リンクリゾルバ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/11 09:24 UTC 版)
デメリット
- 利用者としての視点でリンクリゾルバの利用感として信用できない、という感覚が残るという意見がある。すごく便利ではあると感じるが、たとえば目隠しをして物を探しているような感覚に似ていて不安をおぼえる。
- 安いものではないので必要性との兼ね合いで導入する必要がある。
また、リンクリゾルバにより直接1次情報にアクセスできることは、研究者にとっては慣れきった情報検索という作業をせずに時間短縮してくれ便利であるが、情報検索の技術を学ぶ必要のある初学者にとってメディアリテラシーの低下を招くのではないかという見方もある。しかしこれはリンクリゾルバをリンクシステムではなく検索システムとみなした誤解である。通常は情報検索を行った上で、その検索結果からリンクリゾルバにアクセスすることになるので、最初に情報検索作業が必要となることに変わりはない。
必要性
ある大学でのあるベンダー提供のリンクリゾルバ+統合情報検索システムの見積もりは年間200万強という数字だった。それぞれの懐具合にもよるが、コストはやや高くつく。利用者コミュニティの規模、扱っている電子ジャーナル等の数など費用対効果を考えると、あえて必要ないという図書館もある。
たとえば、リンクリゾルバの機能はいまはいらないが、早急に電子ジャーナルリストの機能だけ欲しいとき、リンクリゾルバの比較をせずに、電子ジャーナルリストの比較だけで導入の判断をするのは危険である。なぜなら、リンクリゾルバや統合検索システムを導入した際に、電子ジャーナルリストはオプション的な存在になる。従って、電子ジャーナルリスト単体での導入においても、リンクリゾルバの機能を比較した上で導入した方が将来性がある。
現在使っている電子ジャーナルマネジメントツールがある場合、それに上乗せした形での導入か、他のジャーナルリスト+リンクリゾルバにするか、よく考える必要がある。ジャーナルリストとリンクリゾルバがそれぞれ別の提供元になると管理が大変になる。
体感してみる
各大学図書館の外部利用という形で利用することができる。ここでは、筑波大学のTulipsを例に挙げる。トップページの「蔵書検索」窓から検索する。検索結果がリスト化されるのでどれかをクリックすると、詳細な書誌情報の画面が表示される。下の方に「この資料への関連情報」として「Tulips Linker(SFXへのリンク)」が表示される。これをクリックすると、リンクリゾルバの中間窓なるものが新しいウィンドウとして生成される。この中間窓からは、フルテキスト(1次情報)へのリンクの有無、またそれ以外にも筑波大学やNDLのOPACやAmazon.comでの検索、ILLの申し込み、RefWorksへの書誌事項インポートを選択することができる。フルテキストが存在し利用できる場合は、そちらを利用することができる(ただし蔵書検索の場合、図書、雑誌、紀要等が検索結果となるので、フルテキストへのリンクが生成されることはほぼないだろう)。できない場合、他の図書館での所蔵を調べたり、ILLへの申し込み、論文管理システムへの登録などをすることができる。
SCOPUSやWeb of Scienceなどのリンクリゾルバに対応した有料サービスが利用できる環境があればリンクリゾルバの恩恵に与ることができるが、無料のGoogle Scholarなどでも体感することができる。Scholar設定の画面で図書館リンクという項目がある。とりあえず「USACO」と入力し「図書館を探す」をクリックすると、「USACO - Full Text @ ユサコ」というチェックボックスが出現するので、それを選択し、画面一番右下の「保存」をクリックする。保存するとGoogle Scholarのトップページに戻るので、何かキーワードをいれて検索すると、検索結果のところに「Find It @ ユサコ」という表示が現れたレコードがあるはずである。それをクリックすると、さきほどの筑波大学のTulipsの例と同じようにSFXの中間窓が生成される。
なお、SFXの具体的な操作方法はTulips Tutorialに詳しい。
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