レーティッシュ鉄道ABe8/12 3501-3515形電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 17:28 UTC 版)
運行
- 本機はレーティッシュ鉄道への入線後各種の試運転を実施しており、2009年12月5日には試運転においてフェライナトンネル内で1000 mm軌間での世界最高速度である139 km/hを記録している[25]ほか、10月25日にはアローザ線で188 t(7両の客車、貨車)の列車とアルブラ線で302 t(14両の客車、貨車)の列車、10月27日にはベルニナ線で157 t(9両の客車)の列車の牽引試験を行っている。
- 本機はまず2010年5月のダイヤ改正からまずベルニナ線での運用が開始され、その後増備のに従い、クール-アローザ線、ラントクアルト-ダヴォス間での運用が開始される予定であったが、これに先立って2010年1月よりラントクアルト-ダヴォス間のレギオエクスプレス[26]の客車列車を牽引したり、アルブラ線の貨物列車を牽引するなど一部列車で運用が開始されているほか、2010年5月1日にはラントクアルト工場にて3501-3504号機の命名式が執り行われている。
- 2010年5月13日のダイヤ改正後は4運用が設定されて、例えば平日ではベルニナ線の旅客列車を主としてダヴォス・プラッツ-サンモリッツ-ティラーノ間のベルニナ急行1往復、ラントクアルトとサンモリッツもしくはポントレジーナ間のフェライナトンネル、エンガディン線経由の貨物列車1往復に使用される。なお、これに伴い、従来夏ダイヤ時のみ定期の2運用に使用されていたGem4/4形ディーゼル/電気両用機関車が通年で予備用兼工事/除雪用となるほか、同様に夏ダイヤでは9運用が設定されていたABe4/4 41-49形の運用が6運用に減少している。また、本線系統からサメーダンもしくはサンモリッツを経由してベルニナ線へ直通するベルニナ急行の一部などの列車の牽引に使用され、到達時間の短縮が図られている。
- 本形式は通常は何両かの客車を牽引するほか、本形式への対応改造を実施したBDt 1751-1758形制御客車およびEW II系[27]の制御客車であるBDt 1721-1723形の更新改造車からの遠隔制御や本形式3編成までの重連が可能となっている。また、貨車を併結した混合列車や貨物列車としても運行されており、貨物列車の場合は正面表示器にはドイツ語で貨物列車を表すGuterzugの表示がされる。
- レーティッシュ鉄道のDC 1000 V区間であるベルニナ線はサンモリッツからイタリアのティラーノ間の全長60.69 km、最急勾配70 ‰、最急曲線半径45 m、最高高度2253 m、高度差1824 mの山岳路線である。
- クール-アローザ線のスイス最古の都市クールから著名な避暑地でありスキーリゾートであるアローザ間の全長25.7 km、最急勾配60 ‰、最急曲線半径60 m、最高高度1739 m、高度差1155 mの山岳路線である。
運用 | 出庫 | 運行概要 | 入庫 |
---|---|---|---|
601 | ラントクアルト | ラントクアルト - ポントレジーナ - サンモリッツ - ティラーノ - サンモリッツ - ティラーノ - ポスキアーヴォ | ポスキアーヴォ |
602 | ポスキアーヴォ | ポスキアーヴォ - サンモリッツ - ティラーノ - サンモリッツ - ティラーノ - サンモリッツ - ポントレジーナ | ポントレジーナ |
603 | ポントレジーナ | ポントレジーナ - ティラーノ - サンモリッツ - ティラーノ - サンモリッツ - ポスキアーヴォ | ポスキアーヴォ |
604 | ポスキアーヴォ | ポスキアーヴォ - サンモリッツ - ティラーノ - サンモリッツ - ティラーノ - ポスキアーヴォ - ポントレジーナ - ラントクアルト | ラントクアルト |
605 | ラントクアルト | ラントクアルト - クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ | アローザ |
606 | アローザ | アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ | アローザ |
607 | アローザ | アローザ - クール - ラントクアルト - クール - ティラーノ - サンモリッツ - ティラーノ - ポスキアーヴォ | ポスキアーヴォ |
608 | ポスキアーヴォ | ポスキアーヴォ - ティラーノ - サンモリッツ - ティラーノ - ダヴォス・プラッツ | ダヴォス・プラッツ |
609 | ラントクアルト | ラントクアルト - ティラーノ - クール - ラントクアルト | ラントクアルト |
610 | アローザ(月-火曜) ラントクアルト(水-金曜) |
(アローザ - )[註 2]/(アローザ - ラントクアルト - )[註 3]/(ラントクアルト - )[註 4]クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ - クール - アローザ - クール( - ラントクアルト)[註 5]/( - アローザ)[註 6] | ラントクアルト(月-木曜) アローザ(金曜) |
611 | ラントクアルト | ラントクアルト - ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ - ラントクアルト - ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ | ダヴォス・プラッツ |
612 | ダヴォス・プラッツ | ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ - ラントクアルト - ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ - ラントクアルト - ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ - ラントクアルト - ダヴォス・プラッツ | ダヴォス・プラッツ |
613 | ダヴォス・プラッツ | ダヴォス・プラッツ - ラントクアルト - ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ - ラントクアルト - ダヴォス・プラッツ - フィリズール - ダヴォス・プラッツ - ラントクアルト - ダヴォス・プラッツ - ラントクアルト | ラントクアルト |
614 | (ラントクアルト) | 運用予備 | (ラントクアルト) |
615 | (ラントクアルト) | 検査予備 | (ラントクアルト) |
-
スイス国鉄の狭軌車両輸送車でシュタッドラー社のアルテンルハイン工場から輸送されるABe8/12 3515号機
-
ベルニナ急行を牽引するAbe8/12 3513号機、ティーフェンカステル駅、2013年
-
オープン車を含む客車8両を牽引するベルニナ線の列車、アルプ・グリュム駅、2011年
-
ABe8/12形が牽引する列車の先頭にXk 9141-9147形ラッセルヘッドを連結して運行される冬季のベルニナ線の列車、オスピッツォ・ベルニナ駅付近、2014年
-
スイス国鉄とレーティッシュ鉄道本線系統のクール駅前の路面に設けられたクール・アローザ線のクール駅に停車するABe8/12 3507号機が牽引する列車、2014年
-
ABe8/12形の前後端に制御客車および客車3両と、貨車5両を連結した11両編成のクール・アローザ線の列車、クール駅付近、2015年
-
クール・アローザ線で運行されるABe8/12 3501-3515形
-
ABe8/12形の電機品メーカーであるABBの広告塗装機となったABe8/12 3512号機、2015年
- ^ ABe4/16 3101-3105形として2013年から運行開始、シュタッドラー・レール製
- ^ レーティッシュ鉄道ABi 5701-5706形客車として当初予定の5両編成から展望車・制御客車付の7両編成とした6編成が2016年より順次運行開始。シュタッドラー・レール製
- ^ エンガディン線用の機体も含めたABe4/16 3111-3146形4両36編成を2019年以降に導入することを2015年に決定
- ^ a b Stadler Rail AG, Bussnang
- ^ レーティッシュ鉄道では2007年11月1日より新しい5桁からなる機番体系に移行しており、本機も当初計画時はABe4/4 861-875形、Bi 2811-2825形、ABe4/4 811-825形であった
- ^ Gelenktriebwagen
- ^ Flinker Leichter Innovativer Regional-Triebzug、軽量高速で革新的な近郊用電車の意
- ^ 1時間定格出力3200 kW、最大牽引力200 kN。35パーミルの坂・300 tを60 km/hで牽引可能
- ^ ABB Schweiz AG, Baden、ABBグループにおけるスイス国内会社の一つ
- ^ レーティッシュ鉄道の創始者
- ^ 建築家、アルブラ線建設時の設計責任者
- ^ グラウビュンデン州出身のアルペンスキー選手
- ^ グラウビュンデン州出身のクロスカントリースキー選手
- ^ グラウビュンデン州で活動した画家
- ^ 1400年代のグラウビュンデン州の英雄
- ^ グラウビュンデン州出身の土木建設家、レーティッシュ鉄道の橋も手掛ける
- ^ グラウビュンデン州トゥルン出身のベネディクト会修道士でアルプス探検家
- ^ グラウビュンデン州出身の彫刻家
- ^ グラウビュンデン州シャンフ出身の作曲家、オルガニスト
- ^ グラウビュンデン州サメダン出身の政治指導者
- ^ グラウビュンデン州クール出身の政治家、連邦参事会の一員
- ^ グラウビュンデン州出身で、スイス唯一の国立公園であるグラウビュンデン州のスイス国立公園の設立提唱者
- ^ グラウビュンデン州トゥルン出身で絵本画家として知られる画家、グラッフィックデザイナー
- ^ design & technik AG, Altenrhein、FFA(Flug- und Fahrzeugwerke Altenrhein)やSWP(Schindler Waggonfablik)の流れを汲んでおり、鉄道車両の車体および内装のデザインおよび設計、製造を行う
- ^ Ruf Informatik AG, Ruf Telematik AG, Ruf Multimedia AG, Ruf Services AG, W&W Informatik AG, Ruf Diffusion SAで構成される鉄道情報システムメーカー
- ^ レーティッシュ鉄道では古くから暖房用電源はAC 300 Vを使用していたが、長編成化などによる使用電力増に対応するため、これを順次AC 1000 Vとするよう機材の改造を進めている
- ^ Hasler Rail AG, Bern
- ^ なお、それまでの最高記録はベルン-ソロトゥルン地域交通(RBS)のRABe4/12 21-26形(通称NExT)が2009年7月1日に記録した134 km/hである
- ^ RegioExpress、ドイツではレギオナルエクスプレス
- ^ Einheitswagen II
固有名詞の分類
スイスの電車 |
ツェントラル鉄道Deh120形電車 レーティッシュ鉄道ABDe4/4 451-455形電車 レーティッシュ鉄道ABe8/12 3501-3515形電車 ベルン-レッチュベルク-シンプロン鉄道BDZe2/6 711形電車 ロカルノ-ポンテ・ボロッラ-ビニャスコ鉄道ABDe4/4形電車 |
- レーティッシュ鉄道ABe8/12 3501-3515形電車のページへのリンク