中野サンプラザ 沿革

中野サンプラザ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 17:49 UTC 版)

沿革

労働省所管特殊法人である雇用促進事業団が、雇用保険法に基づいた勤労者福祉施設として建設し、1973年昭和48年)6月1日金曜日)に正式名称「全国勤労青少年会館」として開業した[3]6月2日に行われたNHK交響楽団による開館記念公演が杮落とし公演となる。中野駅北口から至近距離であったこともあり、施設運営は当初から黒字だった。

公益事業であり営利を求められた施設ではなかったが、利益が見込める施設として民間への譲渡が求められ、勤労者福祉施設の廃止に伴い売却が決定された。地元の中野区と金融機関・企業等が出資して設立された所有会社「株式会社まちづくり中野21」に52億9987万円で2004年11月に売却された。運営は並行して設立された「株式会社中野サンプラザ」が行うとされ、2004年平成16年)12月より運営を開始した。以後、中野サンプラザは文化複合施設としてホテル・結婚式会場の運営、カルチャーセンターの開催、スポーツ施設の運営などを行ないつつ、コンサート会場・大規模イベントホールとしての利用も引き続き行った。

若者文化のサブカルチャー発信地としての知名度も高く[4]、東京都内では日比谷野外音楽堂日本武道館と並び、大規模なコンサート会場としても著名な施設でもあった。

雇用推進事業を柱とする若者の職業相談を担当する「サンプラザ相談センター」は2003年(平成15年)に閉鎖された[5]。図書室などの併設施設も民営化に伴い閉鎖された。

施設建て替えに向けた閉館

2018年(平成30年)9月11日、中野区長の酒井直人は「中野駅周辺各地区の整備と密接に関連していることを考慮し、施設の再整備に向けて検討を進める」「現在の(中野サンプラザ)施設の歴史やブランド、形状などのDNAを引き継ぐ」として中野サンプラザを建て替える方針を明らかにした[6]

2020年(令和2年)2月6日、酒井は、中野サンプラザの解体跡地に建設する複合施設の事業スケジュールや民間事業者の選定方法を発表した。2020年10月までに「公募型プロポーザル方式」で事業者を決定。5月から事業者からの提案を受付け、7月から提案内容を検討し、10月に事業者を決定する。新施設の完成は、2028年度を目指す。新施設の主な内容は、7000人収容できるイベントホール、商業施設、オフィス、ホテルなどを備える[7]。2021年1月29日、中野区は中野サンプラザも含めた中野駅新北口駅前エリア再整備事業のデベロッパー選定結果を発表し、野村不動産を代表とするグループが選ばれた。両者は2021年5月6日に基本協定書を締結した[8]

2023年(令和5年)7月2日をもって旧施設(現施設)の中野サンプラザは閉館[9]。それに先立つ5月3日から閉館日である7月2日まで、日毎にジャンルの垣根を超えて様々なアーティストがライブを行う音楽祭「さよなら中野サンプラザ音楽祭」が企画され、初日となる5月3日には、歌手としても活動している声優寿美菜子豊崎愛生がライブを行った[10]。閉館日である7月2日は、山下達郎のホールツアー「PERFORMANCE 2023」が最終の公演となった[11][12]

閉館後

2023年(令和5年)7月15日-7月17日に閉館済みの旧施設を特別に再開放して入場無料の「さよなら中野サンプラザ感謝祭」を開催した。区民感謝祭という位置づけで行われ、区民団体がコンサートホールでパフォーマンスを披露した。また7月17日の屋外ステージではサンプラザ中野くんパッパラー河合が登場し、パフォーマンスを披露した[13]

館内営業終了後もサンプラザ前広場はイベントに使われたが、中野消防署恒例の「青空コンサート」が2023年11月15日に従来会場としては最終開催となる[14]など解体工事に向けた準備が進められた。


  1. ^ 中野サンプラザが閉館、半世紀の歴史に幕 大トリで山下達郎さん東京新聞 TOKYO Web(2023年7月2日)2023年11月21日閲覧
  2. ^ 中野駅北口に巨大壁画 真上に電車”. 産経ニュース (2021年12月14日). 2021年12月14日閲覧。
  3. ^ アガるビル図鑑#1 ★★★ 中野サンプラザ “東京ピラミッド”の秘密”. NHK すこぶるアガるビル. 2024年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月18日閲覧。
  4. ^ “「中野サンプラザ」きょう閉館 50年の歴史に幕”. テレ朝news (テレビ朝日). (2023年7月2日). https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000305587.html 2023年7月2日閲覧。 
  5. ^ サンプラザ相談センター”. 特定非営利活動法人 キャリア・サポート・ネットワーク (2023年7月1日). 2023年10月26日閲覧。
  6. ^ “中野サンプラザ建て替え方針表明”. NHK NEWS WEB (日本放送協会). (2018年9月11日). オリジナルの2018年9月12日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/s60Ma 2018年9月12日閲覧。 
  7. ^ 「中野に新施設 28年度目標 サンプラザ跡 事業者10月決定へ」『読売新聞』朝刊2020年2月7日25頁都民面(14版)同日閲覧
  8. ^ 『中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業』に関する基本協定書を中野区と締結』(プレスリリース)野村不動産株式会社 / 東急不動産株式会社 / 住友商事株式会社 / ヒューリック株式会社 / 東日本旅客鉄道株式会社、2021年5月12日https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/n2021051201834.pdf2023年7月2日閲覧 
  9. ^ 中野サンプラザ 閉館のお知らせ”. 中野サンプラザオフィシャルサイト. 2023年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月2日閲覧。
  10. ^ <さよなら中野サンプラザ音楽祭>開幕”. BARKS (2023年5月4日). 2023年5月5日閲覧。
  11. ^ "ありがとう「中野サンプラザ」、山下達郎さんが閉館日のステージに". 讀賣新聞ONLINE. 読売新聞社. 2 July 2023. 2023年7月2日閲覧
  12. ^ “山下達郎「最初はすごいやりにくいホールだった」中野サンプラザ公演を43年続けた理由明かす”. 日刊スポーツNEWS. 日刊スポーツ新聞社. (2023年7月2日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202307020000712.html 2023年7月2日閲覧。 
  13. ^ 公式 | さよなら中野サンプラザ感謝祭”. 公式 | さよなら中野サンプラザ感謝祭. 2023年7月17日閲覧。
  14. ^ 中野サンプラザ前「青空コンサート」見納め『東京新聞』朝刊2023年11月16日(都心面)2023年11月21日閲覧
  15. ^ a b 株式会社中野サンプラザ 第15期決算公告
  16. ^ a b 中野サンプラザ ホームページ”. 中野サンプラザ. 2018年3月13日閲覧。
  17. ^ a b 株式会社中野サンプラザの取締役”. 中野区議会. 2018年3月13日閲覧。
  18. ^ a b 中野サンプラザ 料理長紹介”. 株式会社中野サンプラザ. 2018年3月13日閲覧。
  19. ^ 明治大学リバティアカデミー”. 明治大学. 2018年3月13日閲覧。


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