戦術 兵科

戦術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/28 06:08 UTC 版)

兵科

兵科とはそれぞれの部隊が持つ専門分野であり、戦闘兵科、戦闘支援兵科、後方支援兵科に大別される。ここでは戦術的に重要な兵科について簡単に説明する。

歩兵

歩兵は主に小銃などの携帯火器を装備し、徒歩の移動手段を持ち、近接戦闘の能力を持つ兵科であり、地域の占領を行うことが出来る唯一の兵科である。あらゆる地形や状況において柔軟に運用を行うことが出来る。しかし個々の兵員が主体であるために防護性は低い。またその基本的な部隊・装備・運用の差異から軽歩兵部隊・機械化歩兵部隊・空挺部隊などに分類でき、機械化歩兵は装甲車での移動、空挺部隊は航空機での移動能力を持つ。責任交戦距離は0メートルから500メートル程度であり、自動車化された部隊の機動速度は平均して時速18キロメートルである[18]

機甲

機甲は主に火砲・装甲を併せ持って履帯機動を行う戦車を装備し、高度な打撃力を有する兵科である。防護性が高く、不整地突破の能力と高速機動の能力を以って突破・包囲においては打撃部隊の役割を果たす。責任交戦距離は0メートルから2500メートル程度であり、機動速度は平均して時速18キロメートルである[18]

砲兵

砲兵は主に火砲ミサイルなどを装備し、砲迫火力を以って高度かつ連続的な火力を有する兵科である。戦闘においては対象地域の敵の妨害・制圧・破壊を行う火力部隊の役割を果たす。責任交戦距離は、迫撃砲は500メートルから3500メートル、軽砲は3500メートルから10000メートル、重砲・戦術ミサイルは10000メートルから40000メートルである[19]


  1. ^ a b 防衛大学校・防衛学研究会編『軍事学入門』(かや書房、2000年)141頁
  2. ^ コトバンク”. コトバンク. 2024-3-38閲覧。
  3. ^ a b 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)
  4. ^ 松村劭『戦争学』(文藝春秋、平成18年)42頁
  5. ^ 松村劭『戦争学』(文藝春秋、平成18年)72頁
  6. ^ 松村劭『戦争学』(文藝春秋、平成18年)147 - 148
  7. ^ 松村劭『新・戦争学』(文藝春秋、平成12年)146 - 160
  8. ^ 眞邉正行『防衛用語辞典』(国書刊行会、平成12年)
  9. ^ 眞邉正行『防衛用語辞典』(国書刊行会、平成12年)、松村劭『戦争学』(文藝春秋、平成18年)83 - 84頁
  10. ^ 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年) 18 - 19頁
  11. ^ a b 眞邉正行『防衛用語辞典』(国書刊行会、平成12年)
  12. ^ 防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書 陸海軍年表 付 兵語・用語の解説』朝雲出版社
  13. ^ フランク・B・ギブニー編『ブリタニカ国際百科事典 1 - 20』(ティービーエス・ブリタニカ、1972年)などを参考に、戦術の原則について記述し、またしばしば引用される戦術研究として『孫子』、ジョミニの『戦争概論』、クラウゼヴィッツの『戦争論』そして現代陸軍教範にも採用されているフラーの研究をまとめた。その他の軍事学者軍人が導き出した原理についてはそれぞれの項目を参照してもらいたい。
  14. ^ 金谷治訳注『新訂 孫子』(岩波書店、2006年)、栗栖弘臣『安全保障概論』(ブックビジネスアソシエイツ社、1997年)を参考に戦術論に限定し、その主要と思われるものを部分的に抽出した。
  15. ^ ジョミニ、佐藤徳太郎訳『戦争概論』(中央公論新社、2001年)、栗栖弘臣『安全保障概論』(ブックビジネスアソシエイツ社、1997年)247 - 253ページを参考にした。ジョミニの戦略・戦術の区分は現代の戦略・戦術の区分と一致しない点も数多く、ここでは作戦戦略・作戦術・戦術の一部が含まれていると思われる戦争の基本原理の項目を参考に、重複する部分を省き、使用されている言葉を戦術学と適合させて述べている。
  16. ^ クラウゼヴィッツ著、清水多吉訳『戦争論 上下』(中央公論新社、2001年)を参考文献とし、本項目が戦術であるために抽出した箇所も同参考文献29頁などから抽出している。
  17. ^ 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)12 - 17頁およびField Manual 100-5, Operations, Department of the Army, 1993.
  18. ^ a b 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)27頁
  19. ^ 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)28頁
  20. ^ 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)39 - 44頁
  21. ^ 撃退は敵を後退させること。撃破は敵の戦闘力を一時的に不能になるまで減衰させること。撃滅は敵の戦闘力を恒常的に不能になるまで減衰させること。
  22. ^ 防衛大学校・防衛学研究会編『軍事学入門』(かや書房、2000年)170 - 171頁
  23. ^ a b 防衛大学校・防衛学研究会編『軍事学入門』(かや書房、2000年)170 - 171
  24. ^ 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)57 - 62頁
  25. ^ 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)57頁
  26. ^ 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)126頁、栗栖弘臣『安全保障概論』(ブックビジネスアソシエイツ社、1997年)173 - 174頁
  27. ^ 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年) 114 - 121頁
  28. ^ 黒野耐『参謀本部と陸軍大学校』(講談社、2004年)70 - 71頁
  29. ^ ここでの戦略は厳密には作戦戦略を意味する。国家戦略や軍事戦略はこの定義ではない。
  30. ^ 防衛大学校・防衛学研究会編『軍事学入門』(かや書房、2000年)144頁
  31. ^ 防衛大学校・防衛学研究会編『軍事学入門』(かや書房、2000年)145頁
  32. ^ 松村劭『戦争学』(文藝春秋、平成18年)36 - 42頁
  33. ^ 国防研究会編、石原完爾監修『戦術学要綱』(たまいらぼ、1985年)90 - 92頁






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