Catalogue) は ESA の位置天文衛星 Hipparcos によって1989年から1993年まで集められたデータを元に編集された。この星表は1997年6月に発行され、118,218星が収録されている。この星表は特に、過去の地上観測から得られたよりもはるかに高精度の視差の測定値を含んでいるのが特徴である。

固有運動カタログ

太陽近傍の恒星を検出する時によく使われる方法として、他と比べて大きな固有運動を持っている恒星を探すという方法がある。このような大きな固有運動を持つ恒星の星表はたくさん存在するが、ここではそのうちのいくつかを挙げる。ロスウォルフの星表はこの分野のはしりとなるものである。

Ross, Frank Elmore, New Proper Motion Stars, eleven successive lists, Astrophysical Journal, Vol. 36 to 48, 1925-1939
Wolf, Max, "Katalog von 1053 starker bewegten Fixsternen", Veroff. d. Badischen Sternwarte zu Heidelberg (Konigstuhl), Bd. 7, No. 10, 1919; and numerous lists in Astron. Nachr. 209 to 236, 1919-1929

後にウィレム・ヤコブ・ルイテンが一連の固有運動カタログを編纂している。

L - Luyten, Proper motion stars and White dwarfs

Luyten, W. J., Proper Motion Survey with the forty-eight inch Schmidt Telescope, University of Minnesota, 1941 (General Catalogue of the Bruce Proper-Motion Survey)

LFT - Luyten Five-Tenths catalogue

Luyten, W. J., A Catalog of 1849 Stars with Proper Motion exceeding 0.5" annually, Lund Press, Minneapolis (Mn), 1955 ([1])

LHS - Luyten Half-Second Catalogue

Luyten, W. J., Catalogue of stars with proper motions exceeding 0"5 annually, University of Minnesota, 1979 ([2])

LTT - Luyten Two-Tenths catalogue

Luyten, W. J., Catalogue of stars with proper motions exceeding 0"2 annually, Univ. of Minnesota, 1980 ([3])

LP - Luyten Palomar proper-motion catalogue

Luyten, W. J., Proper Motion Survey with the 48 inch Schmidt Telescope, University of Minnesota, 1963-1981

ルイテンの仕事はヘンリー・リー・ギクラスに受け継がれ、彼もいくつかのカタログを出版している。ギクラスの星表はGの後に番号を付ける。

Giclas, H. L., et al., Lowell Proper Motion Survey, Lowell Observatory Bulletins, 1971-1979 ([4])

  1. ^ 数え方によって1,022 - 1,028星。


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