ジュブナイル (映画) ジュブナイル (映画)の概要

ジュブナイル (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 10:06 UTC 版)

ジュブナイル
Juvenile
監督 山崎貴
脚本 山崎貴
製作 波止康雄
沢辺伸政
樫野孝人
安藤親広
製作総指揮 阿部秀司
島村達雄
出演者 遠藤雄弥
音楽 清水靖晃
撮影 柴崎幸三
編集 北澤良雄
制作会社 ROBOT
製作会社 ジュブナイル・プロジェクト
配給 東宝
公開 2000年7月15日
上映時間 105分
製作国 日本
言語 日本語
製作費 5億円[1]
興行収入 11億円[2]
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概要

少年少女たちが活躍するSF映画で、VFXが駆使されて話題になった。山崎貴の映画監督デビュー作でもある。

作中の未来から来たロボットであるテトラが、その愛くるしい動作と言動から女性からも人気を得て、大きなプロモーション効果を挙げた。また、公開前(公開中?)に『朝日新聞』の1ページを使いテトラのペーパークラフトが載った。また、『別冊コロコロコミック』で読みきりとして漫画化された。また、監督自ら執筆した小説版もメディアファクトリーより出版されている。

2000年7月イタリア・ジフォーニ映画祭子供映画部門でグランプリを受賞。ニフティ映画大賞(現・日本インターネット映画大賞)2000の日本映画部門映像効果賞を受賞した。

制作経緯

白組で日本の妖怪を題材とした映画『鵺/NUE』を企画していたが、制作費が30億円必要な規模の作品であったため頓挫し、これに代わる新人監督である山崎貴の腕試しとなる作品として本作品が立ち上げられた[1]

当初は制作費1億5000万円程度で6月ごろの公開を予定しており、撮影はオールロケでVFXを一箇所に集約するという小規模なものが想定されていた[1]。しかし『鵺/NUE』から携わっていたROBOT社長阿部秀司の尽力により、制作費5億円で全国東宝系夏休み公開、香取慎吾の出演も取り付けるなど大規模な作品へと発展した[1]

本編終盤の2020年パートで登場する主人公の少年たちの大人になった姿を、将来的に2000年パートと同一のキャストで再撮影し「完全版」を制作する構想が2000年当時から存在していた[3]。この構想は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響もあり実現しなかったが、代わりに2022年公開の映画『ゴーストブック おばけずかん』で、遠藤雄弥鈴木杏が主人公の両親役として本作と同一の役名で友情出演し、テトラも劇中に登場している[4]

あらすじ

2000年の夏休み。坂本祐介、木下岬、大野秀隆、松岡俊也の四人は、キャンプ場で超高性能ロボット「テトラ」と出会う。テトラが「ユースケに会った」という言葉を発したこともあり、テトラはひとまず祐介の家に置くこととなる。テトラに乞われるまま四人は電子機器類の廃品を集め、それを材料にテトラは自分の体を改造し、二足歩行できるようになる。近所に住む天才物理学者・神崎も巻き込んで四人とテトラの夏休みは過ぎていった。だが、ある日テトラは祐介たちの前から姿を消してしまう。

そのころ、地球上空には「生態系を完備した海」という注文を異星の住民から受けた宇宙の商人・ボイド人の巨大宇宙船団が飛来していた。彼らは船団から4隻の宇宙船を太平洋に降下させ、宇宙船を組み合わせて1辺6キロの巨大三角錐状構造物とした「シースナッチャー」を構築し、海の回収の準備を人知れず進めていた。

シースナッチャーに先んじて地球へと潜入していた「地球上陸・オーバーテクノロジー調査破壊班」のリーダーは、日本で初遭遇した人間である岬の従兄弟の範子の姿を模倣して地球の情報を収集していた。そしてオーバーテクノロジーの可能性が高いテトラを破壊するため、岬を人質に取った。パニックに陥る祐介たちの元に、姿を消していたテトラが戻ってきた。テトラはボイド人と戦うために戦闘用ロボット「ガンゲリオン」を作っていたのだ。祐介は岬を救うため、ガンゲリオンに乗り込み、テトラと共にボイド人と戦う決意をする。

優れた技術を持つボイド人相手に終始不利な戦闘を強いられながらも、偶然とボイド人のミスが重なり、シースナッチャーを崩壊へと追い込み、さらに岬を奪い返すことに成功する。そしてシースナッチャー崩壊を受け、ボイド人達は地球からの即時撤退を決定する。だが、オーバーテクノロジー調査破壊班は出航までの時間的猶予が無い中、一度きりのチャンスに賭けて大気圏外から祐介への報復攻撃を行う。祐介を的確に狙った狙撃を直前に察知したテトラは、彼を庇う形で撃たれ、機能を停止してしまう。そして、テトラから排出された記憶メディアが「2000TBディスク」という2000年には存在しない大容量製品であったことから、テトラを修理する技術が存在しないことが判明する。失意の中、祐介はロボット工学を志し、自らの手でのテトラの修復を誓う。

時は流れ、2020年。祐介はロボット工学エンジニアとなり、岬と結婚していた。ロボット工学を志す契機となったテトラは既に少年時代の思い出となり、「テトラを修復する」という誓いもいつしか思い出の一つと化していた。だが、テトラの記憶メディアに採用されていた「2000TBディスク」の製品発表資料をネット上に発見する。祐介は時代がテトラの技術に追いついたこと、そしてテトラと同型のロボット製品が登場するであろうことに期待を寄せる。その一方で、自分でテトラの修復を成し遂げられなかったことに寂しさを感じていた。その時、神崎からタイムマシンの完成を知らせる連絡があり、さらにタイムマシンで過去に送り込むためにテトラを開発するよう依頼される。テトラの開発を手掛けるのが自分であったことに歓喜し、祐介は様々な技術的課題を乗り越えて、かつてキャンプ場で出会ったあのテトラを完成させる。

テトラを2000年へと送り込む日。祐介、岬、秀隆、俊也はタイムマシン施設で久しぶりの再会を果たす。そこに祐介は、かつて自分を庇ってボイド人に狙撃されたテトラを修復して持ち込んでいた。テトラとの再会を4人で果たそうと考えていたのだ。テトラのボディに記憶ディスクを挿入し、諦めかけるような長い時間が過ぎたとき、テトラは再起動する。テトラは狙撃された瞬間から20年の経過を認識しておらず、祐介の身を案じていた。そして祐介が大人になったことに驚くとともに、20年の経過を認識するのだった。

再会を喜びあった4人とテトラは、2000年へのテトラの転送に立ち会う。タイムマシンの起動が進む中、タイムマシン上の「新品のテトラ」は不安げに目を覗かせて祐介たちを眺めていた。それを見たテトラは、かつて自分が2000年に送り込まれる時、同じように祐介たちを眺めていたことを語る。「新品のテトラ」がタイムマシン上のワームホールへ突入し、2000年へ送り込まれる瞬間、祐介達の心は少年少女時代へと戻っていた。

登場人物

坂本 祐介(遠藤雄弥/20年後:吉岡秀隆
12歳。ロボットが好きな少年。岬に思いを寄せているが、気持ちを伝えられずにいる。
未来ではロボット開発会社「RNMX」に勤務(RNMXは2000年にテトラが機材を盗んだ会社。社長の三沢は寝ぼけてテトラにガンゲリオンの材料を提供した張本人である)。宇宙産業AIロボット開発事業のリーダーとなり、祐介のチームが開発した群集型AIロボットが国際宇宙ステーションの拡張工事に採用される。2017年、国際宇宙ステーションで岬と結婚する。
木下 岬(鈴木杏/20年後:緒川たまき
3人のマドンナ的存在。スポーツが得意で小学校の体育の授業ではバスケで男子チームと互角に戦った。
高校卒業後、友好的な宇宙人とのコンタクトを夢見て渡米し、NASAに就職。国際宇宙ステーション勤務となる。
大野 秀隆(清水京太郎/20年後:川平慈英
情報通。祐介の岬への好意をからかうような言動をしているが、自身も無自覚のまま岬に片想いしている。
松岡 俊也(YŪKI/20年後:高杉亘
岬とは幼馴染であるため、他の二人と比較して岬と距離感が近い。ロン毛で茶髪。恐いもの知らずである。岬と祐介が仲が良くなっていくことに少し嫉妬している。
テトラ(声:林原めぐみ
祐介たちの前に現れた謎の小型ロボット。なぜか祐介や神崎のことを知っており、現代の知識・技術を集める。スペックに関しては下記を参照。
神崎 宗一郎(香取慎吾
電気屋「神崎ラヂオ商会」店長。非常に優れた頭脳を持ち、高校時代に特許をいくつか取得。さらにほとんどの大ヒットゲームのプログラミングに関わっている。しかし本業は重力物理学の研究者。タイムマシンの開発をしている。2000年現在では遠く離れた場所に物体を瞬時に移動させる装置を開発している。2002年6月、範子と結婚する。
木下 範子(酒井美紀
岬の従姉妹。夏休み中に岬の家に居候している。神崎とは知り合い。ジョギング中にボイド人に映像データを取り込まれ、姿を模倣される。
廃品置き場の管理人(桜金造
祐介の父(高橋克実
祐介の母(麻木久仁子
駄菓子屋のおばさん(角替和枝
三沢(松尾貴史
電気屋店主(小形雄二)
男性研究員(田原洋)
船長(平賀雅臣
副船長(黒木宣彦)
船員A(山根祐夫)
船員B(田鍋謙一郎
高野田の父(小松和重
高野田の母(海原ローラ)
高野田光春(水上潤
カップルの女性(北林実季
カップルの男性(谷畑聡
若者1(鈴木祥二郎)
若者2(則友謙司)
怪盗ヤミー(松井哲哉)
少女(北浦実千枝
少年探偵(安藤一平)
エージェントA(Jerald K Torgerson)
エージェントB(Adam Chrny)
女性研究員(林原めぐみ)
ボイド人(声&リファレンスパフォーマー:武野功雄

  1. ^ a b c d e 「「ジュブナイル」山崎貴監督インタビュー」『宇宙船YEAR BOOK 2001』朝日ソノラマ宇宙船別冊〉、2001年4月30日、69頁。雑誌コード:01844-04。 
  2. ^ 2000年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
  3. ^ a b c d e f g h i 『ザ・メイキング・オブ・ジュブナイル』メディアファクトリー(2000/07発売)
  4. ^ 尾崎一男(取材・文)「『ゴーストブック おばけずかん』山崎貴監督に訊け!!」『フィギュア王』No.294、ワールドフォトプレス、2022年8月30日、149頁、ISBN 978-4-8465-3276-5 


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