スマートメディア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/13 09:15 UTC 版)
概要
東芝・オリンパス・富士写真フイルム(当時)・東京エレクトロン・セガ・エンタープライゼス(現・セガ)の5社で結成したSSFDCフォーラムによって規格策定され、1995年から市販された。CF・SDなどでも幅広く採用されたNAND型フラッシュメモリを用いている。
正式名称はSSFDC(Solid State Floppy Disk Card: 半導体フロッピーディスクカード)である。「SmartMedia」の商標から、SMと略される。
サイズは(長さ)45.0 mm×(幅)37.0 mm ×(厚さ)0.76 mmときわめて薄く、重さは2 g。データ容量は1997年までに500 kB・2 MB・4 MBの製品が出荷され、1998年に16 MB、1999年に32 MB、2000年に64 MB(SMIDのみ)、2001年に128 MB(SMIDのみ)が市販化・発売された。駆動電圧は5 Vないし3.3 Vで、メディア上部の切り欠きが左にあるのが5 V・右にあるのが3.3 Vである。ただし、5 V駆動のカードは企画発足当初のごくわずかの期間に流通したのみで、小容量の製品しかなく、対応機種もごく少ない。
ライトプロテクト(書き込み禁止)機能があり、カード中央右寄りの○部分に付属品のプロテクトシールを貼付することで、書き込み(追記・消去・フォーマット)アクセスが出来なくなる。
1999年秋には、欧米で商用化が始まった有料音楽配信サイトからダウンロードしたコンテンツを、スマートメディアに移動させてMP3プレーヤーで利用する際の権利者保護のため、全米レコード協会とメジャーレコード5社が策定したSDMIに準拠させるメディア毎に固有の128ビットIDを付加した「ID付きスマートメディア (Smart Media ID)」が登場した。ID機能を利用しない機器でも下位互換性により問題なく利用できるため、市販化以降、ID無しの製品は市場から姿を消している。SMIDは、1999年12月に発売されたマジックゲートメモリースティックや2000年発売のSDメモリーカードとは異なり、カード自体に著作権保護のための暗号化技術 (CPRM) を備えておらず、固有のIDを接続機器に認識させるのみで、コンテンツ側でIDを基にしたデジタル著作権管理の適用が必要となる。
メディアの終焉
スマートメディアの開発者たる東芝は、1999年8月にサンディスク、松下電器産業らと組んでSDメモリーカードを開発し、富士フイルム・オリンパスと袂を分った。セガと東京エレクトロンは1997年以降表立った活動はしていない。ただし、東芝はスマートメディアを採用した各種製品を2002年まで発売していた。2001年には当時世界初のスマートメディアとSDカードに対応(供用)したPCカード型R/Wを発売している。
富士フイルムとオリンパスは2002年に大容量化が可能であるxDピクチャーカードを開発し、市販化以降に発売された両社製品(デジタルカメラ)で記憶メディアの移行が進められた。スマートメディアとは一切互換性が無い。
2005年3月7日、東芝はスマートメディアの生産から一部を除き撤退することを決めた。また、業界団体の「SSFDCフォーラム」も2007年5月で解散。これによりスマートメディアの新規生産は完全にストップしたため、新品メディアは市場流通在庫のみとなっている。富士フイルムとオリンパスではスマートメディアを使用するカメラユーザーのためにネット直販サイトにて修理部品扱いで売り続けていた。在庫限りのため販売量を1ユーザー1枚に限定していたが、2019年4月現在、オリンパス、富士フイルムの両サイトでは販売終了となっている。
2024年現在でもスマートメディアを使用する製品は、概ね2002年以前に発売された製品に限られている。
コンパクトフラッシュ・SDメモリーカード・メモリースティックとは異なり、I/Oデバイスを搭載する機能はない。
- ^ “東芝、スマートメディアをFDDで読み書きできるアダプタを出荷開始”. PC Watch. インプレス (1997年3月4日). 2024年3月15日閲覧。
- ^ 『デジタルスチルカメラ「Allegretto(アレグレット)」シリーズの2機種の発売について』(プレスリリース)東芝、1998年6月1日 。2024年3月15日閲覧。
- ^ 『スマートメディアがフロッピーディスク・スロットに! “FlashPath”フロッピーディスク アダプター「FD-A1」を新発売』(プレスリリース)富士写真フイルム、1997年11月13日。 オリジナルの1998年1月19日時点におけるアーカイブ 。2024年3月15日閲覧。
- ^ “FlashPath” (英語). Fischer International Systems Corporation. 1997年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月15日閲覧。
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