トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ ニュルブルクリンク24時間レース

トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 08:13 UTC 版)

ニュルブルクリンク24時間レース

2013年から、TMGの開発・販売するGT86 CS-V3がニュルブルクリンク24時間レースのV3クラスに参戦。2013〜2015年までトヨタ・スイス・レーシングがクラス優勝を飾っている。

2018年にはTMGの有志たちにより結成された『TMG United』[53]がSP3クラスに参戦。マシンは市販車の86で、総合81位・クラス3位で完走した[54]

2019年もSP3クラスに参戦。今度はGT86 CS-V3にマシンをスイッチし、クラス優勝を果たした[55]

EVレース

2011年、ラディカル・スポーツカー製シャシーにTMGの開発したパワートレインを搭載する「TMG EV P001」が、公道用タイヤでニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)において7分47秒794というラップタイムを記録。それまでのEVの記録であった9分1秒338を1分以上縮めた[56]

2012年のパイクスピーク・ヒルクライムにはP001を改良したP002[57]を用いて俳優の哀川翔が率いる「Team SHOW」が参戦。奴田原文雄がステアリングを握り、EVクラスで増岡浩三菱・MiEV Evolution田嶋伸博のE-RUNNERを破って優勝(総合6位)を果たし、さらにEVのコースレコード(10分15秒380)も樹立した[58]。またノルドシュライフェにも再登場し、ヨッヘン・クルムバッハのドライブで7分22秒329を叩き出し、P001の記録をさらに25秒近く縮めた[59]

2013年はTRD USAがP002を運用してパイクスピークに登場。ドライバーは90年代にセリカとタコマで総合優勝を果たしたロッド・ミレンであったが、後輪駆動ゆえに雨天の影響を大きく受けたこともあり、昨年の奴田原を下回るタイム(10分24秒301)でEVクラス4位に終わった[60]

プライベーター向けマシンの販売

2012年8月、トヨタ・86をベースにしたプライベーター用耐久マシン「GT86 CS-V3」と、入門用ラリーマシンであるグループR1A規定のトヨタ・ヤリスの販売を開始[61][62]。VLN(ニュル耐久シリーズ)では2013年以降、このCS-V3を対象とした「GT86カップ」をTMGが独自に設定し、優勝者に賞金を出している[63]。CS-V3は2016年にモデルチェンジされ、名称も「CSカップ」へと変更された[64]。また、ヤリスR1は、F1参戦以来のラリーへの正式復帰となる一台であった。

2015年にはグループR3規定初となる後輪駆動のラリーカー、「GT86 CS-R3」をプライベーターに向けて発売[65]。2018年からはCS-V3・CSカップ・CS-R3で参戦できるワンメイクレースの「TOYOTA GAZOO Racingトロフィー」を開催している[66]。2017年にはERC王者のルカ・ロセッティとGT86 CS-R3を擁して、ERC3にワークス参戦体制でスポット参戦している。

2019年にはグループGT4仕様のGRスープラの開発を正式に発表、翌2020年から販売することを発表している。


  1. ^ TOYOTA MOTORSPORT GmbH about us
  2. ^ トヨタの欧州研究開発拠点、会社名を変更”. TOYOTA GAZOO Racing. トヨタ自動車株式会社. 2020年4月20日閲覧。
  3. ^ TOYOTA MOTORSPORT GmbH about us vision
  4. ^ 「勝つためのプロ集団へ」トヨタ、TMGの社名を『TOYOTA GAZOO Racing Europe』に変更 - オートスポーツ・2020年4月20日
  5. ^ Home Page”. OYOTA GAZOO Racing Europe. 2022年11月21日閲覧。
  6. ^ a b c 『オートスポーツ 2011年8月4日号』(通号1309) イデア、2011年、pp.31 - 33。
  7. ^ 研究開発を「フィクション」でやりがちな日本車メーカー、「ノンフィクション」にする欧州【連載:世良耕太⑲】
  8. ^ [1]
  9. ^ TMG Unlikely To Build Hotter Toyota And Lexus Road Cars
  10. ^ GR Supra Racing Concept
  11. ^ “ピュア、TMGにファクトリーを移転”. ESPN Sports Media (ESPN F1). (2012年3月8日). https://web.archive.org/web/20180708020154/ja.espnf1.com/f1/motorsport/story/72391.html 2012年3月16日閲覧。 
  12. ^ TOYOTA GAZOO RACING 2017年WEC車両の解説
  13. ^ “ウィリアムズもトヨタの風洞を利用”. F1-Gate.com. (2011年2月1日). http://f1-gate.com/williams/f1_10574.html 2012年3月16日閲覧。 
  14. ^ ケータハムF1、トヨタの風洞を使用
  15. ^ フォース・インディアがトヨタの風洞に切り替え
  16. ^ マクラーレン、マシンの弱点を風洞で特定できず、トラックで"実験"? - motorsport.com・2018年6月24日
  17. ^ フェラーリなど複数のチームが利用している風洞実験室は、日本の自動車メーカーの施設だった!【F1速報×F1女子~F1メカニズム最前線2018~】 - ニコニコニュース・2018年2月23日
  18. ^ e-WOLF 2012年3月27日閲覧
  19. ^ DSM signs technology partnership agreement with Toyota Motorsport GmbH
  20. ^ DSM joins Toyota Motorsport GmbH to feature Somos capabilities at 2013 Le Mans
  21. ^ トヨタのレースカー技術がソチパラリンピックの金メダルに貢献
  22. ^ 中山潤哉 2018, p. 4.
  23. ^ ラリープラス 2017年ラリーモンテカルロ速報号 2017年3月12日刊 三栄書房 [要ページ番号]
  24. ^ a b 中山潤哉 2018, p. 23.
  25. ^ 中山潤哉 2018, pp. 23–24.
  26. ^ 赤井邦彦 2003, p. 101.
  27. ^ 中山潤哉 2018, p. 110.
  28. ^ TOYOTA MOTORSPORT GmbH HERITAGE
  29. ^ 中山潤哉 2018, pp. 61–62.
  30. ^ a b c 中山潤哉 2018, p. 39.
  31. ^ レーサーズ外伝 2019, pp. 16–19.
  32. ^ 中山潤哉 2018, pp. 41–43.
  33. ^ 中山潤哉 2018, pp. 43–45.
  34. ^ 中山潤哉 2018, p. 45.
  35. ^ 中山潤哉 2018, p. [要ページ番号], 世界の道に刻まれた栄光と苦闘.
  36. ^ “トヨタ、WRC復帰へ? ドイツで新エンジンを開発中”. RALLY+.net. (2012年3月26日). http://as-web.jp/rallyplus/news/info.php?no=25149 2012年3月27日閲覧。 
  37. ^ 中山潤哉 2018, p. 77.
  38. ^ "トヨタWRCチームの主要メンバーが明らかに". RALLYPLUS.NET. (2015年12月4日) 2016年2月3日閲覧。
  39. ^ トヨタ、WRC活動をTGRヨーロッパへ移管。トミ・マキネンはアドバイザーに就任 - オートスポーツ・2020年9月22日
  40. ^ WRC:トヨタ、2021年参戦体制発表。ヤリ-マティ・ラトバラが新チーム代表に就任 - オートスポーツ・2020年12月18日
  41. ^ トヨタ、ユヴァスキュラ新拠点にチーム機能を集中 RallyXモバイル(2021年6月11日)
  42. ^ 豊田章男氏「優勝おめでとう」新会社始動や蒲郡のラリーイベントにも言及。WRCモンテ後コメント全文 - オートスポーツ・2023年1月23日
  43. ^ WHO WE ARE - TGR-WRT
  44. ^ 赤井邦彦 2003, p. 108.
  45. ^ レーサーズ外伝 2019, p. 19.
  46. ^ TMG、レベリオンとの提携を発表 トヨタエンジンがル・マンへ - オートスポーツ・2010年12月3日
  47. ^ トヨタ、2012年のWEC参戦計画を発表』(プレスリリース)トヨタ自動車、2012年1月25日https://web.archive.org/web/20160305092528/http://ms.toyota.co.jp/jp/news/other/120125_news.html2012年3月16日閲覧 
  48. ^ a b 赤井邦彦 2003, p. 110.
  49. ^ “TMG、今後はヨーロッパにおけるトヨタの活動拠点に F1チームへの売却は無し”. オートスポーツweb. (2009年11月4日). http://www.as-web.jp/news/info.php?c_id=1&no=23201 2012年3月16日閲覧。 
  50. ^ “トヨタ、500名のスタッフを解雇へ”. ESPN Sports Media (ESPN F1). (2009年12月6日). オリジナルの2017年11月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20171107020310/ja.espnf1.com/f1/motorsport/story/4616.html 2012年3月16日閲覧。 
  51. ^ “ステファンGP、トヨタとの提携終了を正式発表”. F1-Gate.com. (2010年3月22日). http://f1-gate.com/stefangp/f1_6901.html 2012年3月16日閲覧。 
  52. ^ “トヨタ、ヒスパニア・レーシングとの提携を打ち切り”. F1-Gate.com. (2010年11月16日). http://f1-gate.com/toyota/f1_10023.html 2012年3月16日閲覧。 
  53. ^ Toyota Motorsport [@tmgofficial] (2019年6月24日). "Another week, another 24-hour winning car coming back to our home base". X(旧Twitter)より2019年6月24日閲覧
  54. ^ Official Result Race by class 46. ADAC Zurich 24h-Rennen
  55. ^ Results Race 2019
  56. ^ 【トヨタ】トヨタモータースポーツ社(TMG)が製作したEVがニュルで7分47秒794を記録
  57. ^ TMG@ポール・リカール マシン紹介編”. TEAM SHOW (2012年5月31日). 2012年9月17日閲覧。
  58. ^ “「パイクスピーク」で、トヨタのEVレースカーに乗る奴田原文雄選手が、EVクラス優勝!”. autoblog 日本語版. (2012年8月14日). http://jp.autoblog.com/2012/08/13/2012-pikes-peak-hill-climb/ 2012年9月17日閲覧。 
  59. ^ ニュル最速EVが、さらに記録更新!!
  60. ^ Rod Millen finished fourth in the Electric Class at Pikes Peak
  61. ^ 森脇稔 (2012年8月22日). “トヨタ 86 に入門耐久レーサー、ドイツで発売”. レスポンス. http://response.jp/article/2012/08/22/180047.html 2012年9月17日閲覧。 
  62. ^ TOYOTA MOTORSPORT GmbH TMG LAUNCHES YARIS R1A
  63. ^ http://autoprove.net/2012/12/27276.html AutoProve 【トヨタ】ニュルブルクリンクVLNレースを舞台にトヨタGT86カップがスタート レース仕様の販売も開始
  64. ^ CS-Cup: The Better Package
  65. ^ トヨタ、「86」のラリー仕様車「GT86 CS-R3」の最終スペックを発表!
  66. ^ トヨタ 86、欧州で新たなレース開催へ!レーサーとラリーが同ステージで参戦
  67. ^ a b “TMGからERC参戦のロセッティ「ナンバーK-AMのトヨタからWRCへの夢が始まった」”. Rally+.net. https://www.rallyplus.net/40080 2022年11月27日閲覧。 
  68. ^ Toyota’s incredible motorsport secret stash
  69. ^ DAY1-3 Yaris WRCエンジン開発秘話
  70. ^ 「TGR ニュルブルクリンク24時間耐久レースでの経験がトヨタ自動車に新たな風を吹き込む」 脇阪寿一の走らなアカン! 2017年6月7日
  71. ^ オフィシャルパートナー
  72. ^ オフィシャルパートナー





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ」の関連用語

トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのトヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS