シックス・シグマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/25 21:03 UTC 版)
ブラックベルト(BLACK BELT)
シックス・シグマの実際の活動は、ブラックベルトという資格を有する人物が中心となって行う。このブラックベルトは、柔道の黒帯が語源となっている。ブラックベルトは、専門の教育機関によって認定される。
ブラックベルトは、シックス・シグマを遂行するにあたり中心となって推進する人物に授与される。ブラックベルトを補佐する資格として、グリーンベルトがある。
MAIC
MAICとは、シックス・シグマにおける行動プロセスである。QCサークル活動などおけるPDCAサイクルを発展させたものであるが、大きな特徴はM(Measurement)、A(Analysis)という現状分析に、より大きな主眼をおいていることである。
MAICの意味は次のとおりである。下記プロセスを持続的に繰り返す。
- Measurement:測定
- Analysis:分析
- Improvement:改善
- Control:改善定着の管理
方法論/Methodologies
DMAIC手法
- Define(定義)、Measure(測定)、Analyze(分析)、Improve(改善)、Control(管理)のステップからなる経営変革手法であり、VOC(Voice of Customer、顧客の声)を基にして事業活動を分析し、データドリブンでプロセスの改善を進める。東芝は、シックスシグマ手法の提唱者であるマイケル・ハリー博士が創設したSix Sigma Academyから正規ライセンスを受けている。
DFACE手法
- Design for Six Sigma手法の東芝版。米国スタンフォード大学と共同で開発した東芝独自の手法である。VOCを基にして、商品企画と製品開発プロセスを革新するもの。Define(定義)、Focus(現状認識)、Analyze(分析、目標設定)、Create(設計、最適化、検証)、Evaluate(確認、評価)のステップからなる。
DFSS/DMADV手法
- Define:定義
- Measure:測定してCTQ(Critical To Quality)を特定する(Identify)。
- Analyze:分析
- Design:設計
- Verify:検証
品質管理ツール・メソッド
DMAICやDMADV(DFSS)の各フェーズにおいて、以下の主要なツール・メソッドが用いられる。
- 5 Whys
- 統計手法
- Axiomatic design/公理的設計
- Business Process Mapping/ビジネスプロセスモデリング、プロセスマッピング
- Check sheet/チェックシート、チェックリスト
- Cause & effects diagram (Fishbone diagram)/散布図 or Ishikawa diagram
- Control chart/Control plan (swimlane map)/Run chart
- Cost-benefit analysis/費用便益分析
- CTQ tree
- DoE/実験計画法
- Stratification/層化抽出法
- Histogram/ヒストグラム
- Pareto analysis(Pareto chart)/パレート図
- Pick chart/Rolled throuhput yield (RTY)
- Quality Function Deployment (QFD)/品質機能展開
- Quantitative marketing research/量的市場調査(マーケティング・リサーチ)
- Enterprise Feedback Management (EFM)/エンタープライズ・フィードバック管理
- Root cause analysis (RCA)/根本原因解析
- SIPOC分析 (Suppliers, Inputs, Process, Outputs, Customers)
- COPIS分析
- Taguchi methods (Taguchi Loss Function)/品質工学(タグチメソッド)
- Value stream mapping/バリューストリーム・マップ
東芝の経営変革2001運動(MI運動)
1998年から導入したシックスシグマ手法を用いた経営品質の向上を目的とした運動であり、次の四つの特徴をもっている。
- 顧客第1の思想に基づきVOC(顧客の声)を事業活動の出発点にする。
- トップダウンアプローチで事業全体の最適化を図る。
- 組織を越えたプロジェクト活動を通して成果を達成する。
- 強力な運動推進体制を整備し、グループ全体で展開する。
全体最適から掘り起こされた個々のプロジェクトを定着することによって着実な成果を積み上げていくものであり、東芝はこのシックスシグマ手法を採用したプロジェクト課題の実施にあたり、業績向上施策や業績のビジュアル化と利益向上につながるフォロー体制といった仕組みを独自に構築した。東芝MIはこれらの仕組みと二つの変革手法をMI運動を通して経営変革手法として体系化したものである。
- ^ “The Inventors of Six Sigma”. 2005年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月2日閲覧。
- ^ Tennant, Geoff (2001). SIX SIGMA: SPC and TQM in Manufacturing and Services. Gower Publishing, Ltd.. p. 6. ISBN 0-566-08374-4
- ^ “erfc(6 / √2)”. Wolfram Alpha. 2019年5月6日閲覧。
- ^ “erfc(9 / 2 / √2) / 2”. Wolfram Alpha. 2019年5月6日閲覧。
- 1 シックス・シグマとは
- 2 シックス・シグマの概要
- 3 概要と歴史
- 4 ブラックベルト(BLACK BELT)
- 5 脚注
- シックス・シグマのページへのリンク