副露
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/23 01:07 UTC 版)
大明槓
手牌の中に刻子(同種の牌3枚)が存在し、他のプレイヤーがこれと同じ牌(4枚目の牌)を打牌したとき、これら4枚の牌をひとつの槓子とすることができる。これを大明槓(ダイミンカン)という。これも副露の一種である。
チーやポンと異なり、打牌の前に続けて暗槓・加槓を行うことができる。
関連のあるルール
発声の優先順位
あるプレイヤーの打牌に対し、チー・ポン・カン・ロンのいずれか2つ、または3つが同時に行われる場合がある。
この場合、発声のタイミングに明らかな差があれば、発声の早いほうを優先するのが一般的である。ただし、発声がほぼ同時の場合、優先順位は次の通りとする。
- ロン
- ポンまたはカン(ポンとカンが同時に行われることはあり得ない)
- チー
ただし、ルール上はポンまたはカンは打牌に対して即座に、チーはワンテンポ置いてから発声することになっており、いずれも切った者の下家が自模牌に触れるまでに発声されることが望ましい(自分の上家が切った牌については、必ず自分が自模牌に触れるまでに発声しなければならない)。ワンテンポ置いたチーに遅れて発声を行ったポンを遅ポンとして、その優先権を認めない団体や雀荘もある。
なお、同時発声の優先順位により無効とされたチーが空チーとしてペナルティの対象にされることはない。発声遅れで優先権を失ったポン(遅ポン)に関しては、空ポンとしてペナルティ対象にすることがある。
食い替え
手のうちで完成している面子をわざと崩して一部を副露し、同巡に残りの牌を打牌することを食い替えという。食い替えにはポン・チーした牌と打牌が同一である同一牌食い替えと、チーした牌と打牌が両門待ちの筋を構成する筋食い替えがある。
(例1) 手牌の中に345という順子があり、6をチーして3を切る。
(例2) 手牌の中に333という刻子があり、3をポンして3を切る。
6をチーした時に3以外の牌を打牌し、次巡以降に3を切るのは筋食い替えではない。また手牌の中に234567という2組の順子があり、8をチーして2を打牌し、345と678の2組の順子に組み替えるような場合は筋を直接構成しないため筋食い替えではない。
食い替えをする理由として、主に次のような場合が考えられる。
- 断么九、混全帯么九、三色同順、一気通貫などの役を作るため
- ドラ牌と入れ替えるため(例えば手牌の中に345とあるときにドラの6や赤5をチーする)
- 誰かが立直をかけ一発を消したいが、既に聴牌しているなどの理由で面子を崩すしかない場合
- 大三元で三元牌を2副露しており3種類目を暗刻で持っていたが、3種類目の残り1牌を切ってきた他家を包に陥れるため(大四喜のときもほぼ同様)
- ツモが良くないなどの理由で、牌山からツモってくる位置を変えたいとき(アナログまたはオカルト)
- 面子構成を確定させ、振聴を解消するため
上記1や2のように食い替えに合理的な理由がある場合もあるが、「完成している面子をわざわざ崩してまで鳴くのは不自然」との理由で食い替えを全て禁止していることが多い。食い替えをした場合アガリ放棄になることが多く、打牌を取り消して他の牌を捨てることはできない。したがって、チョンボにならないようにするためには、副露した後いったん別の牌を打牌する必要がある。
テレビゲームやオンライン麻雀ではポン・チー自体は可能だが、同一牌または筋の食い替えとなる牌を捨てることができない仕様になっているものもある(22345と持っていて2をチーした場合、2や5を捨て牌に選べなくなる)。この場合、残りの純手牌が全て食い替えの対象になることがあり(例えば、既に副露面子または暗槓が3組あり純手牌が1234の残り4枚の状態で、上家から4が出たときに234でチーすると残りの純手牌が14の2枚だけになる場合など)、この場合に限りチー自体ができないようにする必要がある。
その他
副露ができる場合でも、副露するかしないかは自由である。
一旦チー・ポン・カン(大明槓だけでなく、暗槓・加槓も含む)で晒した牌(面子)は、他の手牌から完全に独立した面子となり、その局が終了するまで打牌することができない。
河底牌は副露できない(チー・ポン・大明槓いずれも不可)。
副露のメリット・デメリット
メリット
- 他家の打牌を取得することにより、手を確実に早く進めることができる(大明槓を除く)。
- 他家の一発を消滅させることができる。
- 副露で取得した牌を捨てたプレイヤーの流し満貫を消滅させることができる。
- 対面または下家からのポンまたは大明槓の場合、上家(下家からの場合は対面も)のツモ番を飛ばすことができる。
- 対面または下家からのポンまたは大明槓の場合、それぞれ上家・対面のチーを防ぐことができる(邪魔ポン・邪魔カン)。
- 同巡内振聴を解消できる。
- 聴牌や立直している他家の海底自摸番をずらす。
デメリット
副露することによって上のようなメリットは得られるものの、以下のようなデメリットもある。
- 面子を公開することにより、狙いを他家に読まれやすくなる。中張牌のポンの場合は他家にとって瞬時にできる3枚壁となる。
- 副露した牌は打牌できないため、打牌の選択肢が狭くなる(手の自由度が減少する)。
- 立直をかける権利を失う。
- 門前の場合に比べて、和了ったときの点数が低くなる場合が多い。(下記参照)
- 対面または下家からのポンまたは大明槓の場合、下家(対面からの場合は対面も)のツモ番が早くなる。
- 大明槓に関してはチー・ポンのように確実に手を進めるというメリットを持たず、そのほかにもデメリットが大きい(詳細は槓を参照)。
役の消滅
副露して作ることの可能な役と、副露すると消滅する役がある。立直、一発、平和、一盃口、二盃口、四暗刻、九蓮宝燈などは鳴くと役が消滅する。暗槓は広義の副露には含まれるが、一般に役は消滅しない。ただし例外として九蓮宝燈は暗槓でも消滅する。
このうち一発の消滅については、立直をかけた本人以外のプレイヤーの副露によって役が消滅する点において、他の役の消滅(本人の副露によって役が消滅するもの)とは性質を異にする。そのため、立直がかけられた場合に一発の成立を妨害するためだけに副露がなされることもある。これを一発消しと言う。 なお、地和・九種九牌・ダブル立直も一発と同様に他家の鳴きが入る事によって不成立になるが、こちらは事前察知出来るようなものではないため、これらを阻止するために鳴く事はまず無い。
タンヤオについては、鳴いても作ることが出来るルール(食い断あり)と、鳴くと消滅するルール(食い断なし)とがあり、食い断なしのルールは特に関西方面で多く採用される。オンライン麻雀では食い断アリとナシで卓やロビーが分かれており、選択して入室出来るようになっているシステムがほとんどである。
食い下がり
副露した場合、翻数の下がる役があり、食い下がり(くいさがり)と呼ばれる。一般に順子系の役は下がるか消滅し、刻子系の役はそのままの傾向がある。「食い下がり」とも「喰い下がり」とも表記するが、意味は同じである。本来は戦後になってから副露していない特定の役に対して「手のうち一翻」として1翻加算していたが、後にこれらの役の翻数を1翻上げ、副露した場合に1翻下げるようになった。
食い下がり役
全体役と順子役の中には、副露によって食い下がりの発生する役がある。一方、刻子役や槓子役では副露による食い下がりが見られない。順子系の役が「鳴くと下がる」のに対し、刻子系の役は「鳴かないと上がる」からである。七対子など副露が不可能な役でも見られない。また、役満役の中には食い下がり役は存在しない。
以下に食い下がり役の一覧を示す。
二翻 → 一翻
三翻 → 二翻
六翻 → 五翻
食い下がり役の複合
食い下がり役が複合し、かつ、副露している場合、それぞれの食い下がり役の翻数が引かれる。
たとえば下のような手の場合、門前で三色同順(2翻)とチャンタ(2翻)が成立し、合わせて4翻である。
しかし、下のように九筒をポンしている場合、三色同順もチャンタも両方食い下がり、三色同順(食い下がり1翻)+チャンタ(食い下がり1翻)で合わせて2翻にしかならない。
この例では、三色同順に関係のない九筒をポンしたのにもかかわらず三色同順が食い下がることとなる。
食い下がりに似た事例
食い下がり役ではないが、門前役の一部では副露しても必ず下位役が成立するため、食い下がりに似た状況となる[1]。
- ^ 本田雅史、「麻雀〔点数計算〕がすぐわかる本」、有紀書房、1980年8月。
- >> 「副露」を含む用語の索引
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