ドラえもん のび太の日本誕生 ドラえもん のび太の日本誕生の概要

ドラえもん のび太の日本誕生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/07 09:55 UTC 版)

2016年に本作のリメイク版である『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』が公開された。

概要

7万年前の後期更新世日本および中国大陸を舞台に、精霊王ギガゾンビを擁するクラヤミ族と、それに相対するヒカリ族の側に付いているドラえもんとのび太たちの戦いを描いた長編作品。

ドラえもん
のび太の日本誕生
(連載)
漫画
作者 藤子不二雄
藤子・F・不二雄[注 2]
出版社 小学館
掲載誌 月刊コロコロコミック
発表期間 1988年9月 - 1989年2月
話数 6
その他 全180頁(扉6頁を含む)
テンプレート - ノート

漫画(連載)

連載漫画は『月刊コロコロコミック1988年昭和63年)10月号から1989年平成元年)3月号に掲載された。全6回。

ドラえもん
のび太の日本誕生
Doraemon:
Nobita and the Birth of Japan
監督 芝山努
脚本 藤子・F・不二雄
原作 藤子・F・不二雄
製作 シンエイ動画テレビ朝日小学館
製作総指揮 藤子・F・不二雄
出演者 レギュラー
大山のぶ代
小原乃梨子
野村道子
たてかべ和也
肝付兼太
ゲスト
松岡洋子
永井一郎
高島雅羅
音楽 菊池俊輔
主題歌 時の旅人/西田敏行
編集 岡安肇
制作会社 シンエイ動画
製作会社 シンエイ動画
テレビ朝日
小学館
配給 東宝
公開 1989年3月11日
上映時間 100分
製作国 日本
言語 日本語
配給収入 20億2000万円[1]
前作 ドラえもん のび太のパラレル西遊記
次作 ドラえもん のび太とアニマル惑星
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映画

画像外部リンク
ポスター|英語版Wikipedia


映画は1989年3月11日に公開された。テレビ朝日開局30周年、テレビアニメ10周年記念作品[2]。第7回ゴールデングロス賞優秀銀賞受賞[3]

顧客動員数は、同シリーズでは原作者藤子・F・不二雄存命時には破られることはなく、2018年公開の『のび太の宝島』に破られた[4]

公開直前の1989年3月4日には、ドラえもん映画公開記念スペシャルとして『ドラミちゃんと日本誕生!』も放映されているほか、公開後の1990年には、本作の続篇的内容のゲーム『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』が発売されている。

映画のアバンタイトルではククルが登場するのみでドラえもんたちが登場せず、ククルが時空乱流に吸い込まれた後に地球の全景が現れ、どこからともなく「ドラえもーん!」の叫びが聞こえてオープニングに入るという構成になっている。

終盤におけるタイムパトロール隊の出動シーンは、第一作の「のび太の恐竜」と同じカット割りの新作となっており、一作目をリスペクトしている。

本作よりドルビーステレオが採用された。

ドラえもん (1979年のテレビアニメ)のスタッフによって作られた。予告編は藤子不二雄名義である。

後日談

1989年6月に、本作の後日談が含まれる短編漫画「いつでもどこでもスケッチセット」[5]が掲載された『小学四年生』1989年7月号が発売された。

ドラえもん
のび太の日本誕生
(大長編単行本)
漫画
作者 藤子・F・不二雄
出版社 小学館
レーベル てんとう虫コミックス
発売日 1989年7月28日
その他 全188頁[注 3]
テンプレート - ノート

漫画(単行本)

1989年7月28日に単行本(てんとう虫コミックス)が発売された。その際に加筆・修正が行われ、本編の頁数は13頁増加した。

最後の1頁が描き加えられ、ククルたち(新人)よりも前の日本には人間がいなかったという誤解を防ぐために、「彼等(旧人)は、やがて絶滅したらしく、今の日本人と血のつながりはない」という文章が記載されている。また、この頁に出てくる日本国王と、藤子・F作品『チンプイ』第5話「御先祖は日本王?」(1985年)に登場する日本国王は共にウンバホという名前で、同一人物であることが暗示されている。

あらすじ

※漫画(単行本版)を元に記述。

学校でも家でも叱られてばかりののび太はついに家出を思い立つ。「どうせいつものようにすぐかえってくるんだろ」とドラえもんに言われつつも、「キャンピングカプセル」等の道具を使って生活を始めるが、どこも誰かの土地で自由に住める場所がない。その一方で、当初はのび太の家出を止めていたしずか、からかっていたジャイアンスネ夫も、親からの期待や押し付けに嫌気が差し家出を決意。更にドラえもんもパパが部長から預かったハムスターが天敵のネズミのなかまであることが耐えきれず家出をする。途方に暮れる5人は、のび太の提案でまだ誰もいない時代の日本へ行こうと考え、「史上最大の家出」と叫びながらタイムマシンに乗って出発する。

タイムマシンで時空を超える途中で「時空乱流」に巻き込まれそうになるものの、何とか無事に7万年前の日本へ到着。住居を作り、食物や植物を育てる等、誰からも邪魔されない生活を思う存分満喫する一同。そんな中ペット係を任されたのび太は「動物の遺伝子アンプル」と「クローニングエッグ」でペットを作ることになるが、皆を驚かせようと別々の動物をかけ合わせてみることにし、ペガ、グリ、ドラコという3匹のペットが誕生する。

「またきたけりゃいつでもこられるんだから」と現代に帰宅した5人。だが翌日、のび太たちは現代にいるはずのない原始人の少年と遭遇する。5人が気絶した少年を連れて再び7万年前の日本へ行くと、そこには立派に育ったペガ、グリ、ドラコの姿が。

目を覚まし「ほんやくコンニャク」を食べた少年は「ぼくの名はククル」「ヒカリ族タジカラのむすこ」と名乗り、空の穴にすいこまれたと語る。ヒカリ族の村はクラヤミ族と名乗る謎の集団から襲撃を受け、人々は北の方に連れて行かれたという。クラヤミ族の背後には「不死身の精霊王」を名乗る「ギガゾンビ」がついており、その魔力にかな人間はいないとククルは語る。ドラえもんはククルがすいこまれた穴は「時空乱流」だと推理する。

一行は、ヒカリ族が住んでいた場所(20世紀の地図なら中国大陸和県)へ向けて出発する。海を越えなくては、と心配するのび太たちに当時の地形図を見せるドラえもん。7万年前は氷河期のため海面が低く日本列島と大陸は地続きになっていたのだ。ククルの村に着いた一同は3匹のペットを村に残し「たずね人ステッキ」でヒカリ族を追跡する。

一方で、クラヤミ族に連行されるヒカリ族たち。ヒカリ族のひとりが殺されそうになったところ、空に現れた「ドラゾンビ」(正体はドラえもん)が電撃でクラヤミ族を撃退し、彼らを指揮する土偶型の怪物・ツチダマも衝撃波を「ヒラリマント」ではね返して粉砕する。ヒカリ族は歓喜し、ククルは無事に両親と再会を果たす。

しずかの提案でヒカリ族を安全な日本に連れていくこととなり、皆は「どこでもドア」でまずヒカリ族の村へ移動。だが、そこにいるはずのペガ、グリ、ドラコはいくら探しても見つからない。のび太は「みつかるまでさがすんだ!!」と泣くが、ヒカリ族の安全を優先して皆は「どこでもドア」で新天地・日本に移動する。

ヒカリ族は新たな村を自らの手で作り上げていき、その姿に感心する5人。気落ちしているのび太を、ククルは昔飼っていたオオカミの子が狩りの途中ではぐれるもまた戻って来た話をして励ます。

一旦現代に戻る5人。一方で、ギガゾンビは元の姿に戻っていたツチダマから事の顛末を聞かされて激怒し、「ドラゾンビらのゆくえをさがせ!!」とツチダマに命じ、「地のはてまでもやつを追いつめ八つ裂きにしてくれるわ!!」と言い放つ。

現代で元の生活を始める5人。だがドラえもんは持ち帰ったツチダマの破片が粉々にしても元に戻ることから、それを「形状記憶セラミック」だと語り、「ギガゾンビはただのまじない師なんかじゃなかったってことだ!!」と見抜く。

ヒカリ族が心配になった5人はみたび7万年前の日本へ。予感は的中し、ククルも含めたヒカリ族全員がまたもクラヤミ族に連れ去られていた。「かえしてほしければトコヤミの宮へやってこい」というギガゾンビからのメッセージを見た5人は、「どこでもドア」で元ヒカリ族の村だった場所に移動。トコヤミの宮を目指し、大陸の奥地を目指すのだった。


注釈

  1. ^ 『月刊コロコロコミック』での連載最終回から藤子・F・不二雄名義に改められた。
  2. ^ 連載第6回のみ。
  3. ^ 扉1頁+本編187頁。
  4. ^ a b 漫画ではこの描写は存在しない。
  5. ^ 映画版第1期では、出自が23世紀だとは言及していない。
  6. ^ 「ドラえもんクラブ」第2巻に掲載された「ドラえもん映画アカデミー賞」では「史上最弱ライバル賞」を受賞している。
  7. ^ 漫画でも1コマだけ素顔を見せているが、こちらでは体格の良いワシ鼻の男で映画ほど貧弱ではない。
  8. ^ 漫画及び映画版第1期では、現在へ戻ったドラえもんが形状記憶セラミックであることを突き止めたが、映画版第2期ではドラえもんが素材を見つけられず妹のドラミに調べさせている。
  9. ^ 原作漫画(コロコロ文庫版84頁参照)と映画版第1期(コロコロ文庫版2頁参照)では、ジャイアンとスネ夫はのび太に救出された後からドラコに乗っているが、映画版第2期(てんとう虫コミックス『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』62頁参照)では、ジャイアンのみがドラコに乗り、スネ夫はグリに乗っている。
  10. ^ テレビシリーズ版では1992年10月9日放送分から山野版を使用。
  11. ^ テレビシリーズ版での使用は2002年9月20日放送分まで。

出典

  1. ^ 1989年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  2. ^ 「のび太の新恐竜」がドラえもん50周年記念作品として 2020年3月公開! - ドラえもんの映画ヒストリーをおさらい”. 小学館 (2019年10月28日). 2020年3月25日閲覧。
  3. ^ 過去のゴールデングロス賞 - 全国興行生活衛生同業組合連合会”. Japan Association of TheaterOwners.. 2020年3月25日閲覧。
  4. ^ 映画「ドラえもん」絶好調「6年連続のベトナム公開も決まりました」テレビ朝日”. スポーツ報知 (2018年4月24日). 2018年12月5日閲覧。
  5. ^ 掲てんとう虫コミックス41巻収録。テレビアニメ版は1989年11月10日に放送。
  6. ^ 『チンプイ』第5話「御先祖は日本王?」
  7. ^ コロコロ文庫版では198頁。
  8. ^ コロコロ文庫版では96頁から103頁。
  9. ^ 漫画単行本64~66頁。
  10. ^ 『T・Pぼん』「超空間の漂流者」。このエピソードは本作の漫画版で行方不明事件の実例として挙げられていたアンブローズ・ビアスがタイムトリッパーとして登場。遥か未来まで漂着してしまったことになっている。


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