微分同相写像 定義

微分同相写像

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/29 03:17 UTC 版)

定義

2 つの多様体 MN が与えられたとき、可微分写像 f: MN全単射かつ逆写像 f−1: NM も可微分なとき微分同相写像) (diffeomorphism) と呼ばれる。この関数が r 回連続微分可能であれば、fCr微分同相写像) (Cr-diffeomorphism) と呼ばれる。

2 つの多様体 MN微分同相 (diffeomorphic) である(記号では通常 ≃)とは、M から N への微分同相写像 f が存在するということである。それらが Cr 微分同相 (Cr diffeomorphic) であるとは、それらの間の r 回連続微分可能な全単射が存在して逆写像もまた r 回連続微分可能であるということである。

多様体の部分集合の微分同相写像

多様体 M の部分集合 X と多様体 N の部分集合 Y が与えられると、関数 f: XY は次のとき滑らか (smooth) であると言われる。すべての pX に対して p のある近傍 UM と滑らかな関数 g: UN が存在して制限が一致する

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2011年11月

モデル例。 U, VRn の連結開部分集合であって V単連結なとき、可微分写像 f : UV微分同相写像 (diffeomorphism) であるとは、それが固有写像であり微分 Dfx : RnRn が各点 xU において全単射であるということである。

Remark 1. 関数 f が(その微分が各点で全単射という条件だけのもとでは)大域的に可逆であるためには V単連結であることは本質的である。例えば、複素平方関数の「実化」

を考えよう。すると f は全射であり

を満たすので Dfx は各点で全単射だが f は可逆でない、なぜなら単射でないからだ、例えば f(1,0) = (1,0) = f(−1,0)。

Remark 2. (微分可能関数に対して)各点での微分

線型写像であるから well defined な逆関数を持つことと Dfx が全単射であることは同値である。Dfx の行列表現は i-行目と j-列目の成分が であるような一階偏微分の n × n 行列である。しばしばこのいわゆるヤコビ行列を明示的な計算に対して使う。

Remark 3. 微分同相写像は同じ次元の多様体間でなければならない。仮に fn 次元から k 次元に行っていると想像しよう。n < k であれば Dfx は全射にはなり得ず n > k であれば Dfx は単射にはなり得ない。なのでどちらの場合にも Dfx は全単射にならない。

Remark 4. Dfxx において全単射であれば f局所微分同相写像 (local diffeomorphism) であるという(なぜならば連続性によって x に十分近いすべての y に対して Dfy もまた全単射になるからである)。

Remark 5. 次元 n から次元 k への滑らかな写像が与えられると、Df (resp. Dfx) が全射であれば、f沈めこみ (submersion) (resp. 局所沈めこみ (local submersion)) と言い、Df (resp. Dfx) が単射であれば fはめ込み (immersion) (resp. 局所はめ込み (local immersion)) と言う。

Remark 6. 可微分全単射は微分同相とは限らない、例えば f(x) = x3R から自身への微分同相ではない、なぜならば微分が 0 において消える(したがって逆関数が 0 において微分可能でない)からである。これは微分同相でない同相写像の例である。

Remark 7.f可微分多様体の間の写像であるとき)f が微分同相写像であることは f同相写像であることよりも強い条件である。微分同相写像に対して f とその逆関数が可微分である必要がある。同相写像に対しては f とその逆関数が連続であることを要求するだけである。したがってすべての微分同相写像は同相写像であるが、逆は間違いである: すべての同相写像が微分同相写像であるわけではない。

さて f : MN座標チャートにおいて上の定義を満たすとき微分同相写像 (diffeomorphism) と呼ばれる。より正確には、協調的な座標チャートによって M の任意の被覆を選び、N についても同じことをする。φ と ψ をそれぞれ MN 上のチャートとし、U を φ の像とし V を ψ の像とする。このとき条件は写像 ψfφ−1 : UV が(意味を持つときにはいつでも)上の定義の意味で微分同相写像であるというものである。2つの与えられたアトラスのチャート φ, ψ のすべての対に対してそれを確認しなければならないが、一度確認されてしまえば、任意の他の協調的なチャートに対しても正しくなる。再び次元は一致しなければならないことがわかる。


  1. ^ Smale, Diffeomorphisms of the 2-sphere, Proc. Amer. Math. Soc. 10 (1959) 621–626.





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