双対ベクトル空間 商空間と零化域

双対ベクトル空間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/15 08:59 UTC 版)

商空間と零化域

F 上のベクトル空間 V の部分集合 S に対し、SV* における零化域 So は、任意の sS に対して [f, s] = 0 を満たす線型汎函数 fV* 全体の成す集合と定義される。すなわち、SoS への制限が消えているような線型汎函数 f: VF (f|S = 0) 全てからなる。

部分集合の零化域はそれ自身がベクトル空間を成す。特に、空集合の零化域は(条件が自明に満たされる英語版から)V* 自身 (o = V*)であり、また V の零化域は零部分空間 (Vo = 0) である。さらに言えば、V の部分空間にその零化域を対応させることは包含関係を逆にする操作、すなわち部分空間の包含列 STV に対し

が成り立つ。また、V の二つの部分集合 A, B に対し

が成り立ち、V が有限次元のときはこれは等号で成り立つ。これはさらに適当な添字集合 I で添字付けられる V の任意の有限部分集合族 Ai に対して

が成り立つから、特に V の部分集合 A, B に対して

となることを導く。

有限次元ベクトル空間 V とその部分空間 W に対し、二重双対の自然な同型 VV** による W の像を W と同一視するとき

が成り立つ。従って特に、零化域をとる操作は有限次元ベクトル空間の部分空間束上のガロワ対応を定める。

V の部分空間 W に対し、商空間 V/W はそれ自身ベクトル空間であり、その双対を考えることができる。第一同型定理によれば、汎函数 f: VFV/W 上の汎函数を誘導するのは Wfに含まれるとき、かつそのときに限るから、同型

が導かれる。特に、V が二つの部分空間 AB との直和に分解されるとき、V*AoBo の直和に分解される。


注釈

  1. ^ 量子力学などの多くの分野では ·,·V × V 上の半双線型形式 を表すのに用いている。
  2. ^ a b c 本項においていくつかの事項を正当化するために、ある種の選択公理が必要であることを言っておかなければならない。例えば、任意のベクトル空間が基底を持つこと(特に RN が基底を持つこと)を示すには選択公理(に同値なツォルンの補題)が必要である。あるいはまた、無限次元ベクトル空間 V の双対が零でないとき、V からその二重双対への自然な写像が単射であることを言うためにも必要である。

出典






英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「双対ベクトル空間」の関連用語

双対ベクトル空間のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



双対ベクトル空間のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの双対ベクトル空間 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS