ハナトリカブト 生態

ハナトリカブト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/31 03:23 UTC 版)

生態

冷涼な気候に群生する。高さ1.2m(4ft)×幅30cm(12インチ)に直立して成長し、3から5葉の卵形の革のような葉を持つ。夏の終わりから秋にかけて、青い花による密な穂を成す。

園芸植物としても人気があり、数多くの栽培品種が開発されている。そのうちの「アレンディ」と「ケルムスコット」(ウィルソニグループ)は王立園芸協会ガーデン・メリット賞を受賞している。

人間との関わり

ハナトリカブトの各部分には非常に強い有毒成分が含まれており、歴史的にはに塗る毒として用いられ、塊根を加熱して毒性を減らしたものは「附子(ぶし)」や「烏頭(うず)」として鎮痛や強精などの目的で生薬として用いられてきた[1]。日本では芽を吹き始めた頃にニリンソウゲンノショウコなどの山菜と間違えて食べてしまい、中毒を引き起こす例が見られる[2]。取り扱いに慣れていない人間が体内に摂取した場合、命に関わる危険性がある。

毒性

顕著な症状は、通常1時間以内に現れ、大量に摂取した場合ほぼ即死に近い状況になる。致命的な中毒では通常2から6時間以内に死亡する(20から40mlのチンキ剤が命に関わる場合がある)。最初に吐き気、嘔吐、下痢などの兆候が現れ、これに続いて、口や顔の灼熱感、うずき、しびれ、腹部の灼熱感が現れる。重度の中毒では顕著な運動衰弱が起こり、皮膚のうずきやしびれが手足に広がる。心血管の低血圧、洞性徐脈、および心室性不整脈が起こる場合もある。その他の特徴には、発汗、めまい、呼吸困難、頭痛、錯乱などがある。主な死因は、心室性不整脈と心停止、心臓または呼吸中枢の麻痺であるが、死後には窒息の兆候だけが残る。

中毒の治療は集中的に行われる必要があり、すべての患者で血圧と心調律を綿密に監視しなければならない。摂取から1時間以内であれば、活性炭による胃腸の除染が期待できる。

生理学的な解毒剤は、徐脈の治療に使用されるアトロピンが主である。心室性不整脈に使用される他の薬物にはリドカインアミオダロン、ブレチリウム、フレカイニドプロカインアミド、およびメキシレチンが含まれる。これらの薬剤による治療に拒否反応が見られる場合は心肺バイパスが採用される。重度の中毒患者において木炭血液灌流を用いた成功例があったの主張がある。

手袋を着用せずにハナトリカブトの葉を摘んだ場合も中毒が発生する可能性がある。アコニチンの毒素は皮膚から簡単に吸収されるが、この場合は胃腸への影響はない。触れた部分からチクチクとした感覚が引き起こり、次いで腕から肩まで広がる。その後は心臓が影響を受け始め、その後は不快なしびれが続くことになる。治療は、経口摂取によって引き起こされる中毒の場合に似る。


  1. ^ ハナトリカブト(キンポウゲ科)”. 北海道立衛生研究所. 2021年9月29日閲覧。
  2. ^ ハナトリカブト”. 金沢大学薬学系. 2021年9月29日閲覧。


「ハナトリカブト」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ハナトリカブト」の関連用語

ハナトリカブトのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ハナトリカブトのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのハナトリカブト (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS