ブラキラエナ・フイレンシス 利用

ブラキラエナ・フイレンシス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/03 09:47 UTC 版)

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ムフフは堅く頑丈な木材として知られている[4][9]。木材の質に関しては耐衝撃性、つまり急激に衝撃が加えられた場合の抵抗力が極端に低く[3]で切断する際は木目に沿って割れやすい傾向が見られる[9]剛性、つまり弾力性も低いが、一方で非常に重くて密度が高く、また圧縮強さ、つまり木口に加えられる荷重に耐える能力も高い[3]。曲げ強さ、つまり板材の両端に力を加えた際の割れにくさは中庸で、気乾比重は0.83から1.0まで幅があり、時間をかけてゆるやかに乾燥を行わないと干割れや木口割れを起こす恐れがあるが、一度乾燥さえさせれば安定する[3]。非常に堅いので彫刻や研磨は困難を極める一方、動物の姿を模した木彫り細工などの工芸品がムフフを用いて製作されている[3]。またホテルなど公共建築の寄木細工や工場・倉庫の床といった、人やフォークリフト等の重機が上を行き来する環境において床材として用いられる[3]。そのほかの用途としてはポールや柱、燃料としての活用が見られ[4]、ケニアのキクユ人もかつては集落の柵や、家の仕切りおよび屋根を支えるための棒として[9]、またとして使用していた[10]

一方、ケニアやタンザニアでムフフを用いた木彫り細工産業が盛んであることやモザンビークでムフフの切り出しが増加していることは、種の存続に対する懸念材料としてIUCNから扱われている[1]。また日本の公益財団法人地球環境戦略研究機関国際生態学センターにより2005年12月から2007年9月にかけて行われた植生調査によると、ナイロビ市中心から15メートル圏内に位置する保護林であるカルーラ・フォレスト英語版: Karura Forest)やンゴング・ロード・フォレスト英語版: Ngong Road Forest)はケニア森林局によって管理がなされているにもかかわらず近隣住民による木の伐採や、薪として利用する行為、放牧された家畜による食害の例が見られ、特に有用木として認知されているブラキラエナ・フイレンシスに関しては伐採が行われた痕跡が多数見られた[11]

なお精油も得られ、主要成分はα-アモルフェン(α-amorphene)をはじめカラメネン(calamenene)などと、いずれもセスキテルペン炭化水素類である[12]


注釈

  1. ^ なおこの Antunes 121 の正基準標本(ホロタイプ)はベルリン=ダーレム植物園に所蔵されていたが現在は失われてしまっており、副基準標本(アイソタイプ)がイギリスのキュー王立植物園K000274031(GBIF)、断片)とアンゴラの農業研究所(ポルトガル語: Instituto de Investigação Agronómica)に残るのみである[5]
  2. ^ 文献全体の出版年は1903年であるが、表紙の次のページの記述により、pp. 1–208 は1902年5月2日に刊行されたということが判る。
  3. ^ この記載の際、Battiscombe 27 および Battiscombe 54 の2つの標本が用いられたが、後に Beentje (2000a:15) により標本番号54番の方が選定基準標本(レクトタイプ)として指定された。

出典

  1. ^ a b c d e World Conservation Monitoring Centre (1998).
  2. ^ a b Jeffrey (2005:256).
  3. ^ a b c d e f g h ウォーカー (2006).
  4. ^ a b c d e f g h i j k l Dharani (2002).
  5. ^ Beentje (2000a:15).
  6. ^ POWO (2019). "Plants of the World Online. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:186094-1 Retrieved 1 June 2021."
  7. ^ a b c d e Beentje (1994).
  8. ^ Beentje (2000b).
  9. ^ a b c Leakey (1977).
  10. ^ a b Benson (1964).
  11. ^ 林 (2007).
  12. ^ a b 東アフリカオイル図鑑日本貿易振興機構 (ジェトロ)). 2018年10月12日閲覧。
  13. ^ a b Quattrocchi (2000).





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