ファイナルファンタジーII 開発

ファイナルファンタジーII

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 05:26 UTC 版)

開発

本作は複雑な人間関係や命の尊さなどを描く色濃い人間ドラマが盛り込まれており、その後のシリーズにおけるストーリー性重視スタイルの先駆けになった作品と言える。本作では敵サイドが帝国軍で、主人公およびその仲間たちがその帝国軍に抵抗する反乱軍の協力者という位置付けになっており、『スター・ウォーズシリーズ』(1977年 - )旧3部作の影響がシナリオに反映されている[注釈 10]。シナリオは、脚本家の寺田憲史が手掛けた。また、本作の小説版『ファイナルファンタジーII 夢魔の迷宮』も寺田によるものである。登場キャラクターやモンスターのデザイン、イメージ画などは幻想画家でデザイナーの天野喜孝が担当した。

本作は、「『FFI』とはとにかく違うものにしよう」という構想のもとに作成された[20]。そのため、本作には経験値およびレベルの概念が存在せず、戦闘中に負ったダメージの量や武器や魔法を使用した回数などによってキャラクター個々のステータスや「熟練度」などが上昇するという独特の成長システムが導入されている。また、ゲームスタート時には、主要キャラクター4人の名前を全て入力し終えた直後にいきなり桁違いに強い敵との戦闘が始まり、なすすべもなく打ち負かされる[注釈 11]という独特の演出が用いられている(リメイク版では名前入力直後にプロローグが流れ、その後に戦闘へと繋がる)。

シリーズ恒例のチョコボシドは本作で初登場した。またシリーズで繰り返し登場するクリスタルも登場するが、本作ではあるダンジョンへ入る際に必要となるアイテムの素材であったり、別の物では主人公たちのステータスを増大させる程度のものであったりと非常に存在感が薄い。つまり、「世界に関わる存在としてのクリスタル」というイメージが固定化されたのは『FFIII』以降であると言える。


注釈

  1. ^ ブラッドソードの仕様そのものに対する修正はされなかったが、ゲームボーイアドバンス版以降では1本しか入手できないように変更された(オリジナル版では2本入手可能)。
  2. ^ 同じ素材の防具でも部位によってパラメータに差異があり、「兜→鎧→小手」の順に魔法干渉値が高くなる。
  3. ^ この仕様については取扱説明書にも一切の記載がなかった。当時の攻略本でも『ファミリーコンピュータ ゲーム必勝法スペシャル「ファイナル・ファンタジーII」』(ケイブンシャ刊)には簡単な解説があったものの、雑誌別冊扱いということもあって部数が限られており、ごく一部のユーザーのみが知る情報となっていた。詳細が判明し、多くのプレイヤーに周知されたのは後年インターネットで攻略情報がシェアされる時期になってからであり、ユーザーからは「魔法干渉」の俗称で呼ばれていた[要出典]
  4. ^ 4人目のパーティーメンバーは、レオンハルト(オープニング戦闘のみ)→ミンウ→ヨーゼフ→ゴードン→レイラ→ゴードン(2度目)→レイラ(2度目)→リチャード→レオンハルト(2度目、最終メンバー)と変遷。
  5. ^ ミンウ、ヨーゼフ、リチャードのステータスは離脱時のステータスを継承。
  6. ^ ファミコンは色相と輝度信号の操作によって発色制御を行なう。そのため、動作環境によってはまったく別の色に見えることもしばしばある。よってファミコンのゲームの使用色をはっきり「何色」と表現することは非常に困難。
  7. ^ ファミコンの同時発色数(同時に保持できるパレットセット数)の関係上、メニュー画面と戦闘シーンではパレットを複数のキャラクターに兼用している。また、キャラクター描画に割り当てられているパレットセット数そのものが一致しない(メニュー画面ではパレットセット3つ、戦闘シーンではパレットセット2つの中から割り当てるパレットセットを選択する)ため、本作ではしばしばこういった色の不一致が発生している。
  8. ^ 青も含む。カラーパレットが一様ではなく、また機種ごとによって発色が異なるために、単純に何色、と表現することは非常に困難。
  9. ^ ゲームボーイアドバンス版以降は「カイン」という名前が付けられている。
  10. ^ 坂口によれば、『FFII』作成時に、『スター・ウォーズエピソード5「帝国の逆襲」』(1980年)を見ていたと述べている(文・志田英邦/写真・松井友生『ゲーム・マエストロVOL.1プロデューサー/ディレクター編(1)』(株式会社毎日コミュニケーションズ、2000年)175頁(坂口博信発言))。
  11. ^ 全滅させられるがゲームオーバーにはならずにそのまま進行する、いわゆる負けイベントである。

出典

  1. ^ a b c d e 「5月10日号特別付録 ファミコンロムカセット オールカタログ」『ファミリーコンピュータMagazine』第7巻第9号、徳間書店、1991年5月10日、124 - 125頁。 
  2. ^ 幻の「ファイナルファンタジーII 英語版」ロムカセットがオークション出品される”. Gigazine. 2012年8月27日閲覧。
  3. ^ WSCの「FF II」は本体同梱版も同時発売”. itmedia (2001年4月4日). 2020年5月1日閲覧。
  4. ^ 『FF』シリーズの作品がセットになった『ファイナルファンタジー 25th アニバーサリー アルティメットボックス』発表”. ファミ通.com (2012年8月31日). 2020年5月1日閲覧。
  5. ^ [1][リンク切れ]
  6. ^ 「P901i」はFF IIプリインストール、2月4日発売” (日本語). ITmedia Moblie. アイティメディア (2005年2月1日). 2019年10月12日閲覧。
  7. ^ 石田賀津男 (2005年2月4日). “スクウェア・エニックス、iモード「ファイナルファンタジーII」を「P901i」にプリインストール。配信版も2月下旬登場” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2019年10月12日閲覧。
  8. ^ FF IIがダウンロード配信開始~まずは「N901iC」に” (日本語). ITmedia Moblie. アイティメディア (2005年3月4日). 2019年10月12日閲覧。
  9. ^ 石田賀津男 (2005年12月15日). “スクウェア・エニックス、iモードに続いてEZwebでも「ファイナルファンタジーII」を配信” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2019年10月12日閲覧。
  10. ^ EZwebでも「FF II」配信” (日本語). ITmedia Moblie. アイティメディア (2005年12月15日). 2019年10月12日閲覧。
  11. ^ 『ファイナルファンタジーII』の完全移植版がiモードに次いでEZwebでも配信スタート!” (日本語). 電撃オンライン. KADOKAWA (2005年12月15日). 2019年10月12日閲覧。
  12. ^ 太田亮三 (2006年9月15日). “スクウェア・エニックス、ボーダフォン3G向けドラクエ・FFなど” (日本語). ケータイ Watch. インプレス. 2019年10月12日閲覧。
  13. ^ ドラクエ2やFF2など、ソフトバンク端末向けアプリ投入──スクウェア・エニックス” (日本語). ITmedia Moblie. アイティメディア (2006年9月19日). 2019年10月12日閲覧。
  14. ^ 「ファイナルファンタジー」「ファイナルファンタジーII」 各1000円で配信開始” (日本語). ITmedia Moblie. アイティメディア (2010年2月25日). 2019年10月12日閲覧。
  15. ^ FINAL FANTASY II[Android]” (日本語). 4Gamer.net. Aetas. 2019年10月12日閲覧。
  16. ^ 津久井箇人 a.k.a. そそそ (2013年12月4日). “Wii Uバーチャルコンソール12月11日配信タイトル ― 『アイスホッケー』『ファイナルファンタジーII』の2本” (日本語). iNSIDE. イード. 2019年10月12日閲覧。
  17. ^ 津久井箇人 a.k.a. そそそ (2014年2月5日). “『ファイナルファンタジーII』3DSバーチャルコンソールに登場 ― ドラマティックなストーリー展開と自由な育成システム” (日本語). iNSIDE. イード. 2019年10月12日閲覧。
  18. ^ ファイナルファンタジー ピクセルリマスター公式サイト” (日本語). スクウェア・エニックス. スクウェア・エニックス. 2021年7月26日閲覧。
  19. ^ 「ファイナルファンタジー ピクセルリマスター シリーズ」の開発をさせていただきました。”. 株式会社トーセ. 2022年3月21日閲覧。
  20. ^ a b 『WEEKLYファミ通』993号(エンターブレイン、2007年)90頁(河津発言)
  21. ^ Final Fantasy II for NES (1988)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年4月28日閲覧。
  22. ^ a b c d Final Fantasy II for PSP (2007)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年4月28日閲覧。
  23. ^ a b ファイナルファンタジーII まとめ [ファミコン]”. ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2018年4月28日閲覧。
  24. ^ a b ファイナルファンタジーII まとめ [ワンダースワン]”. ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2018年4月28日閲覧。
  25. ^ a b ファイナルファンタジーII まとめ [PS]”. ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2017年5月20日閲覧。
  26. ^ VanOrd, Kevin (2007年8月3日). “Final Fantasy II Review”. GameSpot. 2012年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年11月25日閲覧。
  27. ^ Graziani, Gabe (2007年7月26日). “Final Fantasy II”. GameSpy. 2008年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年12月2日閲覧。
  28. ^ Dunham, Jeremy (2007年7月26日). “Final Fantasy II Review”. IGN. 2012年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年11月25日閲覧。
  29. ^ Levi Buchanan (2010年2月25日). “Final Fantasy II Review: The one where Cid shows up”. IGN. 2015年1月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月12日閲覧。
  30. ^ Final Fantasy II for Wii (2009)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年4月28日閲覧。
  31. ^ Final Fantasy II Anniversary Edition (PSP)”. GameRankings. 2011年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月12日閲覧。
  32. ^ Final Fantasy II (iOS)”. GameRankings. 2014年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月12日閲覧。
  33. ^ Final Fantasy II Anniversary Edition (PSP)”. Metacritic. 2011年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月12日閲覧。
  34. ^ Final Fantasy II (iOS)”. Metacritic. 2015年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月12日閲覧。
  35. ^ “Best Scenario Award: Final Fantasy II”, ファミ通 (All Soft Catalog '89), (1989) 
  36. ^ a b c d e f 「5月10日号特別付録 ファミコンロムカセット オールカタログ」『ファミリーコンピュータMagazine』第7巻第9号、徳間書店、1991年5月10日、379頁。 
  37. ^ a b 「6月16日増刊号特別付録 クロスレビュー優良ソフトパーフェクトカタログ 上巻」『ファミ通』、エンターブレイン、2005年6月16日、11頁。 
  38. ^ 岩崎啓眞のブログ「Colorful Pieces of Game」 ファミコン版FFⅡのアルテマはなぜ弱かったのか? http://www.highriskrevolution.com/gamelife/index.php?e=370






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