フランツ・フォン・スッペ フランツ・フォン・スッペの概要

フランツ・フォン・スッペ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/26 14:23 UTC 版)

フランツ・フォン・スッペ
Franz von Suppè
基本情報
出生名 Francesco Ezechiele Ermenegildo de Suppè
別名 ウィンナ・オペレッタドイツ語版の父
生誕 1819年4月18日
出身地 オーストリア帝国
ダルマチア地方スプリト
死没 (1895-05-21) 1895年5月21日(76歳没)
オーストリア=ハンガリー帝国
ウィーン
ジャンル クラシック音楽
オペレッタウィンナ・オペレッタドイツ語版
職業 作曲家
指揮者

姓は「Suppè」であるが、長らく誤って「Suppé」と書かれてきた[2]

名前

洗礼記録にはイタリア語フランチェスコ・エゼキエーレ・エルメネジルド、ピエトロ・デ・スッペの子Francesco-Ezechiele-Ermenegildo figlio de Pietro de Suppe)とあるが、「Suppe」は正確には「Suppè」である[3]。ウィーン在住中に氏名をドイツ語風に簡略化して「フランツ・フォン・スッペ」とした。姓は誤って[2]「スッペ・デメッリ (Suppe Demelli)」と呼ばれることもある(デメッリは父方の祖母の姓[3])。

「Suppè」は標準ドイツ語では「ズペー」「ズッペ」と読まれるが、オーストリア・ドイツ語では「スペー」「スッペ」と読む。なお、アクセントのない「Suppe」はドイツ語で「スープ」の意味になる。

生涯

ウィーン中央墓地にあるスッペの墓

従来のスッペの伝記は作り話に満ちており、とくに生い立ちには謎が多い。たとえば子供のときにフルートの演奏に熱中しすぎて父親が楽器を隠したとか、あるいは遠戚にガエターノ・ドニゼッティがいて、イタリアを訪れてロッシーニヴェルディに会ったとされるが[4][5]、これらが真実かどうかを知るのは難しい[2]

スッペはダルマチア地方のスパラト(ヴェネツィア共和国領だったが1797年の共和国の解体後はハプスブルク帝国に所属、現クロアチアスプリト)に生まれた。父方の先祖はベルギーからの移民と言われるが[4]、4代前までさかのぼってもダルマチア出身であり、ベルギー系という説には根拠がないともされる[3]。一方母親はウィーンの生まれだった[3]。現存する最初の作品は、1835年に地元のフランシスコ会の教会で初演されたカトリック典礼のミサ曲で、後に改訂されて『ミサ・ダルマティカ』と名づけられた[2]パドヴァで法律を学んだともいうが[4]根拠がないとされる[2]

1835年に父親が没すると、母とともにウィーンに出て、1836年から1840年までイグナーツ・フォン・ザイフリートに学んだ[2]。晩年のフランツ・シューベルトアントン・ブルックナー対位法の師として高名なウィーン音楽院ジーモン・ゼヒターに入門したとも言われるが明らかでない[2]

1840年から1845年までヨーゼフシュタット劇場ドイツ語版の第3カペルマイスターとなった(最初は無報酬だった)[2]。同劇場では自作を多数上演した。劇場監督のフランツ・ポコルニー (Franz Pokornyは、スッペをバーデン、エーデンブルク(ショプロン)、プレスブルク(ブラチスラヴァ)などで活動させ、またアン・デア・ウィーン劇場の首席作曲家兼指揮者に任命した[2]。ここで彼はアルベルト・ロルツィングやアドルフ・ミュラー (Adolf Müller Sr.とともに活動した[2]

1862年にポコルニーが倒産するとカイ劇場 (de:Theater am Franz-Josefs-Kai、翌年カイ劇場が焼失するとレオポルトシュタットのカール劇場 (Carltheaterに移った。『美しきガラテア』、『ファティニッツァ』、『ボッカチオ』などのスッペのもっとも有名なオペレッタはカール劇場のために書かれた[2]

1882年にカール劇場から引退したが、作曲活動は続けた。晩年の作品は多くが宗教曲である[4]

しめて100曲以上の作品を作曲した。

晩年はウィーンで過ごして、76歳で逝去した。墓はウィーン中央墓地にある。


  1. ^ Duden Aussprachewörterbuch (Duden Band 6), Auflage 6, ISBN 978-3-411-04066-7
  2. ^ a b c d e f g h i j k Alexander Rausch; Christian Fastl (2023-01-20), Suppè (fälschlich auch Suppé, Suppe Demelli), Familie, Oesterreichisches Musiklexikon, https://www.musiklexikon.ac.at/ml/musik_S/Suppe_Franz_von.xml 
  3. ^ a b c d On Franz von Suppè’s ancestors and his early years at Zadar, Stars in Gars, (2019-11-17), オリジナルの2022-12-06時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20221206181943/https://starsingars.wordpress.com/2019/11/17/vortrag-beim-franz-von-suppe-round-table-in-der-oesterreichbibliothek-der-universitaet-zadar-15-november-2019/ 
  4. ^ a b c d Peter Branscombe; Dorothea Link (2001-01-20), “Suppé [Suppè], Franz (von) [Francesco Ezechiele Ermenegildo Cavaliere Suppé Demelli]”, Grove Music Online, doi:10.1093/gmo/9781561592630.article.27130 
  5. ^ George Hamilton (2020-09-18), Tall tales from the 'Father of Viennese Operetta', Independent.ie, https://www.independent.ie/entertainment/music/tall-tales-from-the-father-of-viennese-operetta/39134262.html 
  6. ^ Das Modell, Franz von Suppé: Ein Morgen ein Mittag, ein Abend in Wien, https://www.f-v-su.de/bearbeitung-modell 
  7. ^ Hans-Dieter Roser (2020), Anchors Away: Franz von Suppé’s “Il Ritorno del Marinaio” On CPO, Operetta Research Center, http://operetta-research-center.org/franz-von-suppes-il-ritorno-del-marinaio-cpo/ 
  8. ^ Zum 200. Geburtstag von Franz von Suppé (O du mein Österreich), Dr. Elisabeth und Dr. Friedrich Anzenberger, (2019-07-30), https://www.anzenberger.info/o-du-mein-oesterreich 
  9. ^ s'Alraunl, Franz von Suppé: Ein Morgen ein Mittag, ein Abend in Wien, https://www.f-v-su.de/alraunl 
  10. ^ 『維納物語』MOVIE WALKER PRESShttps://moviewalker.jp/mv16224/ 


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