ナスカの地上絵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 14:21 UTC 版)
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ナスカの地上絵(サル) | |||
英名 | Lines and Geoglyphs of Nasca and Palpa | ||
仏名 | Lignes et Géoglyphes au Nasca et Palpa | ||
登録区分 | 文化遺産 | ||
登録基準 | (1), (3), (4) | ||
登録年 | 1994年 | ||
備考 | 2016年に名称変更。 | ||
公式サイト | 世界遺産センター(英語) | ||
地図 | |||
使用方法・表示 |
ナスカの地上絵(ナスカのちじょうえ、Nazca Lines)は、ペルーのナスカ川とインヘニオ川に囲まれた平坦な砂漠の地表面に、砂利の色分けによって描かれた幾何学図形や動植物の絵の総称であり、古代ナスカ文明の遺産である。ナスカの図形群が描かれているエリアは縦横30kmもある非常に広大な面積があり、全体に千数百点もの膨大な数の巨大な図形が描かれている。あまりにも巨大な絵が多く、空からでないとほとんどの地上絵の全体像の把握が難しい。なぜこのような巨大な地上絵を描いたのかということが大きな謎の一つとなっている。また、ナスカの地上絵のエリアから川を挟んですぐ南にはカワチの階段ピラミッド群があり、その関係性は深いと予想されている。
ナスカの地上絵のエリアのすぐ北には、川を挟んでパルパの地上絵(パルパのちじょうえ、Palpa Lines)[注釈 1]と呼ばれる同じぐらい広大な山岳地帯の地上絵のエリアがあり、ナスカの地上絵の1000年前パラカス文化の時代に描かれたとされる数多くの幾何学図形と地上絵が描かれているが、観光地化されていないので一般にはあまり知られていない。
ナスカの地上絵とパルパの地上絵はともに世界遺産に登録されている。
概要
ナスカの地上絵は、1926年にアメリカの文化人類学者のアルフレッド・クローバーとペルーの考古学者メヒア・ヘスペによって直線状のものが発見された[1]。
動物の地上絵を発見したのはアメリカの歴史学者ポール・コソックで[1]、1939年6月22日に上空を飛行した時に発見された。その後ドイツの数学者、マリア・ライヘが終生この地に住み着き、彼女を中心として、地上絵の解明作業と、保護が行われるようになった。
近年でも新たな地上絵が発見されており、2011年1月18日、山形大学は、人文学部坂井正人教授(文化人類学・アンデス考古学)らのグループがペルー南部のナスカ台地で新たな地上絵2つを発見したと発表した。新たな地上絵2つ(人の頭部、動物)はナスカ川の北岸付近で見つかった。人間の頭部と見られる絵は横約4.2m、縦約3.1mで、両目・口・右耳の形が確認されている。動物と見られる絵は、横約2.7m、縦約6.9m。種類は特定できていない。山形大学は2012年10月30日にナスカ市にナスカ研究所を開所した[2]。2013年に入って同大はさらに2つ並んだ人物と見られる地上絵を発見し、更に2015年には24点もの地上絵が新たに発見されたと発表した。また2019年には143点もの地上絵が新たに発見されたと発表した[3][4]。
近年、自動車の侵入による破壊が著しく消滅の危機にある。具体的な人為的破壊の例としてはグリーンピース (NGO)のパフォーマンスによるものが知られている[5]。地上絵のあるエリアは保護のため許可なしには立ち入れず、立ち入りの際には専用の靴を履くこととなっているがそれが守られなかった。また、いたずらによるものと思われる地上絵[注釈 2]も複数発見されている。
主な地上絵の規模
ナスカの地上絵の中では動物や昆虫等の絵が特に有名であるが、それは地上絵全体からすれば極々一部の比較的小型の絵であり、地上絵の大部分は地平線まで続く無数の正確な直線を含む、動物の絵とは比較にならないほど巨大で膨大な数の幾何学図形である。特に滑走路のように見える細長い台形、もしくは三角形のモチーフはエリア全体に渡って無数に描かれている。
注釈
出典
- ^ a b 地球の歩き方 2010, p. 72.
- ^ 山形大学ナスカ研究所 所長挨拶 at the Wayback Machine (archived 2013年5月3日)
- ^ “143 New Geoglyphs Discovered on the Nasca Pampa and Surrounding Area”. Yamagata University (2019年11月15日). 2019年11月21日閲覧。
- ^ “未発見の「ナスカの地上絵」をIBMのAIが見つけ出すことに成功、見つかった143点の地上絵はこんな感じ”. GIGAZINE (2019年11月20日). 2019年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年11月21日閲覧。
- ^ “グリーンピースが聖地に残した爪痕”. ギズモード (2014年12月23日). 2022年11月19日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2019年11月15日). “日本IBMのAI技術により、「ナスカの地上絵」の発見速度が向上”. PC Watch. 2022年12月18日閲覧。
- ^ “Archaeologists Seek to Unearth Mysterious Geoglyphs in Peru Using IBM AI and Geospatial Data” (英語). IBM Research Blog (2019年11月18日). 2022年12月18日閲覧。
- ^ 本城達也. “神々や宇宙人へのメッセージか?「ナスカの地上絵」”. 超常現象の謎解き. 2021年9月9日閲覧。
- ^ “TECTONICS BLOG Rev”. www.impacttectonics.org. 2022年12月18日閲覧。
- ^ “はやし浩司のホームページ★★★ここが子育て、最前線★★★Hiroshi Hayashi's Website”. www2.wbs.ne.jp. 2022年12月18日閲覧。
- ^ http://www.digibook.net/d/87d4853f815f9b342411e712b07d9982/?viewerMode=fullWindow[リンク切れ]
- ^ a b c d e f g h 毎日新聞 2012年02月22日 東京朝刊:歴史・迷宮解:現代のナスカ地上絵 種まきの距離感覚[リンク切れ]
- ^ “中南米デスティネーションガイド”. Air Canada. 2013年4月14日閲覧。 “近年では、探査衛星ランドサットが撮影した画像に、全長50kmにも及ぶ巨大で正確な矢印が発見され、ナスカの地上絵の謎は深まるばかりです。”[リンク切れ]
- ^ 高久, 克也; 小川, 進 (2008), “ALOS によるナスカ地上絵の同定”, 地球環境研究(紀要) (立正大学地球環境科学部) 10: 1-9
- ^ 図6の解説より。阿子島, 功 (2009), 科学研究費補助金研究成果報告書, 東北地理学会, p. 4[リンク切れ]
- ^ "ナスカとフマナ平原の地上絵". 講談社「世界遺産詳解」. コトバンクより2022年11月19日閲覧。
固有名詞の分類
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