チップセット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/21 01:02 UTC 版)
概要
当初のPC/AT互換機では、CPUメーカーが供給する標準的なCPU周辺ICと複数の汎用ICの組み合わせ(こちらが原義のチップセット)によって、制御回路を構成していた[4]。チップセットは、低価格化や実装面積の削減などをはかるために、それら複数の周辺ICや汎用LSIを、より高集積で少数の専用LSIに統合したものである。
コンピュータシステムを都市にたとえるなら、チップセットの持つ高度なインタフェース機能は、都市における交通結節点に相当し、ある意味では、情報処理に特化しているCPUよりも、システムにおいて主要であると言える[5]。実際に、1990年代以降のPC/AT互換機やそれに類似したマシン(PC-9800など)のマザーボードは特殊な場合を除き、CPUが設計の中心ではなく、チップセットが設計の中心である。特に32ビット時代の後半からは、CPUの交換が想定されているシステムは珍しくないが、チップセットのみの交換を想定しているシステムは存在しない。
チップス・アンド・テクノロジーズ(後の1997年にインテルに買収された)などが初期の代表的なメーカで、初期には、単に統合ASICと呼ばれることが多く、PCやマザーボードのカタログでも、取り立てて強調するようなことはなかった。チップセットという言葉が広く認知され始めたのは、PCIへの移行の初期頃の、インテルのi420TX (Saturn) やi430NX (Neptune) あたりからであり、PCの機能や性能への影響が大きくなったことと、パソコン自作のためにあまり表に出ないパーツが意識されるようになったためである。
- ^ CPU-PCIバスブリッジなどのチップはコンパニオンチップとも呼ばれる。
- ^ 1個で果たして「セット」(集合)という呼称が正しいものか悩ましいが、数学的には含まれる要素が1個という「一者集合」も集合ではある。
- ^ この10年で起こったこと、次の10年で起こること(5):半導体業界の秩序を変えた「チップセットの支配力」 (1/3) - EE Times Japan
- ^ DRAMコントローラ、i8257DMAコントローラ、INS8250シリアルI/O、パラレルI/O、μPD765AFDDコントローラなど。
- ^ もう少し歴史的な観点から見ると、マイクロプロセッサ以前のコンピュータ(メインフレームやミニコンピュータ)ではCPUの一部であったチャネルコントローラなどが、CPU性能の向上が重視されたパーソナルコンピュータにおいて分離されたものとも言える。逆にコストが重視された分野では、マイクロコントローラのように周辺も集積する方向性が進んだ。
- ^ 組み込みシステムやMacintoshではシステムコントローラと呼ばれる。なお、システムコントローラにはI/Oコントローラなどの周辺チップやCPUを統合している場合もある。
- ^ MacintoshではI/Oコントローラと呼ばれる。
- ^ AMD系チップセットはメモリーコントローラーはCPU内蔵
- ^ ごく一部の組み込み用マザーボードにはまだ採用されている。
- ^ ■元麻布春男の週刊PCホットライン■ AGPの互換性
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