タイムカプセル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/17 12:03 UTC 版)
タイムカプセル登場前史
「タイムカプセル」という用語の登場は、後述のようにニューヨーク万国博覧会とされるが、貴重品を後世のために隠しておくというアイデアは、遠くメソポタミア文明にまで遡り、メソポタミアの都市遺跡の城壁の中に隠されていた小部屋の中から5,000年前の箱が発見されているなど[2]、神殿や城塞の建設時に記念物を埋めることが行われてきた。現存する人類最古の文学であるギルガメシュ叙事詩の冒頭は、ウルクの城壁の礎石の中にある銅の箱の見つけ方から始まる。この箱にラピスラズリの銘板に書かれたギルガメシュの物語が保管されており、ここから彼の物語が語られる。
また末法思想の影響を受けた日本では、経典を後世に残すために陶・石・金属などで作られた容器(経筒)に納め、さらにそれを石・陶製の外容器に入れて、除湿剤(木炭)ともに埋納する経塚が多数作られた[3]。最古の経塚とされる金峰山経塚では、1007年(寛弘4年)在銘の経筒が出土している。
現代につながるタイムカプセルの発想自体は、1876年のフィラデルフィア万国博覧会で既に現れており、「センチュリー・セーフ(世紀の金庫)」と名付けられたタイムカプセルが100年後に開かれる予定で用意された[4]。
1936年、ジョージア州アトランタのオグレソープ大学(Oglethorpe University)は「文明の地下聖堂(Crypt of Civilization)」と呼ばれる小さな地下室を学内ホールの地下に作り、様々な書籍を撮影したマイクロフィルムや映像テープ、音声テープなどを収納してステンレス鋼のドアで密封し、8113年に開けることにしている。これは「タイムカプセル」という言葉のできる前の物だが、現代の意味のタイムカプセルの最初のものとみなされている。
- ^ このカプセルは2つあり、一つは2000年に点検のため開封された。内容の確認後再度埋められ、100年ごと(世紀末の年)に開封される予定となっている(次回は2100年の開封を予定している)。
- ^ a b c William Jarvis (2002)
- ^ 経塚 - コトバンク
- ^ 万博とテクノロジー 久島伸昭、日本計算工学会誌「計算工学」7号、2002年
- ^ “Princeton University Library - G. Edward Pendray Papers, 1829-1981 (bulk 1923-1971)”. 2010年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月28日閲覧。
- ^ New York Times, August 19, 1938, page 21
- ^ 趣旨(タイム・カプセルEXPO'70概要)
- ^ 主要事項一覧
- ^ 定礎箱の中身と定礎式
- ^ a b c 柳田一成「なぜ学校でタイムカプセルを埋めるのか〜タイムカプセルから見る日本現代史〜」(九州産業大学商学部観光産業学科 平山ゼミナール 平成28年度卒業論文)
- ^ A 50-Year-Old Time Capsule Sees Daylight, but Will It Start? ニューヨーク・タイムズ
- ^ 現実に光磁気ディスクが、1988年に登場したものの、ドライブの方が2000年代で生産を打ち切られた
- ^ なおこの点については企業などが行う大規模なタイムカプセルなどでは再生機器の製造方法や規格自体を記載した手順書を同梱し厳重な封印を施すことによりある程度の対応/配慮が見られる
- ^ “重機投入もカプセル発掘また不発”. 福井新聞 (2019年7月28日). 2019年7月31日閲覧。
- ^ “追憶のタイムカプセル、うっかり廃棄 開封心待ち400人”. 京都新聞 (2019年7月5日). 2019年7月31日閲覧。
タイムカプセルと同じ種類の言葉
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