セリ 利用

セリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/05 09:43 UTC 版)

利用

数少ない日本原産の野菜のひとつで、春の七草として古くから親しまれ、七草粥にも使われている。香草であり、緑黄色野菜でもある。鍋物や油炒め、和え物などにして食べられる。独特の強い香りには健胃、食欲増進、解熱といった薬効がある[20]

食用

若いときのを収穫して、古くから薬効のある冬の野菜として親しまれている[5][11]。野菜としては緑黄色野菜に分類されている[19]東洋では2000年ほど前から食用に利用されてきているが、西洋では食べる習慣はない[21]。寒冷地域では、冬季の緑色野菜が不足するときに、新鮮な香味野菜として和風料理には欠かせない食材である[11]。野菜としてのは1月から3月まで[19][20]で、春の七草の一つであるため1月頃であればスーパーマーケット等で束にして売られる[19]。葉が鮮やかな緑色でみずみずしく、茎はしっかりして太すぎず、香りが強いものが良品とされる[19][20]。秋田県湯沢市三関(みつせき)地区産の「三関せり」のように、気候や土質・水質の良さや江戸時代からの選抜育成によりブランド化した伝統野菜もある[22]

栄養素

野菜としては、水分が約93%、可食部100グラムあたりの食物繊維は2.5グラムと多く、エネルギーが17キロカロリー (kacal) と低い[23]。栄養成分にβ-カロテンビタミンB1B2Cカルシウム鉄分クエルセチンなどの栄養素を主に含み[15]、特にカロテン、ビタミンK葉酸などのビタミン類、カリウム、鉄、などのミネラル、食物繊維が特に豊富で[7]、これらをバランスよく含んでいる[19]

香り成分と相まって胃や肝機能を整え、カリウムは利尿効果を高めて血圧上昇を抑制し[15]、鉄や銅、葉酸は貧血予防に、ビタミンKは血液中の老廃物やコレステロールを排出する効果が高く[21][7]、生活習慣病の予防効果に役立つ食材といわれる[19]

調理法

セリが持つ香りや、ビタミンCやカリウムなどの水溶性栄養成分は、調理過程でなるべく損失を抑えるために、加熱しすぎないようにしたほうがよい[17]。香り成分は肉類の臭みを消す効果があり、肉を使った鍋物や炒め物に適している[17]。一般に流通している栽培品は灰汁(アク)が少ないが、野生のセリ(山ぜり)はアクが強いため、あく抜きが必要になる[7]

独特の香りを持ち、日本では春先の若い茎やお浸し酢味噌和え七草粥とする[15]宮城県仙台市周辺では、セリを主役とした鍋料理「せり鍋」があり[24]、葉から根まで使われる。また、秋田県の代表的郷土料理の一つであるきりたんぽ鍋の具材としても欠かせない。ミキサーにかけて、青汁の食材としても利用されている[11]

なお野生のものを食べる場合は肝蛭の感染に注意が必要である。対策としては良く洗うことが挙げられる[25]

薬効

日本では生薬名は特に持たないが[26]、中国薬物名としては6 - 7月ころに刈り取って乾燥した全草を水芹(すいきん)と称している[27]。薬効としては、乾燥させた茎葉を布袋に入れて風呂に入れ浴湯料とすると、精油成分が湯に溶け出して血液循環をよくして、リウマチ神経痛血圧降下の効果に良いとされる[11][15]。また神経痛や消化不良による口臭には、水芹1日量3 - 5グラムを400 ccの水で煎じて、3回に分けて服用する用法も知られているが、胃腸が冷えて下痢しやすい人には禁忌とされている[27]。セリ特有の香り成分は、フタル酸ジエチルエステルなどの精油成分で、根の香りはポリアセチレン化合物に由来する[15]。これらの香り成分は、口内の味覚神経を刺激して、胃液の分泌を促すとともに[15]、人間の体温を上げて発汗作用を促す効果があり、風邪による冷えなどに有効とされる[21]


  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oenanthe javanica (Blume) DC.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月5日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oenanthe javanica (Blume) DC. var. japonica (Miq.) Honda”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月5日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oenanthe decumbens sensu Koso-Pol., excl. basion.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月5日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oenanthe stolonifera Wall. ex DC.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月5日閲覧。
  5. ^ a b 田中修 2007, p. 30.
  6. ^ 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日、299頁。ISBN 4-7980-1485-0
  7. ^ a b c d e f 講談社編 2013, p. 128.
  8. ^ 貝津好孝 1995, p. 181.
  9. ^ 主婦の友社編 2013, p. 136.
  10. ^ a b c d e f g h i 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著 2010, p. 100.
  11. ^ a b c d e f g h i j k 馬場篤 1996, p. 96.
  12. ^ さとうち藍、松岡達英『冒険図鑑 野外で生活するために』福音館書店、1985年、306ページ、ISBN 4-8340-0263-2
  13. ^ a b c d 田中孝治 1995, p. 186.
  14. ^ a b 田中修 2007, p. 29.
  15. ^ a b c d e f g h i 田中孝治 1995, p. 187.
  16. ^ 講談社 2013, p. 128.
  17. ^ a b c 主婦の友社編 2011, p. 137.
  18. ^ 講談社編 & 20123, p. 128.
  19. ^ a b c d e f g 主婦の友社編 2011, p. 136.
  20. ^ a b c 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 25.
  21. ^ a b c 小池すみこ 1998, pp. 82–83.
  22. ^ 三関せりあきた郷土作物研究会(事務局:秋田県立大学生物資源科学部)2020年1月23日閲覧
  23. ^ 講談社編 2013, p. 24.
  24. ^ 「仙台のせり鍋 サッとゆで 驚きの甘さ」日本経済新聞』夕刊2018年3月22日(2020年1月23日閲覧)
  25. ^ 寄生虫による食中毒にご注意ください内閣府食品安全委員会(2020年1月23日閲覧)
  26. ^ 馬場篤 1996, p. 69.
  27. ^ a b 貝津好孝 1995, p. 161.
  28. ^ 「ドクゼリ:4人が食中毒 セリに酷似、1人重体 新潟市保健所発表/新潟」『毎日新聞』2013年4月2日(火)13時16分配信
  29. ^ 田中孝治 1996, p. 187.
  30. ^ 深津正 2000, p. 278.
  31. ^ 深津正 2000, pp. 276–278.
  32. ^ 深津正 2000, p. 279.
  33. ^ 新村出広辞苑 第七版』岩波書店、2018年1月12日、1650頁。ISBN 4-00-080131-7





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