下甑島 文化

下甑島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/06 15:26 UTC 版)

文化

鹿島村離島住民生活センター(旧藺牟田漁業組合)は国の登録有形文化財に登録されている[8]鹿島地域は中野姓が1/3、橋野姓が1/3、残りの1/3が小村姓などである[39]。1949年(昭和24年)に下甑村から分村して以来、鹿島村及び市町村合併後の薩摩川内市鹿島地域は交通死亡事故ゼロを継続しており、2013年(平成25年)6月には日本記録が連続22,000日まで伸びた[39]。下甑地域の歴史民俗資料館には、世界で一枚だけしかないビーダナシ(フヨウの織物)などが展示されている[40][41]。下甑島には、5月頃の深い霧の夜に山中から犬の鳴き声が聞こえてくる「犬の亡霊」(いんのもうれい)という怪異が伝わっている。これは、かつて狩りに行って命を落とした犬の霊が、そのまま山に残っているためといわれている[42]

下甑島のトシドン

下甑島には秋田県のナマハゲに似た「トシドン」という伝統的な民俗行事がある[10][4]。大みそかの夜、地元の若者がトシドンという怪物に扮し、首なし馬に乗って家々を回る。子どもたちの素行や行儀を戒めて諭し、褒美として子どもに歳餅を与えて去ってゆく。シュロの木の皮などで作った衣服をまとっており、ポリネシアの島々の祭礼を思わせる[43]。1977年(昭和52年)には国の重要無形民俗文化財の指定を受け、2009年(平成21年)には「甑島のトシドン」として国連教育科学文化機関(UNESCO)の無形文化遺産に登録された[10]

作品の舞台

堀田善衛の『鬼無鬼島』のモデルは下甑島である。椋鳩十が書いた児童文学「孤島の野犬」は下甑島の野犬(甑山犬)が主人公であり、手打にはこの作品に因んだ銅像が建てられている[44]。映画『釣りバカ日誌9』では下甑島がロケ地となった[45]。浜ちゃんの上司が結婚式を挙げたのは手打地区の民家であり、ラストシーンではスーさんと浜ちゃんが手打海岸でキス釣りをした。

また下甑島は森進一(歌手)の母親の出身地であり、1999年(平成11年)には森の代表曲として知られる「おふくろさん」の歌碑が手打に建立された[46]

山田貴敏が描いた漫画『Dr.コトー診療所』の舞台である「古志木島」は下甑島がモデルであり[45]、30年間も離島医療に携わってきた手打診療所の瀬戸上健二郎医師が主人公のモデルだが、ロケは沖縄県の与那国島で行なわれた。下甑島のナポレオン岩は前述の『Dr.コトー診療所』やゆでたまごの『キン肉マンII世』などの漫画に登場する。


注釈

  1. ^ 大字名の読み方のうち地域名と同じ読みのものは省略した(例:下甑町手打<読み:しもこしきちょうてうち>のうち下甑町は地域名と同じであるので読みのうちから<しもこしきちょう>を省略)
  2. ^ 明治29年以前は甑島郡
  3. ^ 『自然紀行 日本の天然記念物』講談社、308頁によると、「ヘゴの自生北限地帯」として国の天然記念物に指定されているのは、東京都八丈町八丈島)、長崎県五島市福江島)、鹿児島県肝属郡南大隅町肝付町大隅半島)、南さつま市薩摩半島)、宮崎県日南市に加えて甑島列島である。

出典

  1. ^ a b 日外アソシエーツ (1991)、221頁
  2. ^ a b 菅田正昭編(1995)、172頁
  3. ^ a b c 甑島列島(こしきしまれっとう)の概要”. 鹿児島県 (2018年8月23日). 2020年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月18日閲覧。
  4. ^ a b 日外アソシエーツ (1991)、268頁
  5. ^ a b こしき島 こしきツアーズ、2021年5月5日閲覧。
  6. ^ 藤岡 1964, p. 10.
  7. ^ a b c 藤岡 1964, p. 6-7.
  8. ^ a b c d e f g h 甑島地域離島振興計画鹿児島県
  9. ^ “鹿児島でケラトプス類の化石発見 国内初、草食恐竜の一種”. 共同通信. (2013年2月19日). オリジナルの2013年2月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130222013227/http://www.47news.jp/CN/201302/CN2013021901002103.html 
  10. ^ a b c 「甑島振興だよりNo.12」薩摩川内市、2010年3月
  11. ^ 藤岡 1964, p. 55.
  12. ^ a b c d 藤岡 1964, p. 3.
  13. ^ a b c 松原 (2009)、79-93頁
  14. ^ a b c 日外アソシエーツ (1991)、161頁
  15. ^ 菅田正昭編(1995)、172-173頁
  16. ^ 山と渓谷社 (2006)、178-179頁
  17. ^ 長嶋 (2011)
  18. ^ a b c d 菅田正昭編(1995)、173-174頁
  19. ^ 南日本新聞社鹿児島大百科辞典編纂室 (1981)、224頁
  20. ^ 南日本新聞社鹿児島大百科辞典編纂室 (1981)、255頁
  21. ^ 藤岡 1964, p. 37.
  22. ^ 平成16年鹿児島県告示第1735号(字の名称の変更、平成16年10月12日付鹿児島県公報第第2026号の2所収、 原文
  23. ^ a b 名称は「高速船 甑島」 14年春就航の川内甑島航路  47news、2013年1月13日
  24. ^ a b 第2次甑島ツーリズムビジョン(素案) 薩摩川内市、2021年5月5日閲覧。
  25. ^ 甑大橋”. 薩摩川内観光物産ガイド. 薩摩川内市観光情報. 薩摩川内市観光物産協会. 2020年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月14日閲覧。
  26. ^ 藺牟田瀬戸架橋工区とインフラを活かす取り組み”. k-keikaku.or.jp. 一般社団法人 九州地方計画協会. 2020年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月14日閲覧。
  27. ^ 藤岡 1964, p. 1.
  28. ^ 甑島県立自然公園鹿児島県
  29. ^ 「Number 81 甑島」全国地質調査業協会連合会『日本列島ジオサイト地質百選Ⅱ』オーム社、162-163頁
  30. ^ 日本地質学会構造地質部会「No.016 甑島の鹿の子断層」『日本の地質構造100選』朝倉書店、2012年、26-27頁。ISBN 9784254162738全国書誌番号:22121102 
  31. ^ 木白俊哉『西部北太平洋、特に南西部日本沿岸におけるニタリクジラの資源生態学的研究』 東京海洋大学〈博士(海洋科学) 乙第20号〉、2012年。 NAID 500000560728https://oacis.repo.nii.ac.jp/records/926 
  32. ^ 環境省. 甑島列島 - 生物多様性の観点から重要度の高い海域
  33. ^ 三浦 2007.
  34. ^ a b 藤岡 1964, p. 29.
  35. ^ 公共施設案内~中学校・義務教育学校・高等学校・高等教育機関”. 薩摩川内市 (2023年8月14日). 2023年9月16日閲覧。
  36. ^ 浮田 1993.
  37. ^ a b c d e 薩摩川内市立小・中学校の再編等に関する基本方針薩摩川内市
  38. ^ 南日本新聞社鹿児島大百科辞典編纂室 (1981)、107頁
  39. ^ a b 日本離島センター (1998)、1028頁
  40. ^ 日本離島センター (1998)、1029頁
  41. ^ ビーダナシ(芙蓉布)の復元鹿児島県工業技術センター
  42. ^ 柳田國男監修 民俗学研究所編『綜合日本民俗語彙』 第一巻、平凡社、1955年、132頁頁。 
  43. ^ 山と渓谷社 (2006)、199頁
  44. ^ 孤島の野犬像薩摩川内 観光物産サイト こころ
  45. ^ a b 鹿島・下甑 甑島の旅鹿児島県観光サイト
  46. ^ 『おふくろさん』歌碑除幕式と記念コンサート行われる森進一公式ウェブサイト
  47. ^ 日本離島センター (1998)、1023頁
  48. ^ a b 日本離島センター (1998)、1031頁
  49. ^ 【トップの素顔】是枝伸彦(1)生かされ、一業を成す (1/3ページ)SankeiBiz2015.9.2 05:00





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