天然ウラン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/28 09:12 UTC 版)
ウランの濃縮
転換工場で転換された純度を高められたウランは、濃縮工場に送られて、ガス拡散法または遠心分離法でウラン238に対するウラン235の比率(濃縮度)を高める。この過程を濃縮と呼ぶ。日本では六ヶ所村に濃縮工場がある。なお、日本国内でウランを買いつける場合は、転換工場から六フッ化ウランを購入するか、日本国外の濃縮工場で濃縮された六フッ化ウランを購入する、もしくは海外の再転換工場で二酸化ウランにしたものを購入する、などの方法をとることになる。
燃料加工
天然ウランをそのまま核燃料として使用する黒鉛炉、重水炉の場合は、転換工場から再転換工場へ送られ、天然ウランの六フッ化ウランから核燃料用の金属ウラン棒や二酸化ウランの燃料ペレットが製造される。
軽水炉で使用する場合は、濃縮工場で濃縮ウランに加工され、30Bシリンダー(直径30インチ(約76cm)、長さ約2mの鋼製二重円筒容器)と呼ばれる輸送容器に封入されて再転換工場へ出荷される。
再転換工場(ADU法)では、上述の30Bシリンダーの弁を開けて加熱することにより、UF6を取り出し、水と反応させてUO2F2を生成する。このUO2F2にアンモニアを加えて重ウラン酸アンモン (ADU, (NH4)2U2O7) を作る。
- 2UO2F2 + 6NH4OH → (NH4)2U2O7 + 4NH4F + 3H2O
このADUを水素で還元することにより二酸化ウラン粉末を生成する。
二酸化ウラン粉末は、燃料加工工場に渡されて上述の燃料ペレットに加工されて、ジルカロイ等の合金で作られた燃料被覆管に封入される。この被覆管を束ねて燃料集合体が作成される。
イエローケーキの保障措置
従来、イエローケーキはIAEAの査察対象ではなく、イエローケーキを加工して純度を高めた六フッ化ウラン以降からが査察の対象であった。しかしながらイラクの核兵器開発疑惑を発端として包括的保障措置協定に追加される議定書(追加議定書-INFCIRC/540-)が発効した結果、イエローケーキについても取扱量が10トンを超える場合は査察の対象となった。
- ^ 経済産業省、資源エネルギー庁「エネルギー白書 2009年版」 2011年8月25日 閲覧
- ^ US EIA "Uranium Marketing Annual Report 2010" 2011年8月25日 閲覧
- ^ 『鳥取県大百科事典』p632-633
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