ワルファリン 化学

ワルファリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 14:51 UTC 版)

化学

互変異性

X線結晶解析の結果より、互変異性体として存在する。すなわち、クマリン骨格4位のヒドロキシ基と3位の側鎖のケトンヘミケタールを形成し閉環している構造とそうでない(開環している)構造の2つの構造異性体間での平衡状態として存在する[7]。しかし、抗凝固薬として側鎖にケト基のない4-ヒドロキシクマリン誘導体が多く存在する(フェンプロクモン英語版など)事実は、抗凝固作用を発揮するためには非ヘミケタール型となる必要があることを示している[8]

ワルファリンの互変異性体。
開環構造(左)とヘミケタール閉環構造(右)

鏡像異性

不斉中心が1つあり、( R )と ( S ) の2つのエナンチオマーが存在する[9]

ワルファリンのエナンチオマー

CAS-Nummer: 5543-58-8 (R体)

CAS-Nummer: 5543-57-7 (S体)

合成


注釈

  1. ^ 欧州では、Owren PT法として普及している。北米はPTのみ
  2. ^ : low dose aspirin

出典

  1. ^ a b c d ワーファリン錠0.5mg/ワーファリン錠1mg/ワーファリン錠5mg 添付文書” (2016年10月). 2016年11月6日閲覧。
  2. ^ The Boston Area Anticoagulation Trial for Atrial Fibrillation Investigators. The effect of low-dose warfarin on the risk of stroke in patients with nonrheumatic atrial fibrillation. N Engl J Med 1990; 323: 1505-11.
  3. ^ 五十嵐正博、石綿清雄、藤本陽、高尾麻子、小田泰弘、田村宏美、伊藤忠明、林 昌洋、竹内幸一、百村伸一、大野 実. “ワルファリン導入ノモグラム作成とその評価”. TDM研究 (日本TDM学会) 29 (4): 118-124. http://jstdm.umin.jp/journal/pdf/26040118.pdf 2016年7月18日閲覧。. 
  4. ^ Bates et al. (2004)
  5. ^ Lim et al. (2006)
  6. ^ 田中和之, 常仁春成, 谷川力 ほか、「国内におけるワルファリン抵抗性ネズミの現況 いわゆるスーパーラットについて」『環境毒性学会誌』 2009年 12巻 2号 p.61-70, doi:10.11403/jset.12.61
  7. ^ Valente, E. J.; Trager, W. F.; Jensen, L. H. (1975). “The crystal and molecular structure and absolute configuration of (?)-(S)-warfarin”. Acta Crystallogr. B 31 (4): 954-960. doi:10.1107/S056774087500427X. 
  8. ^ Karlsson BC, Rosengren AM, Andersson PO, Nicholls IA (September 2007). “The spectrophysics of warfarin: implications for protein binding”. J Phys Chem B 111 (35): 10520-8. doi:10.1021/jp072505i. PMID 17691835. 
  9. ^ Rote Liste Service GmbH (Hrsg.): Rote Liste 2017 - Arzneimittelverzeichnis fur Deutschland (einschlieslich EU-Zulassungen und bestimmter Medizinprodukte). Rote Liste Service GmbH, Frankfurt/Main, 2017, Aufl. 57, ISBN 978-3-946057-10-9, S. 226.
  10. ^ 抗凝血薬「ワルファリン」はこうして生まれた - Nature Japan






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