ネイピアの骨 ネイピアの骨の概要

ネイピアの骨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/08 16:41 UTC 版)

概要

基盤と棒からなる。棒は左の図(図は7の棒)のように九九を元にして作られており、同じ棒が何本か用意されている。

ネイピアの骨は、ギリシャ語で「棒」を意味する ραβδoς (rabdos) と、「言葉」を意味する λóγoς (logos) の合成語である ラブドロジー (Rabdology) とも呼ばれる。ネイピアは、1617年の末にエディンバラRabdologiæ という名前で発表した。ネイピアの骨には九九の表が組み込まれており、複数の桁からなる整数と、1桁の正の整数の掛け算の計算を足し算だけで済ますことができる。

その応用として、複数桁同士の掛け算や割り算平方根を求める計算ができる。

ネイピアの骨は、枠を持つ基盤(図中では「BOARD」)と、乗算や除算を行うために基板上に配置されるネイピアの棒(図中では「SET OF RODS」)によって構成される。基盤の左側には、1から9までの番号が順番に書かれた9個の正方形が並べられている。ネイピアの棒は、木や金属、もしくは厚紙でできた細長い板である。ネイピアの棒は9個の正方形に区切られており、一番上を除く全ての正方形が斜線によって左上と右下に分けられている。一番上の正方形には1桁の数字が書かれており、それ以外の正方形には、一番上の正方形に書かれた数を2倍した数から9倍した数までが順番に書かれている。ここで、正方形の左上の部分には10の位の数字が、右下の部分には1の位の数字が書かれている。10未満の数の場合、左上の部分の数字は0である。一番上の正方形に書かれている数字は、0から9まであるが、0の棒は全ての数字が 0 であり無くても問題ない。平方根の計算を行う場合は、これ以外に平方数を並べた棒が必要になる。

基本的な積

ネイピアの骨で基本となるのが、複数桁の整数と1桁の整数の積を求めることである。ここでは、ネイピアの骨を用いて 46785399 × 7 を求める。基盤に左から 4,6,7,8,5,3,9,9 の棒を順に並べる。もし0を含む桁がある場合、0の棒が無ければネイピアの棒を置かずに空白にすればよい。右端から順に、斜めに区切られた部分の数字を順に足していく。足した結果が2桁になる場合は、繰り上がりをし、左側の列にその数を足す。

改良されたネイピアの骨。右端の無地の棒は0を表す棒。

上図で色の変えてある 7 行目を拡大し右側に抜き出してある。この 7 行目の一番右の正方形の右下は3なので、求めるべき積の1の位は3となる。次に、一番右の正方形の左上は6、その左隣の正方形の右下は3なので、求めるべき積の10の位は6+3=9となる。同様に、100の位は6+1=7となる。10万の位は5+9=14となるので、1を繰り上げて100万の位を4+2+1=7とし、10万の位を4とする。従って、求めるべき積は327497793となる。

このような足し算を見やすくするために、棒を傾けて、足す数を縦に並べられるようにした形のネイピアの骨の改良版も作られている。

複数桁の整数同士の積

簡単な応用として複数桁の整数同士も同じように求める事ができる。ここでは 46785399 × 96431 を求める。先程と同じように基盤に左から 4,6,7,8,5,3,9,9 の棒を順に並べる。そして 96431の各桁の(1の位から並べた) 1,3,4,6,9 との積を各行から求めて、上から並べる。桁が上がるごとに左へ桁をずらしながら書いていき最後に足し合わせる。

これは、一般に知られている掛け算の筆算と同じである。ネイピアの骨の役割は九九を用いる部分を簡略化し、九九を覚えていない人でもこのような掛け算を容易に行えるようにすることである。




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