テティス 神話

テティス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/25 14:40 UTC 版)

テティス古希: Θέτις, Thetis)は、ギリシア神話に登場する海の女神である。海神ネーレウスドーリスの娘たち(ネーレーイス)の1人[1][2]。一説にはケンタウロス族の賢者ケイローンの娘[3][4][5]テッサリアー地方のプティーアの王ペーレウスと結婚し、トロイア戦争最大の英雄アキレウスの母となった[6][7][8]


注釈

  1. ^ Bowra (1961) 25-6, Barrett (1961) 689, West英語版 (1963) 154-56, West (1967) 1-15, Penwill (1974) 15, Detienne and Vernant (1978) ch.5, Segal (1985) 179.[11]
  2. ^ Der Kleine Pauly はテッサリアー地方,スパルタ,ギュテイオン,エリュトライで崇拝されたとする[14]
  3. ^ 紀元4世紀ごろのクイントゥスがヘーパイストス、ディオニューソスを保護したエピソードとともに簡単に言及するという例はあるが[16]『イーリアス』以外ではほぼ知られていない伝承である。
  4. ^ ホメーロス風讃歌』第3歌「アポローン讃歌」やアポロドーロスではヘーパイストスを助けたのはテティス1人となっている[18][19]
  5. ^ 古代ローマの詩人カトゥルスの詩によると、ペーレウスがテティスを見染めたのはアルゴー船が出航した際に、テティスがアムピトリーテーのお供として見物に現れたときである[39]
  6. ^ アキレウスに討たれたヘクトールが息を引き取る前に予言した言葉ではパリスとアポローン[45]
  7. ^ 古代では以下の表記が知られている。テティディオン(Θετίδιον, Thetidion[59][60]、テティデイオン(Θετίδειον, Thetideion[61]、テスティデイオン(Θεστίδειον, Thestideion[62]
  8. ^ クリューセーイスの返還を求める老神官クリューセース(1巻)と息子ヘクトールの遺体の返還を求める老王プリアモス(24巻)、それを追い返すアガメムノーン(1巻)と迎え入れてもてなすアキレウス(24巻)という対比。
  9. ^ M. M. Willcock (1964) 143, M. W. Edwards (1987) 67.[75]

脚注

  1. ^ ヘーシオドス『神統記』244行。
  2. ^ アポロドーロス、1巻2・7。
  3. ^ ヒュギーヌス『天文譜』2巻18。
  4. ^ ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』1巻558への古註。
  5. ^ クレータのディクテュス、1巻14、6巻7。
  6. ^ ヘーシオドス『神統記』1006行-1007行。
  7. ^ アポロドーロス、3巻13・5-13・6。
  8. ^ シケリアのディオドロス、4巻72・6。
  9. ^ 『イーリアス』18巻127行。
  10. ^ 『神統記』1006行。
  11. ^ a b c d Noriko Yasumura, Cosmogonic Fragment of Alcman (Oxyrhynchus Papyri XXIV).
  12. ^ a b ヘロドトス、7巻191。
  13. ^ パウサニアス、3巻14・4-5。
  14. ^ a b 角田幸彦「ホメロス作品世界の精神史的考察 新稿」。
  15. ^ 『イーリアス』1巻396行-406行。
  16. ^ クイントゥス『トロイア戦記』2巻。
  17. ^ 『イーリアス』18巻。
  18. ^ 『ホメーロス風讃歌』第3歌「アポローン讃歌」319行-320行。
  19. ^ アポロドーロス、1巻3・5。
  20. ^ 『イーリアス』6巻。
  21. ^ アポロドーロス、3巻5・1。
  22. ^ 『イーリアス』1巻488行-530行。
  23. ^ a b 『イーリアス』18巻368行-617行。
  24. ^ 『オデュッセイア』24巻73行-75行。
  25. ^ ピンダロス『イストミア祝勝歌』第8歌27行-47行。
  26. ^ a b c アポロドーロス、3巻13・5。
  27. ^ ヒュギーヌス、54話。
  28. ^ オウィディウス変身物語』11巻。
  29. ^ 『キュプリア』断片(ピロデモス『敬虔について』B7241-50)。
  30. ^ ピンダロス『ネメア祝勝歌』第4歌62行-65行。
  31. ^ プロクロス『文学便覧』「キュプリア梗概」。
  32. ^ a b アイギミオス英語版』断片(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』4巻816行への古註)。
  33. ^ スタティウス『アキレイス』1巻269行。
  34. ^ ロドスのアポローニオス、4巻866行-879行。
  35. ^ a b アポロドーロス、3巻13・6。
  36. ^ ロドスのアポローニオス、4巻780行-841行。
  37. ^ ロドスのアポローニオス、4巻930行-963行。
  38. ^ アポロドーロス、1巻9・25。
  39. ^ 松田治『トロイア戦争全史』p.15。
  40. ^ アポロドーロス、3巻18・8。
  41. ^ アポロドーロス、摘要(E)3・26。
  42. ^ アポロドーロス、摘要(E)3・29。
  43. ^ 『イーリアス』9巻410行-416行。
  44. ^ 『イーリアス』21巻277行。
  45. ^ 『イーリアス』22巻359行。
  46. ^ 『イーリアス』18巻9行-11行。
  47. ^ 『イーリアス』1巻364以下。
  48. ^ 『イーリアス』18巻35行-126行。
  49. ^ 『イーリアス』18巻127行-147行。
  50. ^ 『イーリアス』19巻1行-39行。
  51. ^ 『イーリアス』24巻1行以下。
  52. ^ パウサニアス、5巻19・2。
  53. ^ アイスキュロス断片。
  54. ^ 『オデュッセイア』24巻47行-97行。
  55. ^ プロクルス『文学便覧』「アイティオピス梗概」。
  56. ^ クイントゥス、3巻。
  57. ^ ピロストラトス『ヘーロイコス』51。
  58. ^ ピロストラトス『ヘーロイコス』54。
  59. ^ ストラボン、9巻5・6(C431)。
  60. ^ ポリュビオス歴史』18・3・4。
  61. ^ エウリーピデース『アンドロマケー』20行。
  62. ^ ビューザンティオンのステファノス。
  63. ^ エウリーピデース『アンドロマケー』16行-20行。
  64. ^ エウリーピデース『アンドロマケー』1231行以下。
  65. ^ ヘーロドトス、186。
  66. ^ ヘーロドトス、188。
  67. ^ ヘーロドトス、190。
  68. ^ a b Emma Aston, Thetis and Cheiron in Tessaly.
  69. ^ パウサニアス、3巻14・4。
  70. ^ パウサニアス、3巻14・5。
  71. ^ ピロストラトス『ヘーロイコス』53。
  72. ^ アルクマーン断片5。
  73. ^ a b 廣川洋一「哲学の始まりと抒情詩 アルクマンの場合」。
  74. ^ Wilhelm Mannhardt, Antike Wald- und Feldkulte aus nordeuropäischer Überlieferung, 1877, Bd. II, p. 52-55.
  75. ^ a b c d 岡道男『ホメロスと叙事詩の環』。
  76. ^ Albin Lesky, Peleus, 1937.
  77. ^ カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 神々の時代』1章1。
  78. ^ 『マハーバーラタ』1巻91章-93章。
  79. ^ 吉田敦彦『ギリシァ神話と日本神話』p.71-74。
  80. ^ 沖田瑞穂「印欧語族の豊穣女神に共通する諸特徴について」。






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