合所ダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 09:32 UTC 版)
旧浮羽郡3町における合所ダム等の水利権問題
背景
うきは市は、旧浮羽郡3町(浮羽町、吉井町、田主丸町)の時代から、地下水(井戸水、伏流水)を除いて独自の水利権を持つ上水道供給源を持たず、また供給源を開発する水道事業計画も建てられたことはない。簡易水道や用水供給設備の割合はわずかである。なお、平野部の農地灌漑用水は、江戸時代に築造され筑後川から取水する地元では有名な「大石長野水道」であり、こちらは慣行水利権の扱いになる。
合所ダムは、うきは市内に建設されているが、建設費用の内、上水道水利分に係る建設負担金は福岡地区水道企業団・福岡県南広域水道企業団が負担している。さらに、江川ダム・寺内ダムについては、この2ダムから、本来は福岡地区水道企業団を通して旧浮羽郡3町に供給するべき水源の割当配分が存在するが、旧浮羽郡3町は2ダムに対する建設負担金を支払っておらず、福岡地区水道企業団・福岡県南広域水道企業団が2ダムの建設費用を負担している。
以上の事情から、竣工当時からこれら3ダム分における3町分の水利権は行使されず遊休している状態[5]であったため、当時の福岡県知事の亀井光の仲介で、旧浮羽郡3町と両水道企業団との間で昭和50年7月5日に、覚書・確認書が取り交わされ、本来は「合所ダム・江川ダム・寺内ダムから旧浮羽郡3町に供給するべき水利権の配分」を、期限付きで、両水道企業団が旧浮羽郡3町より「借用」する形となった。当該「期限」は、合所・江川・寺内の3ダムの外の次期水源が開発され、または10年を経過した時点とされていた[6]。
その後の水源開発により次期水源が確保[7]されたため、前記「借用分」の水利権利用分を上水として旧浮羽郡3町に「返還」する事が物理的に可能になった。実際には、合所・江川・寺内の3ダムからの「借用分」の水量を、合所ダムから旧浮羽郡3町に供給する事により都合する事が、前述の「覚書」に記載されている。
しかし、現うきは市(旧浮羽郡2町)においては、3億6千万円にも上る合所・江川・寺内の3ダムの建設費用負担金が、水道企業団に支払われない状態が続いており、また、上水道を整備して利用する具体的事業化も進んでいないため、「覚書」の「借用分」水量の「返還」は未だ履行されていない状態が続いている。
結果として、うきは市は、市内にある合所ダムからの、水利権分に見合った取水を利用する有効な手段がない状態が継続している。
なお、旧浮羽郡3町のうち旧田主丸町については久留米市と合併して福岡県南広域水道企業団に参加し上水道整備を推進(なお、合併以前から簡易水道設備がある)しており、上記の問題は解消されているものと見られる。
経緯
うきは市にて、小石原川ダムの開発により、次期水道事業の水利権を取得する動きが出た際に、この福岡地区水道企業団・福岡県南広域水道企業団と旧浮羽郡3町との「覚書」の存在が浮上してきた。この問題はうきは市の議会で取り上げられ、一部の市民団体によりアピールがなされている。また、2009年以降の民主党政権下の「ダム事業見直しブーム」により、小石原川ダムの事業の先行きと合わせて、うきは市内での水利問題が取り沙汰された。
水道企業団への参加問題
また、うきは市は福岡県南広域水道企業団などに参加しておらず、独自水源であり、しかも上水道未整備であり、平野部の灌漑用水を除いては、ほとんどが井戸水などに依存している。
同水道企業団に参加し上水道の供給を受けた場合、水利権問題や次に述べるダム設置交付金の問題は、参加以降の将来分については解消されるものの、合所ダム・江川ダム・寺内ダムの建設負担金支払いや導水管の整備、市内の水道管整備などに多額の資金が必要となる。そもそも市民にとっては水道料金の支払いが増えるため抵抗がある。また筑後導水(田主丸導水管)からポンプアップして市に戻す事になるため、エネルギーや設備の無駄遣いであると言う主張もある。
これに対し、上水道整備を独自水源(合所ダムなど)による場合と水道企業団に参加した場合とで、国からの補助金があるために総費用は大差がなくなると言う主張や、独自水源の場合は渇水時に断水すると言う主張もある(ただし井戸水はある)。以上、市議会や市民団体の間で議論となっている。
- ^ 福岡地区水道企業団構成自治体・組合は、福岡市、大野城市、筑紫野市、太宰府市、春日那珂川水道企業団、古賀市、宇美町、志免町、須恵町、粕屋町、篠栗町、久山町、新宮町、宗像地区事務組合、糸島市
- ^ 福岡県南広域水道企業団構成自治体・組合は久留米市、大川市、筑後市、柳川市、大牟田市、八女市、朝倉市、みやま市、大木町、広川町、筑前町、三井水道企業団《小郡市、久留米市、大刀洗町》
- ^ “平成28年度 福岡県の水道 - 福岡県庁ホームページ”. www.pref.fukuoka.lg.jp. 2018年10月14日閲覧。
- ^ http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/126267_50282781_misc.pdf
- ^ http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/319645_53391315_misc.pdf
- ^ 浮羽郡3町分の借用水に対する考え方について(福岡地区水道事業団)http://gosyodamu.web.fc2.com/suiriken/img/hentousyo.jpg
- ^ 大山ダム http://www.pref.fukuoka.lg.jp/d13/ooyama.html
- ^ “ダム交付金20年請求忘れ、うきは市が2水道企業団に”. 読売新聞. 2014年2月4日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “合所ダム交付金:2水道企業団が8億円未払い うきは市に5年分支払いへ /福岡”. 毎日新聞福岡版. 毎日新聞. 2014年2月5日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 株式会社データ・マックス「水道企業団うきは市への交付金未払い問題|Net-IB|九州企業特報」『NetIB-NEWS』。2018年7月6日閲覧。
- 1 合所ダムとは
- 2 合所ダムの概要
- 3 概要
- 4 旧浮羽郡3町における合所ダム等の水利権問題
- 5 合所ダムの設置交付金の未払い問題
- 6 うきは市のダム
固有名詞の分類
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