岸記念体育会館 概要

岸記念体育会館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/01 07:18 UTC 版)

概要

第2代大日本体育協会会長・岸清一の遺言により100万円(現在の28億円ほどに当たる)が寄付されて1940年東京府神田駿河台(現在の千代田区神田駿河台)に建設。設計者は「岸田日出刀設計顧問、前川國男建築設計事務所設計監理」となっているが、実際に設計を担当したのは丹下健三である[2][3]

1964年東京オリンピック開催時にオリンピックの選手村代々木選手村)に隣接する渋谷区神南に移転(初代会館の跡地には日立本社ビル→御茶ノ水セントラルビルの建設・解体を経て御茶ノ水ソラシティが建つ)。建物前に岸清一の銅像が設置されていた。地下1階に体育協会資料室が併設され、スポーツ関連の書物が閲覧可能になっていた。

塔屋に「岸体育館」と表記されていたので勘違いされることが多いが、体育館の機能はなく、オフィスビルである。

移転・解体へ

建物の老朽化・耐震性の問題に加え、2011年7月の日本体協の創立100周年記念を迎えるにあたり、建て替えが検討され、併せてスポーツ界に大きな功績を残した選手などを称える「日本スポーツ殿堂」を館内に設けるプランも検討され[4]、2010年5月には具体的な案を検討する委員会が発足したが、同地は東京都の都市計画公園(代々木公園)の指定を受けている関係で建築物の規制が厳しく、検討作業は難航していた[5]。その間にも日本陸上競技連盟日本バスケットボール協会などが、耐震設計上の観点から職員の安全確保を理由に移転しており「日本スポーツ界の総本山の屋台骨が揺らぐ事態」や「文化財的建造物の破壊」と懸念する声もあった[6]

そのような中、都が明治神宮外苑一帯の再整備に併せて同所への移転を提案。2013年9月には、2020年東京オリンピック開催が決定したことを受けて、現在地での建て替えを諦めた上で、国立競技場建設に伴い建て替えが予定されている日本青年館、もしくはナショナルトレーニングセンターへの移転が検討されていると報じられた[7]

2016年2月には、新宿区霞ヶ丘町地区の東京都所有地に新ビル(地上14階/地下1階)を建てて移転する計画を発表した[8][9]。新たなビルの名は2018年11月8日に行われた日本スポーツ協会の理事会で「JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE」に決定し[10]、2019年4月に完成した。

2019年5月より順次各競技団体が新施設のJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREへの移転を実施し[11]、完了した後の8月1日から建物の解体が始まった[12]。解体後更地となったあとは代々木公園の一部として整備される予定である[8][11]

なお、新施設のJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREは2019年5月16日に竣工式を行い正式にオープンしており[13]、館内には「岸清一メモリアルルーム」が設けられた。


  1. ^ “スポーツ界の拠点として半世紀 東京・渋谷の岸記念体育会館8月取り壊し 孫は万感の思い”. 毎日新聞. (2019年5月15日). https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20190515/k00/00m/050/247000c 2019年7月15日閲覧。 
  2. ^ 丹下健三・藤森照信 2002、67頁。事実、発表に当たって前川と共に丹下の名前も並記されている(Casa BRUTUS 2009、84頁)。
  3. ^ 津村泰範「岸記念体育会館と木造モダニズム」『新建築』第70巻第13号、新建築社、1995年12月、112-114頁。 
  4. ^ 岸記念体育会館建て替え、殿堂も 日本体協100周年事業 - 47NEWS 2010年1月6日 Archived 2011年9月25日, at the Wayback Machine.
  5. ^ 老朽化の岸記念体育会館、建て替え計画が難航 体協 - MSN産経ニュース・2010年12月24日
  6. ^ “日本スポーツの総本山 岸記念体育会館老朽化 引っ越し団体相次ぐ”. 日本海新聞. (2012年12月23日) 
  7. ^ 岸記念体育会館移転にゴーサイン - 東京スポーツ・2013年9月11日
  8. ^ a b (東京都都市整備局)『岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転について』(HTML)(プレスリリース)2018年6月1日https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/toshi_saisei/saisei07_04.htm2019年5月3日閲覧 
  9. ^ “体育協会/岸記念体育会館移転/神宮外苑地区(東京都新宿区)に、17年夏着工へ”. 日刊建設工業新聞オンライン. 日刊建設工業新聞社. (2016年2月4日). https://www.decn.co.jp/?p=59995 2019年5月3日閲覧。 
  10. ^ “移転後の名称決まる=競技団体入居の岸記念体育会館”. 時事通信. (2018年11月8日). https://web.archive.org/web/20181119091903/https://www.jiji.com/jc/pyeongchang2018?s=news&k=2018110801163 2018年11月18日閲覧。 
  11. ^ a b “スポーツ界の総本山 岸記念体育会館”. 産経新聞【東京版】. 産業経済新聞社: p. 14. (2019年5月3日) 
  12. ^ “岸記念体育会館の解体始まる 老朽化、日本スポーツの総本山”. デイリースポーツ. 神戸新聞社. (2019年8月1日). https://www.daily.co.jp/general/2019/08/01/0012569267.shtml 2019年9月1日閲覧。 
  13. ^ スポーツ界の新たな拠点「JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE」の竣工記念行事を開催!』(プレスリリース)日本スポーツ協会、2019年5月16日https://www.japan-sports.or.jp/news/tabid92.html?itemid=39572019年7月25日閲覧 
  14. ^ 機関誌「RUGBY FOOTBALL」第14巻5号(1965年5月号)1頁”. JRFU. 2024年4月1日閲覧。
  15. ^ 機関誌「RUGBY FOOTBALL」第32巻3号(1982年11月号)26頁”. JRFU. 2024年4月1日閲覧。


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