スイス式トーナメント スイス式トーナメントの概要

スイス式トーナメント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/28 22:31 UTC 版)

スイス式トーナメントでは、すべての競技者(チーム、個人)が複数回の試合を行うが、総当たり戦のように他のすべての競技者と試合をするわけではなく、総当たり戦に比べて試合数が大幅に削減される。対戦相手の決定はできる限り同程度の力量を持つ競技者同士が対戦し、同じ相手と二度以上対戦することがないように予め作られた規則に沿って行われる。全試合終了後に最も多くの得点を集めたものが勝者となる。

1895年スイスチューリッヒで行われたチェスの大会で初めてこの方式が使われたことからスイス式トーナメントと名付けられている。

概要

スイス式トーナメントが適しているのは、総当たりでは必要となる試合数が多すぎるが、トーナメント終了まで脱落者が出てしまうことが望ましくないような場合である。例えば、大会の目的が試合の機会を与えることであり、かつすべての試合を行うのに費用があまりかからないアマチュアの大会などが一つの例である。一方で、設備に制約があったり高額な費用がかかったりする場合、競技者がプロで一試合毎に報酬を払わなければならない場合、トーナメントの目的が観客にトップ選手のすばらしい試合を見せることである場合などは、勝ち抜き方式の方が適している。スイス式においては既定の試合数や得点の算出方法がある。競技者が奇数でなければ、各ラウンドで全ての競技者が試合に割り振られる。

競技者は1ラウンドに1人(1チーム)とのみ対戦する。第1ラウンドを除いては、対戦相手はその時点の得点に基づいて決定される。第1ラウンドにおいては対戦相手はランダムや特定のパターンで決定される。もし、トップクラスの参加者が最後のラウンドで対決するようにしたいのならば、勝ち抜き方式のトーナメントと同様に両者を異なる山にいれて始めなければならない。

続くラウンドにおいては、参加者はそれまでの累計の得点の順に並べられ、それぞれの得点が近いもの同士が対戦する。同じ対戦相手と二度当たらないようにするためや、不公平を均すために若干の調整が必要となることもある。

総当たり方式は競技者が少ない場合に適している。ほとんどまたはすべてのプレイヤーがお互いに対戦できるからだ。根本にある考えは、すべてのプレイヤーと対戦して最終的に一番高得点を得たものは勝者に違いないというものである。脱落方式やサドンデスといった方式はすぐに競技者を減らすことができるが、必ずしも最も素晴らしいプレイヤーが勝てるとは限らない。単純な勝ち残り方式は自分より優れた相手に勝利してしまうことがあるかもしれない。スイス式はどれだけ多くのプレイヤーがいても限られた試合数で目に見える形で勝者を選ぶことを目的としている。スイス式の組み合わせは、総当たり方式のように全ての相手と対戦することなく、また1回の負けで脱落することなく、明確な勝者を決めなければならない。

採用状況

スイス式トーナメントは主にチェス[1][2]ブリッジeスポーツ、モラバラバ、スクラブルバックギャモンスカッシュペタンク、クイズボウル、マジック・ザ・ギャザリング[3]、ポリシーディベート、ウォーハンマーエイトボールオセロドミニオンポケモンカードゲーム[4]遊戯王[5] 、ブラッドボウル、ギルドウォーズ2、パスオブエグザイル、アンドロイドネットランナー[6]などのゲームで使われている。また大相撲においては幕下以下の取組に採用されている。

囲碁の場合、ヨーロッパアメリカにおいてはほとんどの大会でマクマホン式が用いられている。スイス式トーナメントではトッププレイヤー同士の対戦が最後のラウンドで行われるようにしたいのであれば、早いラウンドにおいて「虐殺試合」と呼ばれる力の差が大きい者同士の対戦から始めなければならない。マクマホン式は、すべてのプレイヤーに最初からずっと自分と同等のプレイヤーとの試合[7][2]を与え、最終結果がより正確に「本当の」現在の強さを反映することができるように作られている。日本でマクマホン式が用いられることは稀で、スイス式が採用されている棋戦には棋聖戦のCリーグやSGW杯中庸戦などがある。

チェスでは、スイス式 (Swiss) とモンラート式 (Monrad) の両方の用語が使われ、マッチングのアルゴリズムが異なる別々の方式を意味している(後述)。モンラート式は主にデンマークノルウェーで用いられ、その他の国のほとんどでは国際チェス連盟(FIDE)の定めたスイス式が用いられている。これに対して他のほとんどのスポーツでは1種類の方式のみが使われ、それがスイス式 (Swiss) かモンラート式のいずれかの名前で呼ばれている。


  1. ^ What is the Swiss System?”. Chess.about.com (2013年11月13日). 2013年12月9日閲覧。
  2. ^ a b Swiss Pairing”. Sensei's Library. 2015年11月18日閲覧。
  3. ^ http://wizards.com/DCI/downloads/Swiss_Pairings.pdf
  4. ^ OP Tournaments Glossary”. Pokemon.com. 2013年12月9日閲覧。
  5. ^ OP Tournaments Glossary”. TCGplayer.com. 2014-21-14閲覧。
  6. ^ Android: Netrunner - Tournament Rules 1.6”. 2014年11月24日閲覧。
  7. ^ Sonneborn Berger”. senseis. 2015年11月18日閲覧。
  8. ^ a b Swiss System vs Round Robin”. Scichess.org. 2013年12月9日閲覧。
  9. ^ Regulations for Monrad system as used in Denmark (See section 4.10.1) (デンマーク語)
  10. ^ Regulations for Monrad system as used in Norway (ノルウェー語)
  11. ^ chess results
  12. ^ e.g. Sotra Chess Club who has an article posted on this system at http://www.sotrasjakk.no/index.php?option=com_content&task=view&id=33&Itemid=66 (ノルウェー語)


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