ジャンクDNA 概要

ジャンクDNA

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/17 09:00 UTC 版)

概要

ジャンクDNAは、ゲノム解析の結果「既知の遺伝子と相同性が見られない」あるいは「配列類似性が高いにもかかわらず機能するために必須な配列に変異などがあり実際の機能が疑わしい」といった領域が多数発見されたことから、そういった一見してごちゃごちゃしており余分・無駄に見えるような未解明の領域に対して付けられた名称であるが、「無駄な領域」「ごみ領域」と言った意味合いでとらえられることが多く、必ずしも適切な名称とはいい難い。

また、分子生物学というのはまだ非常に若い学問であり、このような機能の認められていないDNAの領域も、まだ発見されていないような機構で機能しているのかもしれない、という観点から、ジャンクという呼び方は誤りであると認識されている。

実際、2005年現在、新しい研究において、ジャンクDNAがまだ確認されていない機能を果たしているかもしれない、ということが示されている(追記参照)。

ほとんどの植物のゲノムにおいては、DNAのほとんどの部分において生物学的な役割が分かっていない。 分子生物学的な研究では、遺伝子がコード化している蛋白質に関する情報が不完全な時でも、その遺伝子の存在する染色体の領域をオープンリーディングフレーム(Open Reading Frame; ORF、実際にアミノ酸配列として翻訳される領域のこと)として識別することが可能である。

また、ゲノムを扱う科学者は、このような領域の機能や作用機構に関する情報がほとんど得られていない場合でも、それが重要であると仮定することが合理的であると認識している。

ゲノム上の塩基配列には、翻訳を受けないいわゆる非蛋白質コード領域が多数存在することが知られており、この中には、DNA複製の開始点として定義される複製起点、あるいはプロモーターエンハンサーサイレンサーといった遺伝子の発現を制御する生命活動に非常に重要な領域が含まれている。このことは、蛋白質にならない領域が無駄なものではないことを明確に示している。

全ヒトゲノムのうち役割が判明しているのは3%に過ぎない。

これとは対照的にトラフグのゲノムサイズは人間の1/10程度しかないが、ゲノムの1/3に有効な遺伝子としてコードされており、ほぼヒトと同数の遺伝子をもっていると考えられている。

ちなみに玉葱のゲノムサイズはヒトゲノムの約12倍であり、ヒトより多くの"ジャンク"をふくんでいると考えられる。

このように、ゲノムにおける「機能を持っている(推測できる)領域」と「"ジャンク"な領域」の比率は種によって著しく違うようである。







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