ジョセフ・ヘラー
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その後
ヘラーは暫くセントキャサリンズ・カレッジの客員研究員として戻り、1991年にはその名誉フェローになった[1]。1998年、備忘録『今とその時:コニーアイランドからここまで』を出版し、配達人の息子としての子供時代から、『キャッチ=22』の発想を得たときの詳細を明らかにした[7]。
ヘラーは1999年12月に自宅で心臓麻痺のために死んだ[5]。これは最後の小説『芸術家の肖像、老いた男として』を書き上げた直ぐ後のことだった。ヘラーの訃報に接した友人のカート・ヴォネガットは、「おー神よ、おそろしいことだ。アメリカ文学にとって不幸な出来事だ」と言った[5]。
『キャッチ=22』に関する議論
1998年4月、ルイス・ポロックはイギリスの「ザ・サンデー・タイムズ」紙に、『キャッチ=22』の「登場人物、個人の経歴、奇抜さ、体形、負傷や事故」などが、1951年にイギリスで出版された小説と「驚くべき類似性」を示していると書いた。そのイギリスの小説は、ルイス・ファルスタインが書いた『空は孤独な所』であり、アメリカでは『英雄の顔』として出版されていた。ファルスタインの小説は、ヘラーがオックスフォードの学生であり、『キャッチ=22』の第1章を書いた1953年より2年前に出版されていた。「ザ・タイムズ」は「双方共に中心人物が出撃を避けるためにその機知を働かせている。双方共にどこにでもいる負傷した飛行機乗り、白い体の中の目に見えないものに付きまとわれている」と書いた。ヘラーはファルスタインの小説を読んだこともないし、作者のことを聞いたこともないと言って[2]、「私の本は1961年に世に出た。私は、昨年死んだばかりのファルスタイン自身を含めて、他の誰もその類似性に気付かなかったことを可笑しいと思う。」と話した[15]。
作品
リンクはすべて英語版。
短編
- en:Catch As Catch Can: The Collected Stories and Other Writings (2003年)
- Three Short Stories Of Utter Annoyance
自伝
- No Laughing Matter (1988年)
- 翻訳書:『笑いごとじゃない -世にも明るい闘病記』 -- 中野恵津子・訳、TBSブリタニカ、1987年、ISBN 4-484-87123-8、ちくま文庫、1990年、ISBN 4-480-02377-1
- Now And Then (1998年).
小説
- en:Catch-22 (1961年)
- 翻訳書:『キャッチ=22』 -- 飛田茂雄・訳、ハヤカワ・ノヴェルズ、1969年、ハヤカワ文庫、1977年、ハヤカワ文庫・新版、2016
- en:Something Happened (1974年)
- 翻訳書:『なにかが起こった』 -- 篠原慎・訳、角川書店、1983年
- en:Good as Gold (1979年)
- 翻訳書:『輝けゴールド』 -- 飛田茂雄・訳、ハヤカワ・ノヴェルズ、81年
- en:God Knows (1984年)
- Picture This (1988年)
- Closing Time (1994年)
- en:Portrait of an Artist, as an Old Man (2000年)
戯曲
- We Bombed in New Haven (1967年)
- Catch 22 (1971年)
- Clevinger's Trial (1973年)
映画
- en:Sex and the Single Girl (1964年)
- 求婚専科 - 共同脚本
- en:Casino Royale (1967年) (クレジットなし)
- en:Dirty Dingus Magee (1970年)
- 大悪党 ジンギス・マギー - 共同脚本
- ^ "Straight Dope Staff Report: What's the origin of 'Catch-22'?" Straight Dope, webpage: SDope-MC22.
- ^ a b c d e f Joseph Heller: Literary giant, 英国放送協会, (December 14, 1999) 2007年8月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i Plimpton, George (Winter 1974), “Joseph Heller” (PDF), The Paris Review (60), オリジナルの2007年6月26日時点におけるアーカイブ。 2007年8月30日閲覧。
- ^ “Abraham Lincoln High School”. New York City Schools. 2007年8月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h Heller's legacy will be 'Catch-22' ideas, CNN, (December 13, 1999) 2007年8月30日閲覧。
- ^ a b Mallory, Carole (May 1992), “The Joe and Kurt Shoe”, PLAYBOY 2007年8月30日閲覧。
- ^ a b c d e f Kisor, Henry (December 14, 1999), “Soaring satirist”, シカゴ・サンタイムズ 2007年8月30日閲覧。
- ^ “C250 Celebrates Columbians Ahead of Their Time: Joseph Heller”. コロンビア大学. 2007年8月30日閲覧。
- ^ Clark, Mary Higgins (2002). Kitchen Privileges: A Memoir. Simon and Schuster. pp. 48-49, 53
- ^ a b c d e Aldridge, John W. (October 26, 1986), “The Loony Horror of it All - 'Catch-22' Turns 25”, The New York Times: Section 7, Page 3, Column 1 2007年8月30日閲覧。
- ^ a b c d e 1999 Year in Review: Joseph Heller, CNN, (December 1999) 2007年8月30日閲覧。
- ^ Shenker, Isreal (September 10, 1968), “Joseph Heller Draws Dead Bead on the Politics of Gloom”, ニューヨーク・タイムズ 2007年8月30日閲覧。
- ^ Barnes, Clive (October 17, 1968), “Theater:Heller's 'We Bombed in New Haven' Opens”, The New York Times 2007年8月30日閲覧。
- ^ a b Koval, Ramona (1998), Joseph Heller - Closing Time, オーストラリア放送協会 2007年8月30日閲覧。
- ^ ワシントン・ポスト、1998年4月27日
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