加藤祐治 加藤祐治の概要

加藤祐治

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/25 01:56 UTC 版)

来歴

物心ついた時からの鉄道好きで、戦後に父が経営していた加藤金属工芸社のドロップフォージング技術を生かし、当時珍しかったピボット軸受けの16番鉄道模型用の台車を発売[2]加藤祐治は1949年に交通博物館で開催された鉄道模型コンクールにおいてHOゲージの車両が入賞したことがきっかけとなり[3]実家の加藤金属(世田谷)から独立し[4][5]1957年8月、東京都文京区関口水道町[6]に鉄道模型用金属部品工場を興し、この地にちなんで関水金属彫工舎と名づけた。当初はドロップフォージングにてHOゲージの台車枠などの部品を他社向け(アトラス工業、天賞堂カワイモデルカツミ模型店つぼみ堂模型店、アカネ、トビー[5])にOEM生産していた。

加藤は1960年代初頭、普及型鉄道模型の量産を計画し、小型鉄道模型の構想・開発に着手した。当初TTゲージ(1/110・12㎜ゲージで制作)のC50を試作したが[7]鉄道模型趣味誌 (TMS) 主筆であった山崎喜陽のアドバイスで、1964年にはNゲージ完成品分野への進出を正式に発表し、翌1965年に射出成型によるプラスチック製の国産初の本格的Nゲージ製品として 国鉄C50形蒸気機関車オハ31形客車が発売された。当時は、小型模型に適したモーターネジ等の部品がなく、工作機械も未整備だった黎明期に独自の設備と技術の自助努力によって模型を作り上げた。

社長在任中はレールの1本から国内生産にこだわり、外国型の模型も国内の自社工場で生産・輸出することで、日本の鉄道模型のクオリティを向上させてきた[2][8]

1997年、埼玉県鶴ヶ島市に埼玉工場が竣工した際には、加藤自ら愛用のライカカメラを操り、工場の全景写真を撮影している。この写真はKATOの鉄道模型カタログにも長く使われた。

2004年に経営から退く。

2016年、KATOのNゲージ50周年記念製品として発売した国鉄C50形蒸気機関車の付録として、ネコ・パブリッシングが記念誌の編集統括を行っていたが、その記念誌の校了を見届けた翌日に永眠したという[2]

2016年12月18日にホビーセンターカトー東京店にて行われた「ベストオブレイルコンテスト2016」では、冒頭で加藤祐治への黙祷が行われた[9]

文献

外部リンク

  • 訃報”. 関水金属 (2016年12月1日). 2016年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月25日閲覧。

  1. ^ 記念誌』(p46)
  2. ^ a b c d 月刊RM MODELS 258号166ページ「Nゲージの父 加藤祐治さんを偲ぶ」
  3. ^ 水野良太郎『鉄道模型を愉しむ 総合編』東京書籍、2000年、58頁
  4. ^ 加藤金属は1952年に台車の製造中止の広告を掲載『鉄道模型趣味』No.52、1952年11月号、181頁
  5. ^ a b 前里孝「模型製品としての台車の素材・製法概史」『とれいん』No.442
  6. ^ 現在の関口3丁目にあたる。水害にあい1年ほどで新宿区西落合に移転。
  7. ^ 「製品の紹介」『鉄道模型趣味』No.211、67頁
  8. ^ 加藤が経営から退いた2004年以降は、一部に中国生産の製品が存在する。例として、ジオタウンのアクセサリーである日野・ポンチョの模型などは、アイコムが中国で生産したもののOEM供給である。
  9. ^ ベストオブレイルコンテスト2016。”. 編集長敬白 (2016年12月20日). 2016年12月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月25日閲覧。


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