ネイピアの骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/08 16:41 UTC 版)
除算
除算も、乗算と同様の方法で行うことができる。ここでは 46785399÷96431の商を求めてみよう。まず、基盤の内側に除数96431に相当するネイピアの棒を配置し、除数96431と1から9までの数との積を上述の方法によって算出する。この値を参考にして割り算の筆算を行えばよい。
以上の結果から、
- 46785399÷96431 = 485 … 16364
となる。
ネイピアの骨が使われているのは積を求める部分だけなので、小数点以下の値が必要な場合も普通の割り算の筆算と同様に計算すればよい。
開平法
平方数の棒
平方根を求める計算には、平方数 1, 4, 9, … 81 を並べた棒が必要になる。この棒は一番右に置いて使う。ここでは例として、 1 の棒、 3 の棒と平方数の棒を並べた図を用いる。ネイピアの骨の基本的な演算と同じく、足し算によって求めた各行の値を右端に付記した。
この演算は、
- (130+n)×n = 13×n×10 + n2
を n 行目の値とする演算である。 4 行目なら 134×4 = 536 に等しい。平方根を求める計算ではこの演算がとても重要になる。
平方根の求め方
ここでは例として 46785399 の平方根を求める。開平算を用いるときにまずすることは、小数点を基準にして二桁ずつに数字を分けることである。いまの場合
- 46|78|53|99
となる。
これは偶数桁でちょうど 2つずつに分かれたが、奇数桁の場合は最上位が 1つになる。例えば 27183の場合は 2|71|83 となる。整数ではなく小数部を持つ数の場合も小数点を基準にして 2桁ずつにわける。133.1415 であれば、 1|33.|14|15 と分ける。
最上位の区分の 46 に着目し 46 以下の平方数で最も大きいものを探すと 62 = 36 である。この 6 が平方根の最上位の数字になる。下図の中央にある筆算で赤い 6がこれにあたる。赤い四角で囲んだ 46 の下に 36 と書き引き算して 10 が得られる。次のブロックの 78 (青色の枠)を下ろしてきて 1078 とする。
ここでネイピアの骨を使う。赤い 6 の 2 倍、すなわち 12 ( 1 の棒と 2 の棒)を基盤に並べる。さらに右端に 平方数の棒を加えたものが下図の左上の基盤 1 である。各行を計算した値が右端に書いてある。 1078 以下で最も大きな数である行を探すと 8行目の 1024 が見つかる。これを 1078 の下に書き引き算を行い、 54を得る。このときの行数の 8 が平方根の次の桁の値(青色)になる。次のブロックの 53 (緑色の枠)を下ろしてきて 5453 とする。
1 の基盤に並べた 12 を 10 倍して 120。いま得た平方根の 2 桁目の値 8 を 2 倍して 16。これらを足して 120 + 16 = 136。この値が下図の右上の 2a の基盤になる。さらに平方数の棒を右端に並べ左下の 2bの基盤になる。 2b の基盤にも各行を計算した値が書いてある。この値の中から 5453 以下で最も大きい数を探すと 3行目に 4089が見つかる。これを 5453 の下に書き引き算をして 1364 を得る。この時の行数である 3 が平方根の次の桁の数字(緑色)になる。
以下は同じことの繰り返しをする。
- 99 (桃色の枠)を下ろしてきて、 136499 を得る。
- 基盤 2b で用いた 136 を 10 倍し、今、新たに得た平方根の値 3 (緑色)を 2 倍し両者を足すと 136×10 +3×2 = 1366 を得る。
- 1366 を基盤に並べ平方数の棒を右端に添えると下図の右下にある基盤 3 のようになる。
- 136499 以下で最も大きい数を基盤 3 から探すと 9 行目の 123021 が見つかり、136499 の下に書いて引き算をすると 13478 を得る。この時の行数である 9 が平方根の次の桁の数字になる。
以上の計算により
ということが分かる。
関連項目
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