ミイデラゴミムシ 特徴

ミイデラゴミムシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/11 00:52 UTC 版)

特徴

成虫の体は黄色で褐色の斑紋があり、鞘翅に縦の筋が9条ある。ほとんどのゴミムシ類が黒を基調とする単色系の体色である中で、数少ない派手な色を持ち、また、比較的大柄(1.6cmほど)であるため、かなり目立つ存在である。捕まえようとすると腹部後端より派手な音を立てて刺激臭のあるガスを噴出する。日本列島内の分布は北海道から奄美大島まで。大陸では中国朝鮮半島に分布する。

生態

湿潤な平地を好む。成虫は夜行性で、昼間は湿った石の下などで休息する。夜間に徘徊して他の小昆虫など様々な動物質を摂食する[1]。死肉も食べ、水田周辺で腐肉トラップを仕掛けると採集されるが、腐敗の激しいものは好まず、誘引されない[1]

これに対して、幼虫の食性は極めて偏っている[1]。1齢幼虫は体長2.3-2.8mmと小型で歩行能力に富み、ケラGryllotalpa africana PALISOT DE BEAUVOIS)の卵しか食べない[1]。その巣穴の中に形成された土製の卵室の壁を破って進入し、そこで卵塊を摂食しながら成長する。卵塊をばらして1齢幼虫に与えても摂取せず、土中にある壊れていない卵室への侵入が成長には必須となる[1]。絶食にも強く、何も食べずに23日程度は生存する[1]。多くのオサムシ上科の昆虫と同様3齢が終齢幼虫であるが、2齢幼虫と3齢幼虫はこの寄生的な生活に適応し、足が短く退化したウジ状の姿であり、3齢幼虫で体長15.5mmほどになる。産卵期は6月中旬から7月下旬にかけてで、他のゴミムシ類に比べるとかなり小さな卵をしばしば卵塊の形で産む。

こうした他の昆虫の卵塊や捕食寄生的に摂取して幼虫が成長するのはホソクビゴミムシ科全体の特徴と見られ、北米ではミズスマシのような水生甲虫、ヨーロッパではマルガタゴミムシ類のような他のゴミムシ類の蛹に捕食寄生して育つものが知られるが、日本産のホソクビゴミムシ科昆虫で宿主が判明しているのはミイデラゴミムシのみである。最普通種のオオホソクビゴミムシですら、実験室内の産卵にも成功していない。


  1. ^ a b c d e f g 土生昶申、貞永仁恵「畑や水田付近に見られるゴミムシ類(オサムシ科)の成虫の同定手引き(III)」(pdf)『農業技術研究所報告C 昆蟲』第39巻第19号、東京昆蟲學會、1971年7月30日、172-177頁、2018年6月11日閲覧 
  2. ^ a b フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 9』講談社、2004年。 
  3. ^ 夏秋優『Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎』学研プラス、2013年、15頁。 






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