ペイガニズム pagan信仰

ペイガニズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/15 01:12 UTC 版)

pagan信仰

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ネオペイガン

ネオペイガニズム

別の用法として、現代の実践家は paganism を不信心に限らず、多神教汎神教の意味で、しばしば、自然を基盤にした宗教行為を指して用いることがある。それらには復興主義者たちの en:Hellenic polytheismen:Ásatrú、さらにはもっと近年になって(およそ1940年頃)成立したウイッカが含まれ、これらは通常ネオペイガニズム(neopaganism)と呼ばれる。ネオペイガニズムの信者 (neopagan) たちはしばしば自らを単に pagan と呼ぶが、本項目では pagan といった場合主に古代の宗教を指すことにする。

ネオペイガニズムに含まれる宗教はほかにも、 en:Forn Sed、ケルトのネオドルイド教(en:Neo-druidism)、ランゴバルドのオディン崇拝、リトアニアの en:Romuva (religion)、スラブの en:Rodoverieフィンランド・ネオペイガニズムがあり、近年になって再構成されたものではなく、古代宗教の復活であると信者たちは主張しているが、その違いははっきりしない。これらリバイバル的宗教は、特にウイッカ、Ásatrú、ネオドルイド教において顕著だが、その起源を19世紀のロマン主義運動に負っており、当時流行していた神秘学ないしは神智学の名残を明瞭にとどめている。その点、歴史的な田舎 (paganus) で信じられていた民間宗教とは異なっている。en:Íslenska Ásatrúarfélagiðは注目すべき例外であり、これは多かれ少なかれ直接的に、生き残った田舎の民話から導かれたものである。

それでもなお、ある実践家たちは、統合を指向する場合であってすら、自分たちの信仰がネオペイガニズムという用語で呼ばれることに抵抗する傾向がある。というのも、彼らは自分たちのしていることが決して新しいことではないと考えているからである。また次の点も指摘しておきたい。現在のところ少数派ではあるが、1990年代以降、復興主義者の間でロマン主義的なあるいはオカルト的な要素を、キリスト教以前の要素とを分離しようと努力する動きが強まっているのである。

近現代の自然崇拝

工業化された社会に住む現代のpaganは、自分たちの信条と実践の基盤を、大自然および生きとし生けるもの全てに宿る神性に結びつけている。だが、過去から現在に至る全てのpaganismがそうだとはいえないだろう。数多くの神がいると信じる場合も、全ての生物に存在する意識下の精神(あるいは霊)が全宇宙的に統合してひと柱の神となると信じる場合もありうる。先史時代にさかのぼるpaganismの起源はもはや歴史の彼方に失われてしまったが、近代的な一神教よりも古い。古代のpaganismはアテナイアテナのように土地土地の神を崇拝する傾向が強かったが、古典時代を通してまたアレキサンダー大王の統治に従い神々が統合された後にはそれぞれの神はオリュンポスの神の様々な面が発露したものだと見られるようになり、女神ローマが都市ローマの人格化であったように、「クニの神々」が各地方に浸透していった。旧体制の面々は自分たちはこれらの神々の地上での代理人であると主張し、それは大なり小なり、国家を支える宗教者たちの官僚機構によって支えられたものであったと思われる。これはpaganismと「主流派」のen:revealed religionがある程度共通に持っていた特徴で、カトリック及び英国国教会の歴史や、過去及び現在のイスラム教にも見いだされるものである。

一つの確立した用法として、paganismには一神教以外の何らかの宗教を信じることという意味がある。となると、古代ギリシアのピタゴラス教団信者は pagan ではないことになる。なんとなれば、彼らはアブラハムの宗教の伝統とは異なる一神教を信じていたからである。否定的に極論すれば、宗教的に正統とされない一切の信条、儀式、楽しみ等は、それに手を染めると反対派から pagan と呼ばれうるものだということになる。例えばバーニングマンハロウィーン、果てはクリスマスに至るまで。


  1. ^ E. Kessler, Dionysian Monotheism in Nea Paphos, Cyprus "two monotheistic religions, Dionysian and Christian, existed contemporaneously in Nea Paphos during the 4th century C.E. [...] the particular iconography of Hermes and Dionysos in the panel of the Epiphany of Dionysos [...] represents the culmination of a Pagan iconographic tradition in which an infant divinity is seated on the lap of another divine figure; this Pagan motif was appropriated by early Christian artists and developed into the standardized icon of the Virgin and Child. Thus the mosaic helps to substantiate the existence of Pagan monotheism." [1]
  2. ^ マーゴット・アドラー 『月神降臨』 江口之隆訳、国書刊行会、2003年、1頁、21頁。
  3. ^ ペイガニズムの一派であるウイッカのメンバーは、1990年代始め頃のアメリカで1万人いるとも30万人いるとも推測された(島薗進 『精神世界のゆくえ』 p.27)。
  4. ^ Oxford English Dictionary, (online) 2nd Edition (1989)
  5. ^ Harry Thurston Peck, Harper's Dictionary of Classical Antiquity, 1897; "pagus"


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