愛してるぜベイベ★★ 愛してるぜベイベ★★の概要

愛してるぜベイベ★★

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/27 20:31 UTC 版)

愛してるぜベイベ★★
ジャンル 少女漫画アニメ
漫画
作者 槙ようこ
出版社 集英社
掲載誌 りぼん
レーベル りぼんマスコットコミックス
集英社文庫
発表号 2002年4月号 - 2005年1月号
巻数 全7巻
全5巻(集英社文庫版)
話数 全26話
アニメ
原作 槙ようこ
監督 奥脇雅晴
シリーズ構成 吉村元希
キャラクターデザイン 須藤昌朋山中純子
音楽 笠松美樹
アニメーション制作 東京ムービー
製作 トムス・エンタテインメント
アニマックスブロード
キャスト・ジャパン
東映ビデオ
放送局 アニマックス
放送期間 2004年4月3日 - 10月9日
話数 全26話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

作品解説

本作は、現代の東京を主な舞台として描かれている。2000年代の高校生生活や子供の育児問題に話題を挙げた社会的漫画であり連載雑誌においても異例の連載で注目を集めた。


作者の槙ようこは、本作の主役は片倉結平であり[1]、本作では「主人公を男子にしたことで、女子がいっぱい書けて嬉しい。」と記している[2]。既述の通り、本作は漫画雑誌「りぼん」に連載された作品。漫画史研究家の宮本大人によれば、2002年現在において、男子が主人公の作品が、りぼんで連載されたのは珍しいとのことである[3]。ただし、結平だけにこだわらず、他の登場人物のことも描いてゆきたいと槙ようこ自身が述べていたように[1]、結平以外の人物に焦点が当たる部分も存在する。このようなこともあって、本作が取り扱っている題材は多岐に渡っており、親による子供への虐待[4]、親の蒸発、それに伴って置き去りにされた子供、親との死別、親の再婚、親子間の確執、さらには、あちらこちらで発生するいじめなどといった、様々な社会問題や家庭問題を題材にした作品である。この他、男女間の恋愛も繰り広げられて、それによる人間関係の変化なども描かれるなど、恋愛ドラマとしての要素も持つ。これらが登場人物達の日常生活の中で、彼らの心情描写を交えながら展開されている。ただし作者は、社会問題などを題材にすることは自分らしいと考えている一方で、恋愛について描くことはエネルギーを使うといった意味のことを述べている[5]。ところで、りぼんで連載を行っていた関係上、りぼんでは掲載できない絵という物が存在するために、特に、坂下ミキの話などは、いじめのエスカレートによって発生した傷害事件や自傷行為や自殺未遂なども扱っており、りぼんという雑誌側の制限のために制作に難渋したという[6]。ただ、りぼんという雑誌側の制限があったために、例えば第21話の場合、制作の際は非常に苦労したものの、制作後に改めて作品を見直してみると、逆に良い効果が出たのではないかと考えられる話数もあったとのことである[7]。なお、本作の漫画の制作には、槙ようこ以外に複数人のアシスタントなどが関っている他[注釈 1][8][9]、漫画家の持田あきも関った[8][10]。ちなみに本作制作当時、槙ようこは「レオ」と名付けられたイヌを飼育しており、本作のヒロインの1人である坂下ゆずゆのモデルは、レオだと公表されている[注釈 2][11]

アニメ版

本作は原作漫画が「りぼん」で連載中にアニメの制作も行われ、2004年4月3日にアニマックスで放送開始されたことを皮切りに、以降も放送局を変えて何度か放送された。また、2004年8月29日には「ベイベアニメフェスタ」と称するイベントが開催されたなど[12][13]、関連イベントも行われた。このベイベアニメフェスタで、アニメ監督の奥脇雅晴は、原作の温かさ、優しさ、かわいさ、切なさをアニメーションで表現したと述べた[12]。この他、2004年にはアニメを収録したDVDが東映によって製作され、そのレンタルや販売も開始された。ところで坂下ゆずゆには「お絵描き」が好きだという設定が存在する。既述の通り、本作は漫画雑誌のりぼんで連載された作品で、かつ、アニメ化もされた作品であり、本作に関するイラストがりぼんの読者などから多数寄せられた。本作のアニメ化に伴って販売されたDVDには、その一部が「りぼん特選イラストファイル」と銘打って収録されている。

あらすじ

ある日、片倉結平が東栄高校から帰宅すると、そこには見知らぬ女児がいた。彼女は、結平のから見ると母方の叔母に当たる坂下都の娘、つまり、従妹の坂下ゆずゆだった。坂下都は、片倉家に5歳の娘ゆずゆを置き去りにして、そのまま行方をくらませたのであった。ゆずゆの父親は既に死去したこともあり、ゆずゆは片倉家で預かられることになった。そして彼女は片倉家より、あそう幼稚園へ通うことになった。なお、ゆずゆの保護者役を片倉家の面々は、高校生である結平に押し付けた。ところで、結平は姉にこそ頭が上がらないものの、家の外では女性からもてる人物である[注釈 3]。そんな結平に片想いする女性によって、ゆずゆが危害を加えられそうになるなど、様々な事件が待ち受けていた。また、母親に置き去りにされたゆずゆは、なぜ母親がいなくなってしまったのかといったことを始めとして、様々な苦悩を抱えていた。しかし、たとえ自分を置き去りにしたような人物だとは言っても、ゆずゆは母親にまた会いたいとも思っている。このようなこともあり周囲の者の何気ない言葉ばかりか、他の子供が母親に甘える様子を見ただけでも、ゆずゆの心は傷ついたりもした。また、参観日のような親が来るはずの幼稚園のイベントも存在する。その上、幼稚園での他の園児達との交流の中で、ゆずゆの周りでも日々色々なことが起こり、喧嘩することもあれば、落ち込んだりすることもある。そんなゆずゆの面倒を、結平は見てゆくのだった。そうした中で、ゆずゆは結平を慕うようになってゆく。一方、結平と同じ高校に通う女子生徒の徳永心は、幼少期に母親と死別していたのだが、ある日、父親が再婚したことで生活が激変し、結平との関係も変化してゆく。そうして次第に、結平と徳永心は恋仲になってゆく。そんな徳永心に対して、ゆずゆは複雑な感情を抱くのだった。そんな中、月日の経過と共に、ゆずゆからは長く会っていない母親の記憶が薄れ始めた。母親を慕う心はあるものの、だんだん母親の顔を、ゆずゆは思い出せなくなってゆく。徳永心のように母親は死んでしまったわけでもないのに、ゆずゆは母親に会うことができない。ゆずゆは母親への想いを募らせ、薄れゆく母親の記憶にすがろうとするのだった。ただ他方で、片倉家での生活が長くなるにつれて、ゆずゆには新たな人間関係が構築され、特に結平達には強い愛着も生じてきている。また逆に、結平はもちろんのこと片倉家の面々は、ゆずゆに愛着を持つようにもなってきており、結平以外もゆずゆの世話を焼くようになってきた。次第に、ずっと迎えに来てくれない母親への情との間で、ゆずゆの精神は板挟みの状態に陥ってゆく。それでも、ゆずゆの最大の心の支えは母親に他ならないのであった。

なお、ゆずゆは漫画版では最終的に母親の所に戻ったのに対して、アニメ版では最終回でも母親の所には戻らずに片倉家で暮らしたままである。


  1. ^ 本作の漫画の制作に関ったアシスタントの中で比較的有名な人物としては、単行本第7巻 p.181(ISBN 4-08-856594-0)にて朝吹まりの名前が明確に確認できる。ただし、他にも数人のアシスタントが関っている他、単行本の表紙のデザイナーなども制作に関っている。
  2. ^ 坂下ゆずゆには明確なモデルが存在した一方で、本作の主役と位置付けられている片倉結平には明確なモデルが存在しているわけではなかったことも公表されている。
  3. ^ 結平は姉の片倉鈴子に、ゆずゆの面倒を見るよう命じられた上に、他にも、姉の使いぱしりをさせられている描写などがある。これに対して、自身が通う東栄高校の女子生徒に限らず、例えば、ゆずゆが通う幼稚園の女性職員からすら、結平は好意を持たれる描写が見られるなど、家の外で女性に好意を持たれる描写がたびたび登場する。
  4. ^ ゆずゆは、片倉家に来てから体重が17 kgを超えた。また、作中で服が小さくなるなど急速に成長している描写が見られるため、ゆずゆの身長や体重などは参考程度である。
  5. ^ 単行本第4巻(ISBN 4-08-856515-0)ではゴキブリの出現に片倉鈴子が激しく取り乱す様が描写されており、彼女のゴキブリに対する嫌悪感は甚だしい。
  6. ^ 転校前の単行本第4巻(ISBN 4-08-856515-0)の表紙と、転校後の単行本第6巻(ISBN 4-08-856565-7)の表紙裏に、それぞれカラーの坂下ミキの絵が載っている。これらを比較する限り、例えば、単行本第4巻では髪を赤系統の色で染めていたのに対して、単行本第6巻では黒髪になっているなど、少なくとも外見の変化は確認できる。
  7. ^ 例えば、鏡亜希が露出狂の男性に襲われそうになった悪夢を見ると、亜希はしばらく1人で外を歩けなくなるため、田端芯は家が近所の亜希と一緒に帰るといったことをしていたことを示す会話が、原作漫画の単行本第6巻(ISBN 4-08-856565-7)に存在する。
  8. ^ 大賀あかりの妹の綾が、母親はずっと家にいないと言っている。また、作中で朝、母親が出勤する描写はあるものの、綾が風邪で発熱しても、あかり1人で綾の看病に当たっている描写が、原作漫画の単行本第6巻(ISBN 4-08-856565-7)に存在する。さらに、原作漫画に父親は1回も登場しない。
  9. ^ 例えば、ゆずゆは原作漫画の単行本第5巻(ISBN 4-08-856536-3)で、久保田あゆみのことを指して「(皐に)カノジョいる」と言っていた。また坂下ミキは、原作漫画の単行本第6巻(ISBN 4-08-856565-7)で、あゆみのことを「(皐の)彼女」扱いしていた。
  1. ^ a b 単行本第3巻 p.166 ISBN 4-08-856484-7
  2. ^ 単行本第1巻の後書き ISBN 4-08-856416-2
  3. ^ a b 毎日新聞 2002年7月16日 夕刊 6面
  4. ^ a b スティングレイ・日外アソシエーツ 編集 『アニメ作品事典 - 解説・原作データ付き』 p.5 日外アソシエーツ 2010年7月26日発行 ISBN 978-4-8169-2268-8
  5. ^ 単行本第1巻の巻末に掲載の日記「2002年6月27日分」 ISBN 4-08-856416-2
  6. ^ 単行本第4巻 p.142 ISBN 4-08-856515-0
  7. ^ 単行本第5巻 p.160 ISBN 4-08-856536-3
  8. ^ a b 単行本第2巻 p.72 ISBN 4-08-856452-9
  9. ^ 単行本第7巻 p.180 - p.183 ISBN 4-08-856594-0
  10. ^ 単行本第4巻 p.70 ISBN 4-08-856515-0
  11. ^ 原作者 槙ようこ先生インタビュー (2018年10月3日閲覧)
  12. ^ a b アニメDVD第6巻収録「特典映像」
  13. ^ 単行本第6巻 p.102 ISBN 4-08-856565-7


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