影
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/05 10:15 UTC 版)
天体現象における影
日食
日食は、地上で観測する人には、太陽光球面を月が遮り、太陽からの光を消し去る天文現象に見える。しかし、日食が起こっているとき、宇宙空間から地球表面を見ると、「月の影」が、徐々に大きさを増して、地球表面を通過して行く現象に見える。
このとき、地球表面にできる月の影が、半影である場合は、部分日食であり、ごく一部の地域でも、真影が生じる場合、地球上のこの地域では、皆既日食が起こっている。
月食
日食の場合は、地球上の観測者は影を観測するのではなく影のなかに自身が入って行くが、月食は、月面に映る地球の影を観察する天文現象である。
地球の方が月よりも大きな天体であり、月から見た地球の視直径は、地球から見た月の視直径よりも遥かに大きい(実質の大きさでも、視直径でも、地球が月の約4倍)。このため、日食に比べ月食の方が起こりやすい。
日食の場合は、1)部分日食、2)皆既日食、そして、月の視直径と太陽の視直径が非常に近い数字であるため稀に起こる、3)金環日食の三種類の食がある。月食の場合は、地球の視直径が大きいので金環月食はない。その代わりに、半影食があり、月食の場合は、1)半影月食、2)部分月食、3)皆既月食の三種類になる。
半影月食は、月から見ると、地球による部分日食に見えるが、地球から見る部分日食と異なるのは、地球から見える月面の全領域が、太陽の半影領域に入ることである。月面全体から見て、地球による部分日食が起こっている状態である。
自然物や人工物の高さの測定
樹木やピラミッドの高さなどを、それらが造る影の長さを測定して、同じときに測った、垂直に立てた棒などの影の長さとの相似計算で算出する方法は古代から存在した。
近年、人工衛星による地上写真を元に、山や、建造物などの高さを、その影の長さを測定し算出する技術がある。人工衛星から、垂直に下の地上を撮影した衛星写真では、建造物の構造とか、自然の地形とかが平坦に写り、起伏が判別できないので、影を使って、立体構造を識別する。
このような影を使う、高さの算出方法は、月面に存在する山や盆地の高低などの測定にも使われていた。また水星や火星などの地形も、この方法で算出することができ、惑星間人工天体の飛行で、以前は近接して観測できなかった小惑星や外惑星の衛星などの写真においても、影のありようを解析して、立体的な起伏を算出することができる。
- 1 影とは
- 2 影の概要
- 3 天体現象における影
- 4 文化的概念としての影
- 5 文化的現象としての影の意味
- 6 参考文献
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