先割れスプーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/26 16:45 UTC 版)
概要
名前の由来であり最大の特徴として、先端が三つ又に割れており、スプーンでありながらフォークとしても使用できるいわゆる"spork "と、先端部に溝と穴とが穿たれ、特に果物の種を取り出しやすいことから、メロンやスイカを食べる際に使われる「先割れスプーン」が存在する。
sporkは、麻痺などにより箸が使えない人には、指先の力が無くても料理をすくったり引っ掛けたり突き刺して口に運べる便利な食器であることから、介護用品としても利用されている。また箸文化に不慣れな者がラーメンなど箸を使うことを前提とした麺料理を食べる際にも便利である。少々不器用に扱っても食事しやすいことから、幼児用食器としても利用される。
日本の先割れスプーン
フォーク状になっている先割れスプーンは、日本では比較的後になって登場したものである。 日本国内での初期の学校給食では、「突き刺して食べる」ことと「すくって食べる」という二通りに使えるという利便性を買われ、1950年代頃より先端部が「M」字状になっている「先割れスプーン」が用いられた。1990年代からは実用的なsporkが一般的となった。こちらは幼児や児童向けの食事風景や、コンビニエンスストアの弁当、また介護の場でも利用されている。
先割れスプーンの歴史
元来、先割れスプーンは中世に使われていた。ただし、当時は「先割れスプーン(spork)」とは呼ばれておらず、また今日使われる先割れスプーンとは外見も非常に異なっていた。むしろ、単にスプーンとフォークを奇妙に組み合わせたどっちつかずの食器で、一般に濃いスープのときに使われた。
この先割れスプーンは中世時代では非常に人気がなく、後のヴィクトリア時代まで一般的に使われることはなかった。先割れスプーンは少なくとも1800年代後期から大量生産された。イギリスのフォルゲート銀器会社は1875年から1900年の間のどこかで量産を行っている。
米国ではこの時期に、先割れスプーンとその原型のための種々の特許が申請された。近代的な先割れスプーンにかなり似ている「スプーンとフォークとナイフを結合したもの」が、ピーター・S・ガルッチによって発明され、1874年2月に合衆国特許147,119号を取得した。
プラスチックから作られている近代的な使い捨ての先割れスプーンは、1970年代初期のある時点で、ファーストフードチェーンのKFCで、人気サイドメニューであるコールスローのために導入したと信じられている。
先割れスプーンへの批判
先割れスプーンは、大衆の簡便な食事のために開発されたようなものであり、どっち付かずの合いの子食器とみなされる傾向がある。正式にテーブルマナーが問われるような場で使われることはない。
日本
学校給食の場で先割れスプーンが一頃盛んに用いられたが、今では『箸の使い方を知らない子供が増えたこと』の原因とされ廃止されつつある。
一方、1970年代から普及したランチプレートと呼ばれる総合食器の登場以降、逆に「ランチプレートに顔を近づけて食べる」という犬食いと呼ばれる食べ方を発生させる要因ともなった。器を置いたままで食べる洋食のスタイルとは異なり、日本では「食器を口元に持っていって食べる」という和食習慣を持つため、この食べ方はともすれば見苦しいとされる。
これは、先割れスプーンが汁物を食べるのには向かないという問題もあってのことである。こと当時の先割れスプーン先端部が「料理を絡めたり突き刺して食べる」という方法に向かない形状であることも問題視された。
先割れスプーンが多く使われていた時代には、「汁物の具材を先割れスプーンに詰め汁をすくう」という利用法が広まっていた。
- ^ Military Mess Kit
- ^ スプレイド公式ウェブサイト
- ^ なぜスガキヤ「ラーメンフォーク」が生まれたのか?、プレジデントオンライン、2017年5月1日。
- ^ “フォーキー”. ディズニー. 2020年12月4日閲覧。
- 1 先割れスプーンとは
- 2 先割れスプーンの概要
- 3 噂
- 4 材質と利用
- 5 キャラクター
固有名詞の分類
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